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第二部 神の娘  第五章スーパー中学生

話が違うよ

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これまで、県大会で3位どまりのチームが勝ち抜けたのは、アカネのパスによるところが大きい。

アカネはギリギリのパスを出し、あんなの無理だと言ってきた選手には絶好のパスを出し、次は必ずという意思を見せた選手にはギリギリを続ける。

「おいおい、今年の一年は強くなるぞ」

顧問や監督には先が見えているのだった。
現に、勝ち抜いたチームにはアカネを入れて3人がレギュラー入りしている。
6人が3年で、2年はふたりだった。

だが、そのチームもベスト8で敗れた。

「来年に期待してるぞ」 そういって3年生は去っていった。


バレー部の中で、アカネは身長が低いほうだった。
だが、身長を補うだけのジャンプ力がアカネにはあった。
しかし、監督はレシーバーとしてのアカネに目を付けた。
セッターにボールを返せるかというと、まだそこまでのレベルにはない、
だが、どんなボールでも上にあげる。
ローリング、回転レシーブやフライングレシーブを覚えてからは顕著だった。

そして、アカネは一年ながらレギュラーの座を勝ち取った。
とにかく、反射速度が尋常ではないのだ。
それでいて、フェイントは早い時点で見抜くため、フェイントがフェイントにならないのだ。
そして、これだけの掛け持ちがあると、試合日程が重なることもあり、バレー部は県大会3位という順位に落ち着いた。


ソフトボールでは3番サードというポジションだった。
アカネはその反射速度を活かして、極端な前進守備をする。
前進すればするほど、守備範囲が広がるのだ。
問題は、試合日数が多いことだ。
アカネは剣道とサッカーを優先したため、出場できない試合も多く、結果として早い時点で敗退してしまった。


硬式テニスは個人戦だけ出場し、県大会で優勝してしまった。
なにしろフットワークが違う。リストの強さが違う。向かうところ敵なしである。


そして、剣道部も全中の県予選を迎えた。
直前までもめたのだが、藤堂カスミは先鋒として出場することになった。
大将はアカネである。
カスミは先鋒なら勝つという確信があった。
大将だとこれが9割に落ちる。

確実に全国へ行くために、カスミはアカネを大将に据えたのだ。
これで、次鋒・中堅・副将のうち一つ勝てば勝利が確定するのだ。

対戦相手は驚いた。
アカネがいくら小学校で名をはせたといっても一年である。

それを大将に据えて、カスミが先鋒など考えられなかった。
そして、次鋒・中堅・副将の三人も、四か月の道場通いでとんでもなく上達していた。

そう、気迫からして違っていたのだ。
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