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【13】闇い炎 ① ー深く考えるのはおよしなさいー

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 サニーを包んでいた隘路がヒクッ、ヒクッと大きく収斂しゅうれんを繰り返すと、彼も色香を含んだ声をあげた。

「ディディ!」
 ギリギリまで肉棒を抜き、手で握った部分までを膣内に押し入れる。
 尻たぶと肉棒を掴む拳がぶつかり、何度か身体を揺すられた後、一際大きくダニエルの愛称を呼び、サニーは突然肉棒を抜いた。


「はぁ、はぁ、ディ!……ディディ!!」
「んっ、んぁ、あぁぁぁ……」

 ズルッと、肉筒を埋めていたものが抜けていく。
 猛々しい男根は糸をひき、射精してないのに白濁にまみれ、おそろしく卑猥ひわいだ。

 サニーは漆黒の瞳孔をギラギラと光らせながら、苦しげに牙を剥いた。
 その剥き出しの欲望に、ダニエルの心臓はキュンと音をたてる。

 彼に強く求められている。
 快楽の霧がかかった頭で、その事実に歓喜した。

 サニーはダニエルのへそめがけて二度、三度と、肉棒を強く扱きあげる。
 次の瞬間、逞しい男の身体が震え、熱い飛沫ひまつを噴き出した。


 花の香りに混ざり、青い匂いが広がる。
 鈴口からパタパタと精液が垂れ、ダニエルの肌の上に落ちた。
 その白い体液は、やけに熱く肌をひりつかせる。

 彼の褐色の肌にも汗が滲み、腹筋の凹凸が波のように上下する。
 絶頂を極め艶を帯びた表情に、胸がキュンとした。


「ーーー!!」
 ふいに視線をあげたサニーと目が合い、ダニエルは息をのむ。

 彼の瞳に、色欲以外の仄暗ほのくらい感情をみた気がしたからだ。
 それが何かはわからない。
 でも確実に、得体の知らないくらい炎の影がった。

 真っ暗な闇にのまれそうになり、ダニエルの背中に冷たい汗が流れる。


 サニーは長い睫毛を何度か瞬かせ、鷹揚おうようにどさりと倒れ込んだ。
 二人の息遣いは、はぁはぁとせわしない。

「イッてしまいました」
 飄々とした口調でそう申告したサニーは、もういつもの彼だった。


 とろけるような甘い笑みを零す彼に、ダニエルはホッと息をつく。
 そして深く考えるのはお止しなさいと、自分に言い聞かせた。

 身体を重ねれば、その人の違った一面を知る事がある。
 性癖だったり、予想外な性格だったり、心に秘めた過去だったり。

 それらを真に受け、いちいち心を動かしていたら、遊びなんかしてられない。


 可愛い、綺麗だね、好きだ、愛してる。
 それらの甘い言葉が、性交するためのリップサービスであるように、一時の感情は気の迷いに過ぎない。

 彼がどんな感情を抱いていようが、自分には関係ない。
 ただ最高のセックスができれば、それでいいのだ。


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