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【35】約束 〜甘えさせてあげる〜

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「泣き出すまで溜め込む前に、なんで話してくれないんだろうって謎だったんだけどサ。きっとディディは子どもの頃から我慢してきたから、そのやり方しか知らないんだネ。これからは俺がたくさんディディを甘えさせてあげる」

サニーは一つ話せば十を察し、その指摘も実に的確である。

気づいてなかったダニエル自身の気持ちも言い当てられてしまう。


「そんなこと言ったって、サニーずっと忙しそうじゃない。クライン執務官が常に一緒で見張ってるし、話す時間なんてないくせに」

「うんうん、ごめんネ。執務日はランチも一緒に食べよう、勿論ユーリ抜きでね」


「それだけじゃダメ!今日は何をしたとか、誰と会ったとか。お互いのことを報告する時間を作ろうよ、最低でも三十分」

「え”っ」


「あたし達、もっとお互いを知るべきだと思わない?サニーがあたしを護衛に連れて行きたくない理由はわかったけど、女の香りさせて帰ってこられたら、見なくてもイライラしちゃうわ。どんな女性だったとか、相手しなかったよとか言ってくれたら、あたしも安心できると思うの」

「そうカナ?また今日みたいに怒られそうだけど」

サニーは疑いの目でダニエルをみた。


「そんなことないもん。正直に話してくれたら、あたしも冷静に受け止めるわ。そんなに心狭くないんだから」

「ん~、ソウネ」

……サニーのやつ、信じてないな!!


「約束だよ!あと週に一回はデートに行きたい。たまにはレストランや酒場に行って、パァーッとストレス発散したいの」

「……時間を作りマスね」



「それから……」

「まだあるんだ!?」


「サニーが甘えてイイって言ったんでしょ」

「そーだけどサ。で、”それから……”なに?」


「あたしにもできる仕事ない?サニーの好意でラクな生活をさせてもらえてるのはわかってるし、感謝もしてるけど。みんなに置いていかれてるようで……もう会食に同行させろなんて言わないから、せめて侯爵邸か市庁舎の警備に回してもらえると嬉しい」

「う”ーん……それは俺がヤだぁ。だってそしたら夜間配備されるじゃん。朝ご飯も一緒に食べれなくなるし、なにより帰ってきてディディがいないなんて!俺を一人で寝かせる気!?」


「夜間配備は毎日じゃないし。たった数日じゃない」

「数日でも無理!ディディに”おかえり”って言ってもらえないなんて!俺、なんのために仕事がんばってんの!?」

サニーは駄々っ子のようにダニエルに抱きつく。


女王陛下のためでしょ……っていうか、サニーも案外あまえたなのよね。

大きな身体でぎゅうぎゅう纏わりつかれると、大型犬にからまれてるみたい。

……んもぉ、かわいいんだから。
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