俺の部屋が異世界に転移したみたいだ‼

第六章 異世界ツアー

異世界美食同好会

　二組目の異世界ツアー希望者は、異世界美食探求同好会さまです。

「でも、向こうの世界に、そんな美味しいものなんてないですよ」

「こちらにない食材ならなんでもいいんです。
魔物のタマゴとかありませんでしょうか」

「タマゴですか……
あっ、キングクラブという大きなカニがいますよ」

「いいですね、どれくらいなんですか？」

「足を広げると２ｍになります。
それと、クジラエビ、こっちは１．５ｍの巨大なエビになります。
ただ、キングクラブは深海なんですよね」

「面白そうですね。
クルーザーの持ち込みはできるんですか？」

「大丈夫ですよ」

「では、8時間契約として、契約料４０万円の成功報酬１件につき３０万円でいかがでしょうか。
クルーザーには５人乗り込みますが、終日で１００万円であれば損はないと思いますが」

「そ、そんなにいただいてよろしいんでしょうか」

「企画はＴＶ局に売り込みますし、美食亭というスポンサーもついていますので大丈夫ですわ」


　正式な契約となるため、契約先はオフィス末永として、浅見に任されることになった。
浅見は、シュウ末永の代理人である。

「浅見さん、こんなに高くていいんでしょうか？」

「ＴＶ局に売りこむんでしょ。
だったら、安いくらいよ。
別の世界にＴＶカメラが入るのは初めてじゃないけど、こういうアドベンチャーものは初めてだもの」

「そうなんですか」

「ゴールデンタイムの２時間特番よ。しかも、高視聴率間違いなしって企画だもの、スポンサーはいくらでも付くわよ」

「はあ、じゃ契約はお願いします」

「了解よ」


　当日、クルーザーの停泊するヨットハーバーから、瞬間移動でジュールの沖に移る。
クルーザーに乗っていたのは、申込者である釣鐘好代さんと、俳優の松方田弘樹、それとクルーだった。

「じゃ、キングクラブを探してみますから、ちょっと待ってくださいね」

「じゃ、俺のほうは仕掛けをセットしちゃうからね。
エサは、本当にホッケの開きでいいの？」

「死んだ魚ならなんでも大丈夫だと思いますよ」

「じゃあ、もう一本の竿は、シャケの切り身にしてみるからね」

「どうぞ、ご自由に。
えっと、３００ｍ西に移動してください」

「３００ｍね、了解」


「はい、この辺でエサを落としてください」

「水深は？」

「１５０ｍだね」

「じゃ、１５０ｍっと。
シャケの切り身も行っちゃうよ」

「あっ、水流で流されてますね。
船長さん南に５ｍ移動してください」