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第四章

人獣と獣人

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「お、おう『汝、我の下僕となり我に仕えよ、テイム!』」

「あっ、もう一匹いますね『精神支配!マインドハーネス』
どうしますか?」

「わたしは一匹で十分だ。お前がテイムすればいいだろ」

「はあ……。おいで」

俺はスーツ・スライムにぴょん吉と名付け、知能向上とスキル一式を与えて同化させた・

「へえ、暖かいんですね」

「そうだ、夏は涼しく冬は暖かい」

「このあとはどうします?」

「私は、今日一日かけるつもりだったから特に予定はないが」

「じゃあ、一緒に最下層まで行きましょう」

「ふ、二人で最下層だと……」

「大丈夫ですよ。
あらためまして、シュウです」

「チーターの獣人、シルビアだ」

「チーターの獣人って珍しいですよね」

「人を珍獣扱いするな。
確かに数は少ないな。
お前こそ何なんだ、エルフには見えないし、竜人とも違う」

「俺はヒトですよ。
この世界にはいない種族です」

「じゃあ、ナニモンなんだ」

「神の使いってやつです。
ほら、牛丼の店の」

「ああ、カシバーとかいうウマイボーみたいな奴だな」

「ルシファーです。ルシファー」

「どっちでも構わないさ。
だが、安くて旨いのは助かってるがな。
よし、今日はお前の驕りで牛丼パーティだな」

「それ、逆じゃないですか。
手助けした俺がご馳走してもらえるんじゃないの?
まあ、牛丼くらいなら奢りますけど……」

ぴょん吉に身体強化を付与して、触手として使わせてみたら、面白いようにモンスターを倒してくれた。

さすがに最下層のボスまでは倒せず、俺が一撃で屠った。

「じゃあ、牛丼を食べに行きましょうか。
瞬間移動を使いますから、僕につかまってください」

「お、おう」

シュン!

「あっ、オーナーお帰りなさい」

「ただいま。
牛丼4っつお願い」

「オ、オーナー?」

「そうですよ。
言いませんでしたっけ」

「くっ、それならもっと高いもの奢らせればよかったか」

「そういえば、獣人のみなさんって、動物に変身できるんですか?」

「全員が変身できるわけじゃないさ。私は出来るけどな。
チーターからもとに戻った時に、素っ裸になっちまう。
そういう意味でも、スーツ・スライムは獣人にとって都合がいいんだ」

「お待ちどうさまです」

「へへ、いっただきます」

ぺろりんちょ

スーツスライムは一瞬で牛丼をたいらげた。

「これからは二人前の食費を稼がねえとな」



「ただいまにゃ」

「おかえり。竜人国の騒ぎはどうだった」

「カレーの付け合わせは、福神漬けかラッキョウかで熱くなってたにゃ。
そのうちに、カレーにかけるのは醤油かソースかでまた盛り上がってるにゃ。
付き合いきれないから帰ってきたにゃ」

「そういうのは昔っから熱くなるんだよな。
目玉焼きは片面焼き(サニーサイドアップ)か両面焼き(ターンオーバー)かで盛り上がったり、パンツはトランクスかブリーフかとかな」

「にゃ、目玉焼きは片面焼くから目玉焼きにゃ」

「日本は片面が多いんだけど、外国じゃ両面焼きも多いらしいぞ」

「どっちでも、好きな方を食べればいいにゃ。
クロウも牛丼、紅ショウガ抜きにゃ」

「紅ショウガ抜きの牛丼なんて信じられない……」

「好き好きにゃ!
だいたい、木に登れないネコ科は邪道にゃ」

「登れないわけじゃない、単に爪が引っ込まないだけだ。
その分、早く走ることができるぞ」

「それこそ、ネコ科の名折れだにゃ。
爪は普段隠しておくから効果的にゃ」

「はいはい。どっちもネコ科なんだからケンカしない」

「にゃ、そいつはヒトベースの獣だから獣人にゃ。
クロウはネコベースの人だから人獣にゃ!」
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