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私、桜乃由紀は決心しました。今までずっと言えなかった気持ち、ここで伝えようって決めました。
「私ね・・・」
由紀が春斗に対して抱く感情とは・・・。
俺、井上春斗は今一世一代の出来事を迎えようとしていた。ついにこの時が来てしまった。由紀と・・・。
「春斗に言わなくちゃいけないことがあって・・・」
わかってるよ。みなまで言うな。
「全部覚えてたの・・・5歳の時、私の事助けてくれてありがとう」
春斗は目を丸くして由紀を見つめた。
「ちょっと待て・・・てことはあれか?それを伝えるがためだけにわざわざ俺を探してたのか?」
由紀は不思議そうな顔をして言った。
「そうだよ?だって、2人の前だと恥ずかしくて言えないんだもん・・・」
由紀が恥ずかしそうな顔で言った。
(なんだったんだよ!ほんと紛らわしすぎんだろ!)
あの言い方は絶対そうだったじゃん!?まじ思わせぶるのやめろよ!
「どうしたの?あ、もしかして~告白だと思った?」
由紀がにやりと笑った。
「は?なわけないだろ?勘違いすんなバカ!」
春斗が恥を隠すかのように不貞腐れた顔で言った。
「だよね?春斗に限ってそんなことあるはずないよね」
少し寂しそうな顔で地面に視線を落とす由紀の姿を見て、またしても春斗は心で自問自答をしていた。
(え?何その顔・・・そんな顔はずるいじゃん!女の武器ふんだんに使うのやめろよー!)
今回ばかりは心の声が顔に表情として出てしまった春斗。しかし、由紀はさすがの幼なじみ。
「あれ?顔赤いよ?もしかして~可愛いとか思った?」
由紀があっけらかんとした表情で春斗に言った。
「ちげーよ」
春斗が調子に乗るなと言わんばかりに由紀のデコに向かってデコピンをキメる。
痛がる由紀をスルーして早歩きで帰路に向かった。
「ちょっと待ってよー」
痛がる暇もなく由紀は春斗の方に走っていった。こうしていつもと同じ時間が流れるのだった。
2人の恋愛はいつ実るのやら・・・。
翌日、学校に行くと昨日のことが嘘のように学校生活を送れていた。
昨日はごめんね!
由紀と薫のいる教室では2人に謝る女の子が続出していたのだ。
「大丈夫大丈夫。誤解が解けたみたいで良かったよ。」
2人は周りをなだめることに追われていた。
このことがきっかけとなり、2人は教室の中心にいた。
ところでさ!井上くんと仲良いんでしょ?今度紹介してよ~。
ねーね~、速水くんと中学からの同級生でしょ?私ちょー好みなんだ!
今後2人は別のことに頭を抱えることになりそうだ。
そんなことは知らず、玲と春斗は中庭の木陰で密会をするように話していた。
「2人に危害が及ばなくて良かったね」
玲が爽やかな笑顔で春斗に言った。
「誰のせいだと思ってんだよ!」
玲の気楽な言葉に春斗が呆れたようにため息をついた。
あそこにいるのもしかして、井上くんと速水くんじゃない?
どこどこ?
あそこあそこ!
何話してるんだろー。ほんとあの2人って絵になるよね~。
見てるだけでご褒美だわ・・・。
え・・・
入学当初から同級生問わず高学年の女の子にも人気のある2人。入学してから2日目になるが三州高校で彼らを知らない女の子はいないだろう。それほどまでに彼らの容姿は一際目立っていた。
そんな彼らを面白くないと思う者も中にはいた。
校舎の影から彼らを見る人影、危害を加えるでもなくまるで2人を観察するかのような視線を彼らに向けていた。
しかし、その存在に気がついている玲。誰にも悟られないように目だけでその人影を見ていた。
「そろそろ教室行こっか」
玲が春斗に提案する。
「やべっ、もうそんな時間か・・・」
玲の言葉に焦りの表情を浮かべて言った。
「早く戻ろうぜ」
春斗と玲は急ぎ足でお互いの教室に戻った。
(あいつ俺たちをなんのために見てたんだろう・・・)
教室に戻りながら、玲は先程の人影のことを考えていた。
(なにかしようって訳でもなさそうだったし・・・しばらくは様子みで大丈夫かな?)
そう考えている内に教室の前に戻ってきた2人。
「それじゃ、また昼休みにな」
春斗が玲にそう言うと、自身の教室に戻って行った。
二限、三限と刻は進み・・・。昼休みになった。
春斗、玲、由紀、薫の4人は中庭でお昼を食べていた。そんな中、玲はあることが気になっていた。
「ねぇ、由紀のお弁当って誰が作ってるの?」
そう、あまりにも見た目が美しく美味しそうに見える由紀のお弁当を誰が作っているのかということだ。
玲の問いかけに由紀が応える。
「私が自分で作ってるよ?」
その言葉に玲だけではなく薫も驚きを隠せず。
「自分でつくったの?!」
2人が声を揃えて言った。
その2人の様子に、いつもの見なれた光景であるかのような表情で購買のサンドイッチを食べながら春斗が言った。
「中学から自分で作ってたよな?」
春斗の言葉にまたしても2人が驚く。4人の何気ない会話。それを校舎の影から覗くさっきの人影・・・。
その正体とは・・・。
「私ね・・・」
由紀が春斗に対して抱く感情とは・・・。
俺、井上春斗は今一世一代の出来事を迎えようとしていた。ついにこの時が来てしまった。由紀と・・・。
「春斗に言わなくちゃいけないことがあって・・・」
わかってるよ。みなまで言うな。
「全部覚えてたの・・・5歳の時、私の事助けてくれてありがとう」
春斗は目を丸くして由紀を見つめた。
「ちょっと待て・・・てことはあれか?それを伝えるがためだけにわざわざ俺を探してたのか?」
由紀は不思議そうな顔をして言った。
「そうだよ?だって、2人の前だと恥ずかしくて言えないんだもん・・・」
由紀が恥ずかしそうな顔で言った。
(なんだったんだよ!ほんと紛らわしすぎんだろ!)
