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イニシャルMH
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アタシとヒエが浅い眠りから目覚め、暖かい布団から名残惜しそうに……静かに眠っている2人を、起こさないように静かに起きて身支度を済ませて玄関を後にする。
「さっ寒い! 私今日は……」
「ヤエに怒られるよ」
「アタシ等の為にヤエは奮発して防寒着を買ってくれたんだ」
「わかってるって……」
「じゃあ行こう」
ヒエの手を引いて歩いて配達所まで向かうと、今日は早めに新聞の荷降ろしが始まっていた。急いでチラシを折り込む作業をヒエと並んで始める。
自分が配達する担当分を自分のバイクに積み込むと
「ヒエ! 今日も飛ばして行くよ!」
「勝負ね! 何を賭ける?」
「自販機のコンポタ!」
「オッケー!」
2人でバイクを並べると、アタシ達の配達の速さで賭けをしてる。おっさんおばちゃんがスタートのカウントを始める、アクセルを吹かして待つ!
「3! 2! 1! スタァァアアトッ!」
勢い良く発進する! ここ最近ヒエとの勝負は、五分五分迄持ち直して来たんだ! 今月は勝ち越させて貰うよ! 時々凍った路面をタイヤを滑らせながら駆け抜け一軒一軒ポストに丁寧に突っ込んでいく! ここまでは順調! 防寒着のお陰で寒さはキツくない
「サンキュ! ヤエ!!」
まぁ買ってくれた1番の原因は師匠のインフルエンザ何だけどね……それでも! ヒエは村松方面、距離のハンデはあるが、アタシは配達の量が多い五分五分だ。1番の難所の住宅街へと入って行く、ここでのタイムロスは馬鹿にならない! まとまった区画なら脇に新聞を区画分を纏めて挟み込み、エンジンは切らずギアをニュートラルにしてダッシュで次々と投函を繰り返す! いちいちバイクで一軒一軒回るよりこっちの方が早い! まだ空は暗い……さぁ中盤戦だ! 更にスピードをあげる! 次のエリアに向かう為にショートカットをする、アタシのテクニックとカブを信じてタイヤ2本分の細い田んぼ道を駆け抜ける! 今の時期だから落ちても平気だけど、初めてこのショートカットを行った時は水を張った田んぼに落ちて新聞を駄目にして怒られたっけ……だけど! ヒエが現れてアタシの最速配達記録が抜かれた時に、もう一度チャレンジして成功させた掟破りのショートカットだ! 行くぜッ!
結果は……アタシの勝ちだった! だが……ヒエの帰りが遅い、何時もなら……ほぼ同時に帰ってくるのに何か変だ! まさか……転んだか? 皆が心配し始めている、スマホを取り出してGPSで調べて見ると……反応が出ているが動いて……いや動いてる? もしかして……心配した社長が電話を入れてるが出ないようだ
「社長、アタシ行ってきます! 場所分かりましたから!」
「わかった! 気をつけてな!」
地図アプリで確認した場所を頭に叩き込んでカブで勢い良く飛び出す! ヒエ、アンタに何かあったら配達所の皆が……それよりもヤエと師匠が1番悲しむんだよ!
「アタシ達は家族だ!!」
GPSのポイント付近までやって来るとまだ辺りは暗い、スマホを取り出して再度確認すると動いてる?
