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【59】ピロートーク 〜イイ関係が続いてく〜

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何度も絶頂を繰り返し、ベッドに倒れこんだダニエルの背をサニーの唇が這う。

柔らかなタッチの愛撫は優しく、疲労困憊のダニエルを労わるようだ。

しかし油断はならない、サニーの制欲は底なしだから。


「も、もうダメ……」

「フフ、わかってるよ俺のお姫様。ただ背中が綺麗だからキスしたくなるんだ」

そう言ってサニーはチュ、チュとリップ音をたて、ダニエルの肩甲骨の窪みを舐めた。



「よいしょ、っと……ピロートークタイムですヨ」


やがておもむろにダニエルを引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。

肌と肌がピタリとくっつき、ダニエルは男の胸に頬ずりする。


シルクの高級シーツも好きだけど、男の滑らかな肌もまたうっとりするほど心地良い。

なめし革のようにつるりとしていて、それでいて弾力があり、所々ゴツゴツしてるが、それがまた気持ちイイ。

なにより温泉に浸かってるみたいに温かい。


サニーはダニエルを抱いたままベッドサイドチェストに手を伸ばし、銀トレイに用意されたマッチと煙草を手にした。

そして慣れた手つきでシュッとマッチを擦る。

ふーっと煙を吐けば、マンゴーの香りが漂った。



「……好い香り」

「新調したんだ、ディディが好きそうな匂いだと思ってネ」


「うん、こういう南国フルーツ系の香り好き」

「ディディに合ってるよな……真夏の太陽と海、鮮やかな花々。カラフルな家々に帆船の白い帆」

サニーの言葉は全て、二人が出会ったアリャーリャ村を思い出させる。


「またアリャーリャ村に行きたくなってきた」

「今度は二人で行こうヨ。休暇を取ってサ」


「ホント?」

ダニエルは瞳を輝かせた。


「うん、来年になっちゃうけどサ」

「行く行く!」

二人でアリャーリャ村へ旅行なんて、楽しいに決まってる。


なにより、サニーのほうから誘ってくれたのが嬉しい。

来年も二人は一緒にいる、このイイ関係が続いてく、続けていきたい。

そう想ってるってことでしょ。

その気持ちが嬉しいの。



「あぁー、楽しみぃー!!昼間はビーチへ行って泳いで、肌を焼こう。夜はバーに繰り出して、星空を眺めながらホテルへ帰るの」

ダニエルの満面の笑顔にサニーの目尻も下がる。


しかし急にダニエルは目をつり上げた。

「あの時みたいに、女を膝に乗せたりしたら許さないんだから!」


「……俺、そんなことしたぁ?」

「してたわよ!毎晩、女達をはべらしてさっ!抱きつかれたり、膝の上に座られたりしてだじゃないっ」

唇を尖らせるダニエルに、サニーは困ったように眉を下げた。


その表情がなんだかいつもと違うような……何かを含んでるような気がした。

「……どうしたの?」


ダニエルの問いにサニーは苦笑いを浮かべる。

何か言い難い話があるんだとダニエルは察した。


いつもならセックスの後は死んだように眠るのに、こうしてピロートークするのは珍しい。

わざわざセックスの後にする話って、なんだろう?



「もしかして、ポーラになにか……っ!」

「いや、ポーラ君のことじゃないんだ」

起き上がろうとするダニエルを、サニーは慌てて制止する。


「そうじゃないんだけど……」

「だけど?」

「う~ん……実は」

ガシガシと頭を掻いた後、サニーは重い口を開いた。
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