カルピスサワー

ふうか

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カルピスサワー 64

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 びくびくと身体の中でふるえる性器を感じる。
 それから、宮下の長いため息。
 ぺたりと宮下の胸に身体を預けたその背中に腕が回って脱力する。はぁはぁと熱い息を吐いて二人で脱力感を味わう。
 頭の中はなんだかぽわぽわして、宮下が動き出す前のあのゆるい快感がまだ続いているみたいだった。夢の中にそのまんま入っていくみたいな、そんな感じ。

 あまりの気持ち良さにうつらうつらしていると、耳元に宮下がキスをする。
 なんかもう身体の力が抜けて、首を上げることすら億劫でぞわぞわとした感触と一緒に「ん」とそれを受け止めた。そのままぎゅと抱きしめられて、ごろんと横に転がされる。
 ふっ、と気合を入れて俺の身体を転がすのが可笑しくて、くすくすと笑う。

「重いんですよ」
「うん、知ってる」
「だから気合い入れないと……」
「うん」

 内容はどうでもいいんだけど、宮下の声が耳に心地良くて、もっとしゃべっていて欲しい。だけど口を開く元気もないみたいな……。

「ねぇ、早く拭かないと汚れちゃう」

 ティッシュを取りに離れようとする宮下に無意識に身体を寄せて咎められる。

「んー?」

 いま気持ちいいのに離れたくなくて、わかっているのにわかっていないふりで返事をする。

「ちょっとだけ、ここだけ拭かないと……」

 そう宮下が言う間にも、二人の間に挟まれた体液がつと肌を伝う。まあいいじゃんと思いながら、慌てる宮下に全部まかせて、ころんと上向きに寝転がる。
 シュッとティッシュを何枚も引き抜く音がして、ぺたぺたと腹の上に薄くて柔らかい紙が貼り付けられて、冷えた体液が脇腹を伝う感触が止まる。そのまま尻の下にも何枚かのティッシュを敷いてから、自分の処理をする。
 その甲斐甲斐しさをぼんやりと見ながら、それでも腹の上の紙に手を伸ばしてのろのろと体液をぬぐう。そうしていると少しずつ現実に引き戻されていく。

 のろのろしているうちに手早く自分の処理を終えた宮下が、やりますよ、と腹の上のティッシュをまとめて身体を拭う。自分でやれば平気なのに、宮下に触れられるとティッシュの感触にさえびくりとふるえてしまう。
 宮下もそれがわかっているのか、何となくそれを愉しんでいる節もあるけれど、それも嫌いではないみたいな。
 腹の上を胸元まで拭って大量のごみを放り出す。

「風呂、行きますか?」

 股間のローションでぺたぺたと張り付いて残ったティッシュを取りながら宮下が聞いた。

「んー…、入りたいけどめんどくさい」
「ですよね。まあそうだと思ったけど。じゃあちょっと待っててくださいね。寝てもいいけど……、ベッドには上げられませんからね」
「だいじょ……、寝ない……」

 自分でも本当かどうか怪しいと思う返事をして、立ち上がる宮下を見送る。宮下は世話をやくのが好きなのか、あれでいてなかなか甲斐甲斐しい。
 どちらかと言えばずぼらで面倒くさがりの俺がそのまま寝そうになると、必ず身体を拭ってきれいにしてくれる。本当は中に出した日には洗浄までしたいらしいが、それはそれで体力も必要だし、幸いにして俺の腹は丈夫らしいのでその辺は大分おざなりになってはいる。

 すぐに温かくして絞ったタオルを手に戻った宮下が、腹から身体を拭っていく。ローションが乾いた部分は拭いてもなかなか落ちなくて、丁寧に何度も拭われる。
 その感触がくすぐったくて、思わず身をよじる。動かないで。くすぐったいんだよ。というやり取りも毎回のものだ。

 ざっくりとでも丁寧に身体を拭うと、足を広げてひざを立てさせる動きに協力する。
 セックスの前はともかく、終わってからのそのポーズは最初こそ慣れなかったが、何度もされるうちにすっかり慣れてしまった。それどころか、今ではこうやって世話をやかれているのもなかなか心地がいい。

「薬も塗りますよ」
「ん……、頼む」

 なんて、いつの間にかそんなことも平気で頼むようになっている。最初の頃なんて終わったら自分でシャワーを浴びて、薬なんて隠れて塗っていたというのに。
 ……これって、実質介護では?と思いながら、まあいっか、と思う。実際の介護なんてさせる気はないけれど、そうやって世話をやくのが案外楽しいことはよく知っている。

 たたみ直して綺麗な面を表にしたタオルが会陰部から肛門に押し当てられて温められた。それをされると身体の中の凝りが抜けるみたいな、例えば緑茶を飲んでほっとした時みたいな、端的にいえばすごくホッとする。
 ふう、と息を吐くと、宮下は絶妙なタイミングでその部分を丁寧に拭っていく。

 宮下の温かい手がお腹を撫でるのを合図にお腹に力を入れると、穴がゆるむ。しばらくそれを繰り返すとだらりと中に出された精液があふれた。
 力を入れた瞬間にたらと股を伝う精液の感触は耐え難くて、いくら放っておいて平気でもこれだけはやっている。

 あとは視覚的なサービスみたいな。
 宮下がそれを好きかどうかを直接聞いたことはないけれど、自分が突っ込んでいた穴から自分の精液が垂れてくる様子を見るのが嫌いな男はいないだろうと思う。
 ……つまりは、俺がそれを見るのが好きだってことなんだけど。
 でも出される側になってみたら、それはそれで悪くなくて、恥ずかしいけどその感じがたまんなくて、それが、受け身というかこっちの素質あったんだなと思った理由の一つでもある。

 それはともかく、精液を吐き出したその場所を拭って宮下がゆっくりと薬を塗りこめた。少しぞわぞわするそれを息をつめて耐える。
 単純に薬を塗るというには長い時間を、名残惜し気にいじっていた指が「はい、おしまい」という言葉と同時に離れてほっと息をつく。
 後始末されているうちにだいぶ意識もはっきりして、動いてもいいかなって気にはなったんだけど、それも面倒くさくてまあいいかと思う。
 スッキリして体の熱が引くと急に肌寒さを感じて、もそもそと這って裸のままふかふかの布団が被せられたこたつにもぐり込んだ。

「うー…、あったかい」
「あっ、またそんな格好のまま……」
「ちょっとだけだって」
「って言って、そのまま寝ちゃうじゃないですか」
「大丈夫、寝ない」

 ちっとも信憑性のない言葉を返しても、やっぱり宮下は納得しなくて、これでいいから着てと部屋着を渡す。

「ん」
「シャワー浴びて来るんで、ちゃんと着てくださいよ?」
「わかったって」

 口先だけで返事をしてこたつ布団を引っ張った。そんな俺を見て、仕方ないなって顔をして宮下が浴室に姿を消す。時計を見るとまだ九時前でこのまま寝てもいいけど、寝るのは惜しい気がした。
 このままここで寝てしまえば、シャワーを上がった宮下が起こしてくれるかな。たぶん怒られるか呆れられるけど、それでも眠る前にうとうとしながら話をする時間が好きで。一人で眠るより二人で眠りたいと思いながら目を閉じた。せせ
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