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【61】不安 〜心変わりは世の常〜
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「俺やユージンが証言取りに加勢すれば、それだけ速く事件は解決する。だから……行ってくるよ。いい?」
サニーはダニエルの頤を取り、視線を合わせてきた。
サニーの意地悪、ダメって言えないじゃない。
ダニエルはぷっくり唇を尖らせた。
「その唇は……ご機嫌ナナメですか、俺のお姫様」
サニーが唇にチュとキスをする。
「違うもん。ただモヤモヤするだけ」
「それは怒ってことっスか?」
「そこまでじゃないけど。やっぱりいい気持ちはしないでしょ。”もしかしたら”があるかもしれないし」
「浮気するんじゃないかって、心配?」
「当たり前でしょ!信徒に儚げな美女がいるかもしれないじゃない。口説いてる内に、ミイラ取りがミイラになることもあるわ」
「うーんにゃ、ないない」
サニーは何をバカなと言わんばかりの口調で否定したが、ダニエルは不安で眠れそうになかった。
ダニエルはサニーの腕を解き、毛皮のガウンを羽織りベッドから降りた。
「ディディ…」
「水のんでくる」
「レモン水ならそこに……」
「白湯がほしいの」
夜はめっきり冷え込むボロンゴ領、執務室の暖炉には一晩中火が炊かれていた。
暖炉の天板にかけられたポットからカップに白湯を注ぎ、ダニエルはなんとなしにバルコニーへ出た。
秋風がガウンの首元を揺らし、肌寒さに身震いする。
夜の帳がおり、街灯が寝静まった街角を心許なく照らしていた。
太陽が東から昇り西へ沈むように、あるいは夏が終わり冬になる季節が移り変わるように、心変わりは世の常。
飽きるのも、新しい刺激を求めるのも、人間として当たり前のこと。
移り気な恋は日常に溢れてて、稀に真剣になれる相手に出会っても、動じない強い心と向き合う努力忍耐、真実を見極める目がなければ続けられない。
ダニエル自身はどうだろう?
来年のバカンスに心躍らせたと思えば、数日後の離別にもう心は揺れている。
今は一緒にいる二人、でも「付き合おう」や「恋人です」……「愛してる」なんて言葉を確認し合ったことはない。
冗談っぽく「浮気は許さない」とか「あたしのオトコ」と言うことはあるが、二人してその話題を避けている。
言葉が全てではないけれど……言葉にしなきゃ不安なこともある。
かと言ってもしもサニーに交際を申し込まれたら、ダニエルは戸惑うに違いない。
サニーが好き……でもーー。
「ディディ……」
迎えにきたサニーが、背後からダニエルを抱き締めた。
「もう身体が冷えてる……」
サニーは持参した布団で二人を包み、頭にチュとキスを落とした。
サニーはダニエルの頤を取り、視線を合わせてきた。
サニーの意地悪、ダメって言えないじゃない。
ダニエルはぷっくり唇を尖らせた。
「その唇は……ご機嫌ナナメですか、俺のお姫様」
サニーが唇にチュとキスをする。
「違うもん。ただモヤモヤするだけ」
「それは怒ってことっスか?」
「そこまでじゃないけど。やっぱりいい気持ちはしないでしょ。”もしかしたら”があるかもしれないし」
「浮気するんじゃないかって、心配?」
「当たり前でしょ!信徒に儚げな美女がいるかもしれないじゃない。口説いてる内に、ミイラ取りがミイラになることもあるわ」
「うーんにゃ、ないない」
サニーは何をバカなと言わんばかりの口調で否定したが、ダニエルは不安で眠れそうになかった。
ダニエルはサニーの腕を解き、毛皮のガウンを羽織りベッドから降りた。
「ディディ…」
「水のんでくる」
「レモン水ならそこに……」
「白湯がほしいの」
夜はめっきり冷え込むボロンゴ領、執務室の暖炉には一晩中火が炊かれていた。
暖炉の天板にかけられたポットからカップに白湯を注ぎ、ダニエルはなんとなしにバルコニーへ出た。
秋風がガウンの首元を揺らし、肌寒さに身震いする。
夜の帳がおり、街灯が寝静まった街角を心許なく照らしていた。
太陽が東から昇り西へ沈むように、あるいは夏が終わり冬になる季節が移り変わるように、心変わりは世の常。
飽きるのも、新しい刺激を求めるのも、人間として当たり前のこと。
移り気な恋は日常に溢れてて、稀に真剣になれる相手に出会っても、動じない強い心と向き合う努力忍耐、真実を見極める目がなければ続けられない。
ダニエル自身はどうだろう?
来年のバカンスに心躍らせたと思えば、数日後の離別にもう心は揺れている。
今は一緒にいる二人、でも「付き合おう」や「恋人です」……「愛してる」なんて言葉を確認し合ったことはない。
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言葉が全てではないけれど……言葉にしなきゃ不安なこともある。
かと言ってもしもサニーに交際を申し込まれたら、ダニエルは戸惑うに違いない。
サニーが好き……でもーー。
「ディディ……」
迎えにきたサニーが、背後からダニエルを抱き締めた。
「もう身体が冷えてる……」
サニーは持参した布団で二人を包み、頭にチュとキスを落とした。
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