あの言い方は絶対そうだったじゃん!?まじ思わせぶるのやめろよ!
「どうしたの?あ、もしかして~告白だと思った?」
由紀がにやりと笑った。
「は?なわけないだろ?勘違いすんなバカ!」
春斗が恥を隠すかのように不貞腐れた顔で言った。
「だよね?春斗に限ってそんなことあるはずないよね」
少し寂しそうな顔で地面に視線を落とす由紀の姿を見て、またしても春斗は心で自問自答をしていた。
(え?何その顔・・・そんな顔はずるいじゃん!女の武器ふんだんに使うのやめろよー!)
今回ばかりは心の声が顔に表情として出てしまった春斗。しかし、由紀はさすがの幼なじみ。
「あれ?顔赤いよ?もしかして~可愛いとか思った?」
由紀があっけらかんとした表情で春斗に言った。
「ちげーよ」
春斗が調子に乗るなと言わんばかりに由紀のデコに向かってデコピンをキメる。
痛がる由紀をスルーして早歩きで帰路に向かった。
「ちょっと待ってよー」
痛がる暇もなく由紀は春斗の方に走っていった。こうしていつもと同じ時間が流れるのだった。
2人の恋愛はいつ実るのやら・・・。
翌日、学校に行くと昨日のことが嘘のように学校生活を送れていた。
昨日はごめんね!
由紀と薫のいる教室では2人に謝る女の子が続出していたのだ。
「大丈夫大丈夫。誤解が解けたみたいで良かったよ。」
2人は周りをなだめることに追われていた。
このことがきっかけとなり、2人は教室の中心にいた。
ところでさ!井上くんと仲良いんでしょ?今度紹介してよ~。
ねーね~、速水くんと中学からの同級生でしょ?私ちょー好みなんだ!
今後2人は別のことに頭を抱えることになりそうだ。
そんなことは知らず、玲と春斗は中庭の木陰で密会をするように話していた。
「2人に危害が及ばなくて良かったね」
玲が爽やかな笑顔で春斗に言った。
「誰のせいだと思ってんだよ!」
玲の気楽な言葉に春斗が呆れたようにため息をついた。
あそこにいるのもしかして、井上くんと速水くんじゃない?
どこどこ?
あそこあそこ!
何話してるんだろー。ほんとあの2人って絵になるよね~。
見てるだけでご褒美だわ・・・。
え・・・
入学当初から同級生問わず高学年の女の子にも人気のある2人。入学してから2日目になるが三州高校で彼らを知らない女の子はいないだろう。それほどまでに彼らの容姿は一際目立っていた。
そんな彼らを面白くないと思う者も中にはいた。
校舎の影から彼らを見る人影、危害を加えるでもなくまるで2人を観察するかのような視線を彼らに向けていた。
しかし、その存在に気がついている玲。誰にも悟られないように目だけでその人影を見ていた。
「そろそろ教室行こっか」
玲が春斗に提案する。
「やべっ、もうそんな時間か・・・」
玲の言葉に焦りの表情を浮かべて言った。
「早く戻ろうぜ」
春斗と玲は急ぎ足でお互いの教室に戻った。
(あいつ俺たちをなんのために見てたんだろう・・・)
教室に戻りながら、玲は先程の人影のことを考えていた。
(なにかしようって訳でもなさそうだったし・・・しばらくは様子みで大丈夫かな?)
そう考えている内に教室の前に戻ってきた2人。
「それじゃ、また昼休みにな」
春斗が玲にそう言うと、自身の教室に戻って行った。
二限、三限と刻は進み・・・。昼休みになった。
春斗、玲、由紀、薫の4人は中庭でお昼を食べていた。そんな中、玲はあることが気になっていた。
「ねぇ、由紀のお弁当って誰が作ってるの?」
そう、あまりにも見た目が美しく美味しそうに見える由紀のお弁当を誰が作っているのかということだ。
玲の問いかけに由紀が応える。
「私が自分で作ってるよ?」
その言葉に玲だけではなく薫も驚きを隠せず。
「自分でつくったの?!」
2人が声を揃えて言った。
その2人の様子に、いつもの見なれた光景であるかのような表情で購買のサンドイッチを食べながら春斗が言った。
「中学から自分で作ってたよな?」
春斗の言葉にまたしても2人が驚く。4人の何気ない会話。それを校舎の影から覗くさっきの人影・・・。
その正体とは・・・。
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