「こっちか!」
数百メートル離れた場所にヒエがバイクを押しながら歩いていた……まさか……
「ヒエー!!」
「んあ!? 茉希!!」
「何やってんのさ! 社長心配してたよ!」
「いや~油断したわ、ガス欠でさ……帰るまで持つと思ったんだけどね……」
「配達は?」
「それはちゃんと終わらせたよ、さっき言ったじゃん帰るまで持つと思ったって」
「全く心配させないでよ! 今社長に連絡するから!」
さっさと電話を掛けると、社長の安堵の声が聞こえた。
「ガソリン代は後で立替えるから、ちゃんと帰って来なさい」
「わかりました!」
電話を切ると。
「さっさと行こうガススタ迄、まだちょっと歩かないと」
「もう汗だくよ……足が痛い腰が痛い……」
「しょうがないなぁ……心配させた罰だよ」
「心配してくれたの茉希が?」
「だってさヒエに何かあったら悲しむよ?」
「あっ……ごめん」
「今だから言うけど……アタシ、ヤエとヒエに嫉妬してた……アタシには絶対に入り込めない程……」
「私とヤエと健の魂が溶け合っている事?」
「ヒエ達は師匠が人として死んでもずっと一緒なんだよね?」
「そうよ私達の魂は、存在は永遠と言える程……だから?」
「うん、アタシは仲間外れだって……でも諦めきれなくて……アパートに」
「そう言えば隣の部屋から出て、押しかけてきたわね?」
「うん……不安だった……嫌われたら……追い出されたらって」
「でも受け入れてくれた……嬉しかった、一緒に暮らしてお祭り行ったり、指輪を買いに行ったり」
「そのうち気が付いた……あぁアタシはいつの間にか4人で家族なんだって」
「茉希……」
「アタシの家ってさ特殊だったじゃん……友達もだから……アタシが求めていたものが……そこにあったんだ」
「そっか……幸せ感じてる?」
「そりゃあもうビンビンにね! ほらガススタだよ!」
「これで一安心出来るわぁ~」
2台ともガソリンを満タンにすると
「満タンだしいっちょ行っとく?」
「仕切り直しね!」
「オッケー!」
「じゃあ配達所までレディGO!!」
明るくなり始めた空の下カブを爆走させ、ゴールを目指して走らせた。
「たっだいま~」
「おかえりなさい2人共、お疲れ様!」
「お疲れさん!」
「うふぅ師匠! 大好き!」
そう言うと思いっきり抱きついた……もうヒエもヤエも何も言わない。
「どうしたのさ? 茉希ちゃん」
「あはッ! なんでかなぁ?」
同じ男を愛した、それを認め合ったのだから……アタシは最後まで一緒には居られない、それを2人は知っている。ならせめてその時まで4人でいようね……
「さっ寒い! 私今日は……」
「ヤエに怒られるよ」
「アタシ等の為にヤエは奮発して防寒着を買ってくれたんだ」
「わかってるって……」
「じゃあ行こう」
ヒエの手を引いて歩いて配達所まで向かうと、今日は早めに新聞の荷降ろしが始まっていた。急いでチラシを折り込む作業をヒエと並んで始める。
自分が配達する担当分を自分のバイクに積み込むと
「ヒエ! 今日も飛ばして行くよ!」
「勝負ね! 何を賭ける?」
「自販機のコンポタ!」
「オッケー!」
2人でバイクを並べると、アタシ達の配達の速さで賭けをしてる。おっさんおばちゃんがスタートのカウントを始める、アクセルを吹かして待つ!
「3! 2! 1! スタァァアアトッ!」
勢い良く発進する! ここ最近ヒエとの勝負は、五分五分迄持ち直して来たんだ! 今月は勝ち越させて貰うよ! 時々凍った路面をタイヤを滑らせながら駆け抜け一軒一軒ポストに丁寧に突っ込んでいく! ここまでは順調! 防寒着のお陰で寒さはキツくない
「サンキュ! ヤエ!!」
まぁ買ってくれた1番の原因は師匠のインフルエンザ何だけどね……それでも! ヒエは村松方面、距離のハンデはあるが、アタシは配達の量が多い五分五分だ。1番の難所の住宅街へと入って行く、ここでのタイムロスは馬鹿にならない! まとまった区画なら脇に新聞を区画分を纏めて挟み込み、エンジンは切らずギアをニュートラルにしてダッシュで次々と投函を繰り返す! いちいちバイクで一軒一軒回るよりこっちの方が早い! まだ空は暗い……さぁ中盤戦だ! 更にスピードをあげる! 次のエリアに向かう為にショートカットをする、アタシのテクニックとカブを信じてタイヤ2本分の細い田んぼ道を駆け抜ける! 今の時期だから落ちても平気だけど、初めてこのショートカットを行った時は水を張った田んぼに落ちて新聞を駄目にして怒られたっけ……だけど! ヒエが現れてアタシの最速配達記録が抜かれた時に、もう一度チャレンジして成功させた掟破りのショートカットだ! 行くぜッ!
