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第六章 異世界ツアー

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「うおーっ、スミカ、カッコいいじゃん」

「思い切ったね」

「もう少し伸びたら、染めようと思ってるんだ」

「なんか、異世界村って雰囲気出てるよ」

「じゃ、俺からお土産。好きなの選んでよ」

「すっげえ、ナイフじゃん!」

「ベルトもあるからね」


 やがて、野菜も実をつけ、ニワトリも落ち着いて玉子を生むようになってきた。

「ダメだ、ニワトリが野生化してて、全然捕まえられないよ」

「暗くなれば、勝手に小屋に戻ってくるんだからいいだろう」

「村長、犬を導入したらどうっすかね」

「犬?」

「まだ出てないけど、キツネやイタチみたいなもんが出たときに、役に立ちますよ」

「犬か……苦手な人はいないの」

「「「大丈夫です」」」

「じゃ、募集します。
ご家庭の都合などで、飼えなくなった人がいましたらこちらへ」

「なんですかそれ」

「こうしておけば、テロップを入れてくれるよ……多分」

「大型犬っすよね。シェパードやレトリーバーなんかの」

「シベリアンハスキーやワイマラナー、セントバーナードもいいなぁ」


 3週間後、2頭の犬がやってきた。
2頭ともシェパードだった。
名前はロンドとカリブ。3才の雄と雌だ。
どちらも人懐っこく、躾もできていた。

「ロンド、果物採取にいくよ」

ワン

「カリブ、釣りに行くぞ」

ワン

 聞き分けもよく、すぐに全員になついた。
だが、それから、局の前に置き去りにされる犬が数頭でてきた。

-当番組では、無責任な飼い主のしりぬぐいをするものではありません-

 このような案内をしても、犬の放置は続いた。
そして、あっという間に犬は8頭に増え、中には生まれたばかりの子犬も2頭いる。

「まさか、こんなことになるなんてね」

「申し訳ないっす。
自分が無責任な発言をしたばっかりに」

「いや、犬を飼うっていうのは全員が同意したんbんだから、ジナンが気にすることはないよ」

 エサは、新たにスポンサーに加わったペットフードメーカーから提供されるので負担もない。
だが、抵抗力のない子犬は、数日後に息を引き取った。
全員が見守る中で、静かに逝ったのだ。
ジナンの懸命のマッサージでも息を吹き返すことはなかった。

「なんで、こんな目も開いてない子犬を捨てるんですかね……」

「ホント、許せないよな……」

 子犬はコロと名づけられ、見晴らしのいい丘に埋葬された。
もう一匹の子犬はスクスクと育っていった。

「へえ、パピヨンだったんですね」

「こんな、放し飼い状態で飼う犬じゃないよね」

「そうでもないっすよ。
確か、狩猟犬で運動能力は半端ないって聞いたっす」

 その言葉通り、パピヨンのシジミは1m以上の塀をジャンプで飛び越え、恐ろしい速さで地を駆け抜けた。
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