完全幸福論

のどか

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~番外編~

雪の果てに消えるー6ー

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どことなくバツの悪そうな、居心地の悪そうなふたりにジオとニナはさっさと双子を押し付けてリヒトのもとに行こうとした。
しかし、いつの間にかぎゅうっと握られた紅葉のような手が服から剥がれない。

「「にぃに!」」

片手でひしっと服を握り、さっさと連れていけとリヒトが眠っているソファーを指さす。

「……ベッドから脱走した時も思ったが、」
「本当にリヒトのこと大好きよね。この子たち」
「言ってる場合か!さっさと引き取れ!!」
「ぎゃーーーー!!!ボスぅううう!?
 なに手ぇ離してんですか!?リヒト様が寝てるのに野放しにしちゃってもいいんですか!?」

ニナの大絶叫をものともせずに床に降ろされたセイラは真っ直ぐにリヒトを目指す。
それを見たアルバもパシパシとルナの手を叩いて降ろしてもらうとセイラのあとを追いかけた。

「……俺はあいつらを赤ん坊だとは認めねぇ」
「奇遇ですね。私もそう思います」

ヒクリと頬を引き攣らせた大人たちの現実逃避は双子がソファーによじ登ってリヒトの胸にのしかかりペチペチと頬を叩きだすまで続いた。

「セイラもアルバもめっ!!お兄ちゃんは寝てるの!ねんねなのよ!!邪魔したらメっでしょ?!」
「おい、誰がお前らもそこで寝ろっつった?リヒトが重そうだろうが。降りろクソガキ」
「「ヤっ!やぁあああ!!にぃに!」」
「うぅ~ん、せいら?あるば?」
「にぃ!おあよ!」
「おあよ!にぃに!」
「おはよう……?」
「「あい!!」」

さぁだきしめろ!!
寝起きでまだ頭が上手く働いていないリヒトに双子は満面の笑顔で抱っこを要求した。

「ジオとニナにいっぱい抱っこしてもらったんじゃないの?」
「「にぃ!!」」
「わかったよ。ていうか、なんで俺の上にのってるの?重いし苦しいんだけど。
 このままじゃしてあげられないよ。」
「やぁ!や!ぱー!」
「まー!」
「……私たちは運搬係ですか。そうですか。もういい加減泣いてもいいかな!?」
「登れても降りられねェのか。……いや、でもベビーベッドから降りたよな」
「「ぱー!まー!」」
「パパとママって…?え?ぇえええっ!?」
「おはよう。リヒト」
「起こして悪かったな」
「お、おはよう?
 だいじょ…あぁあああ!!」


いろいろと盛大にぶちまけた事を思い出したリヒトはパニックに陥った。
俺、なんか一杯言っちゃったよね。
言わなくていいこととか、言ったらダメなこととか、ボスに知られたくないこと沢山言っちゃった気がする。
どうしよう。どうしよう。どうしようーーーー!?

「リヒト?」
「~~~~~~っ!!ジオー!!ニナー!!」

火事場のなんとやらで双子をノクトとルナに押し付けてリヒトはドアの近くで成り行きを見守っていたジオとニナの手を引っ掴んでかけ出した。

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