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第2章★為政者の品格★
第2話☆騎士きどり☆
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「菫、リョウマは先の天倭戦争で倭国国王の首を取った功労者なんだ。つまり、戦争を勝利に導いた英雄なんだよ」
自慢げに紹介をするコウキに、菫は心の内を悟られないよう笑顔を見せた。
菫にとって笑顔は一番感情を隠せる仮面だった。
「敵国の王を殺めた方と出会えるなんて、嬉しいです」
父の敵とでも寝られる、と太一に言い放ったときのことを思い出し、菫はリョウマを見上げて微笑んだ。
「ふん、下女は俺に近寄るな。お前を帯同させたのは理由がある。ルージュの身の回りの世話及び荷物持ち、それから俺とコウキの夜の相手だ。長旅になるからな」
ルージュはこちらを見て勝ち誇ったように笑っている。
もう普通の感覚を思い出せない菫は、リョウマの言葉を聞いて喜んでしまっていた。
しかし、すかさずコウキが止めに入った。
「おいリョウマ……そういうことなら俺は菫を連れていかない。お前に夜の相手なんかさせるわけないだろ」
「ふん、騎士きどりか」
「いやいや、騎士なんだけど」
「少し前にこの女を愛人候補に転職させると言っていたな」
「いやいや。愛人候補じゃなくて専属! 俺の専属愛人にするの」
「まだ専属ではないのだろう? ならば今夜は俺が借りよう。こんな貧乏人、貴族様の相手を出来るだけありがたいと思え」
「リョウマ……どれだけ自分本意なんだよ」
呆れた声を出したコウキにかぶせるように、ルージュが気だるげな声を出した。
「ねえ、いつまでやってらっしゃるの? もう行きましょうよ、お兄様」
「ああ、そうだなルージュ」
リョウマはそう言うと、先陣を切るように歩き始めた。その後ろをルージュが追い、彼女とリョウマの荷物を全て持たされた菫は、気合いを入れて歩き始めた。
横でため息をついたコウキは、菫の手から半分以上の荷物を奪う。
「コウキ様、わたしは大丈夫ですよ」
「いや、ルージュの荷物、すごいし。俺もいいトレーニングになるから」
爽やかに笑ったコウキの笑顔を見つめ、菫は「ありがとうございます」と呟き、ふとため息をこぼした。優しくされるのは、今後のことを考えると怖かった。
☆続く☆
自慢げに紹介をするコウキに、菫は心の内を悟られないよう笑顔を見せた。
菫にとって笑顔は一番感情を隠せる仮面だった。
「敵国の王を殺めた方と出会えるなんて、嬉しいです」
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「ふん、下女は俺に近寄るな。お前を帯同させたのは理由がある。ルージュの身の回りの世話及び荷物持ち、それから俺とコウキの夜の相手だ。長旅になるからな」
ルージュはこちらを見て勝ち誇ったように笑っている。
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「いやいや。愛人候補じゃなくて専属! 俺の専属愛人にするの」
「まだ専属ではないのだろう? ならば今夜は俺が借りよう。こんな貧乏人、貴族様の相手を出来るだけありがたいと思え」
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「ねえ、いつまでやってらっしゃるの? もう行きましょうよ、お兄様」
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リョウマはそう言うと、先陣を切るように歩き始めた。その後ろをルージュが追い、彼女とリョウマの荷物を全て持たされた菫は、気合いを入れて歩き始めた。
横でため息をついたコウキは、菫の手から半分以上の荷物を奪う。
「コウキ様、わたしは大丈夫ですよ」
「いや、ルージュの荷物、すごいし。俺もいいトレーニングになるから」
爽やかに笑ったコウキの笑顔を見つめ、菫は「ありがとうございます」と呟き、ふとため息をこぼした。優しくされるのは、今後のことを考えると怖かった。
☆続く☆
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