結果は……アタシの勝ちだった! だが……ヒエの帰りが遅い、何時もなら……ほぼ同時に帰ってくるのに何か変だ! まさか……転んだか? 皆が心配し始めている、スマホを取り出してGPSで調べて見ると……反応が出ているが動いて……いや動いてる? もしかして……心配した社長が電話を入れてるが出ないようだ
「社長、アタシ行ってきます! 場所分かりましたから!」
「わかった! 気をつけてな!」
地図アプリで確認した場所を頭に叩き込んでカブで勢い良く飛び出す! ヒエ、アンタに何かあったら配達所の皆が……それよりもヤエと師匠が1番悲しむんだよ!
「アタシ達は家族だ!!」
GPSのポイント付近までやって来るとまだ辺りは暗い、スマホを取り出して再度確認すると動いてる?
「こっちか!」
数百メートル離れた場所にヒエがバイクを押しながら歩いていた……まさか……
「ヒエー!!」
「んあ!? 茉希!!」
「何やってんのさ! 社長心配してたよ!」
「いや~油断したわ、ガス欠でさ……帰るまで持つと思ったんだけどね……」
「配達は?」
「それはちゃんと終わらせたよ、さっき言ったじゃん帰るまで持つと思ったって」
「全く心配させないでよ! 今社長に連絡するから!」
さっさと電話を掛けると、社長の安堵の声が聞こえた。
「ガソリン代は後で立替えるから、ちゃんと帰って来なさい」
「わかりました!」
電話を切ると。
「さっさと行こうガススタ迄、まだちょっと歩かないと」
「もう汗だくよ……足が痛い腰が痛い……」
「しょうがないなぁ……心配させた罰だよ」
「心配してくれたの茉希が?」
「だってさヒエに何かあったら悲しむよ?」
「あっ……ごめん」
「今だから言うけど……アタシ、ヤエとヒエに嫉妬してた……アタシには絶対に入り込めない程……」
「私とヤエと健の魂が溶け合っている事?」
「ヒエ達は師匠が人として死んでもずっと一緒なんだよね?」
「そうよ私達の魂は、存在は永遠と言える程……だから?」
「うん、アタシは仲間外れだって……でも諦めきれなくて……アパートに」
「そう言えば隣の部屋から出て、押しかけてきたわね?」
「うん……不安だった……嫌われたら……追い出されたらって」
「でも受け入れてくれた……嬉しかった、一緒に暮らしてお祭り行ったり、指輪を買いに行ったり」
「そのうち気が付いた……あぁアタシはいつの間にか4人で家族なんだって」
「茉希……」
「アタシの家ってさ特殊だったじゃん……友達もだから……アタシが求めていたものが……そこにあったんだ」
「そっか……幸せ感じてる?」
「そりゃあもうビンビンにね! ほらガススタだよ!」
「これで一安心出来るわぁ~」
2台ともガソリンを満タンにすると
「満タンだしいっちょ行っとく?」
「仕切り直しね!」
「オッケー!」
「じゃあ配達所までレディGO!!」
明るくなり始めた空の下カブを爆走させ、ゴールを目指して走らせた。
「たっだいま~」
「おかえりなさい2人共、お疲れ様!」
「お疲れさん!」
「うふぅ師匠! 大好き!」
そう言うと思いっきり抱きついた……もうヒエもヤエも何も言わない。
「どうしたのさ? 茉希ちゃん」
「あはッ! なんでかなぁ?」
同じ男を愛した、それを認め合ったのだから……アタシは最後まで一緒には居られない、それを2人は知っている。ならせめてその時まで4人でいようね……
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