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第四章

もうひとりの神

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一通り動物を捕獲し、あとはバンパイアたちに任せることにした。

「やっぱり、魔界だけが違う。これから行ってみるが、万一の時は子供たちを頼むな」

「シュウ……」

「先延ばしにしても、いつ攻めてくるかわからないんだ。
それなら、こっちから攻めたほうがやりやすい」

「……わかった」

「じゃあ、行ってくる」

嫁たち全員を集めて魔界行きを告げた。
流石に何があるか分からないからだ。

シュン!

荒涼とした岩だらけの世界。
そこを多目的装輪装甲車パトリアAMVで飛んでいく。
中国から天山山脈を抜けてヨーロッパに向かうが何も出てこない。
ギリシャを抜けメソポタミアにそれはあった。

バベルの塔……

多目的装輪装甲車パトリアAMVが強制的に着陸させられる。
下から登って来いってか。
一階から中に入っていく。
いわゆる悪魔と呼ばれる尻尾と蝙蝠の羽を生やしたものが数体。
簡単に切り伏せるとエフェクトを残して消滅する。

2階には大蛇を手にした男。36匹の小悪魔が横にいる。
これは魔法を直接ぶつけたら消滅した。

ゲームのような意図的な構成を感じる。

3階には書物を手にした男と36匹の小悪魔。
開いた本のページと小悪魔が同時に襲ってくる。
最初の1ページ目が物理障壁を無効にするが、俺は難なく男と小悪魔を切り伏せる。
物理障壁は再生しなかった。

4階は美形の男が26匹の小悪魔を引き連れていた。
これも問題なく屠る。

これは、ソロモン72柱を模したイベントだろうと考えられた。
2階はアンドロタリウス
4階はセーレ
6階はベリアル
各階自体は大したこともないが。
ところどころでスキルを無効化され、73階に着く頃にはすべてのスキルを封じられていた。

74階にはルシファーと思しき悪魔が鎮座していた。

「どうかね、72柱はオモシロかったろう」

「な、何のためにこんなことをする」

「単なる退屈しのぎだよ。
想像してみたまえ、永劫の時を生き、無限の力を持つものが何を欲するか」

「何のために呼んだ」

「メッセンジャーになってもらうのさ。
死体でね」

「……」

「あはは、冗談だよ。
君たちの神に伝えたまえ、一年後に戦おうと」

「神と……たたかう……」

「僕とあいつは同じ存在なんだよ。
そして、何千年かに一度世界の管理者の座をかけて戦い、勝ったほうが管理者に、負けたほうが今の僕のように野に下る」

「その戦いが起きた時、僕たちはどうなるんですか?」

「世界の半分は崩壊する。この世界のようにね」

「それは回避できないんですか」

「さっきも言ったけど、我々は退屈しているんだよ」

「半分ずつ分けるとか……」

「戦いそのものが娯楽なんだよ。
それよりも、面白いものを提供してくれれば考えてもよいけどね」

「一年ですね」

「ああ、一年だ」

「どうやって連絡すればいいんですか」

「そうだね、きみのところのクロウにチャンネルをつないでおこう」



こうして俺は帰った。
猶予は一年。

サクラに言って、神様を呼び出して一年というのを伝える。

「回避できないんですか?」

「向こうがやめるというのなら考えてもよいぞ」

「半分ずつというのは?」

「理屈では可能だな」

「……」
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