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第四章
PTSD
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よわった。
何もする気が起きない。
妻たちとセックスしようにも、勃起しなかった。
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)だろうか……
俺はアメリカでカウンセリングを受けることにした。
このような場合、最初に必要なのが「安全感覚の確立」だ。
つまり、身の危険を感じる心配はなく、誰かが助けてくれるという信頼感の回復。
次に必要なのは.「責任の所在の変革」だ。
事件が自分自身の責任で起こってしまったと自責的、自罰的にならず、適切で妥当な範囲で起こった責任を外に向けかえること。
そして、対処可能性の向上。
自分自身の能力やスキルや資源を用いて、危険を回避できるという自分自身への信頼感の回復。
東日本大震災の時に、PTSDに対して、どうしたらよいかは学んでいる。
だが、俺の場合、誰も助けてくれない。
結局自分で何とかするしかないのだ。
責任を転換するのは容易だ。
スペインのせいだと考えればいい。
そして、モヤモヤを感じていた時に、もっとよく考えて行動していれば回避できた。
先に、ちょっとクギを指しておけばよかったのだ。
だが、これでは堂々巡りにしかならない……
俺は定例のミーティングでスペインの侵略行為を報告した。
「馬鹿者!」
ハリスさんに怒鳴られた。当然だ……
「なぜ、君が責任を感じる必要がある。
思いあがるなシュウ、このプロジェクトの責任者は私だ。
スペインをけん制しておかなかったのは、気づけなかった私の責だ」
「えっ?」
「君は、我々の要望を叶えてくれるし、大きな力を持っている。
自分の責任だと感じる気持ちはよくわかるが、最終決定権は私にある。
あそこまで調整しておきながら、それでもスペインが文明を滅ぼすと気づけなかったのはこのプロジェクトの責任であり、私の落ち度だ」
ああ、そうだった。
いつの間にか、自分一人でやっているつもりになっていたが、ホールを閉じるまではプロジェクトで動いていたのだ…
そして、俺はカエデにすべてを打ち明けた。
「そっか、ここに連れてくればよかったのに」
「えっ?」
「ここは、世界で一番安全な場所だよ。
なにかあれば、お爺ちゃんやお父さんお母さんが飛んできてくれる。
タイガやシズクもいるし、チーターたちもいるんだから、シュウが少しでも不安に思ったらここに連れてくればいいの」
「いいのか」
「いいに決まってるでしょ。
全部ひとりで抱え込まないで。
ここにいるのはシュウの家族なのよ」
ああ、そうだった……
自分には家族がいたんだ……
それでも、完全に吹っ切れたわけではないが、気持ちがスッと軽くなった。
ミュウとクロにはかわいそうなことをした。
俺は、花を持ってミュウの墓に向かった。
何もする気が起きない。
妻たちとセックスしようにも、勃起しなかった。
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)だろうか……
俺はアメリカでカウンセリングを受けることにした。
このような場合、最初に必要なのが「安全感覚の確立」だ。
つまり、身の危険を感じる心配はなく、誰かが助けてくれるという信頼感の回復。
次に必要なのは.「責任の所在の変革」だ。
事件が自分自身の責任で起こってしまったと自責的、自罰的にならず、適切で妥当な範囲で起こった責任を外に向けかえること。
そして、対処可能性の向上。
自分自身の能力やスキルや資源を用いて、危険を回避できるという自分自身への信頼感の回復。
東日本大震災の時に、PTSDに対して、どうしたらよいかは学んでいる。
だが、俺の場合、誰も助けてくれない。
結局自分で何とかするしかないのだ。
責任を転換するのは容易だ。
スペインのせいだと考えればいい。
そして、モヤモヤを感じていた時に、もっとよく考えて行動していれば回避できた。
先に、ちょっとクギを指しておけばよかったのだ。
だが、これでは堂々巡りにしかならない……
俺は定例のミーティングでスペインの侵略行為を報告した。
「馬鹿者!」
ハリスさんに怒鳴られた。当然だ……
「なぜ、君が責任を感じる必要がある。
思いあがるなシュウ、このプロジェクトの責任者は私だ。
スペインをけん制しておかなかったのは、気づけなかった私の責だ」
「えっ?」
「君は、我々の要望を叶えてくれるし、大きな力を持っている。
自分の責任だと感じる気持ちはよくわかるが、最終決定権は私にある。
あそこまで調整しておきながら、それでもスペインが文明を滅ぼすと気づけなかったのはこのプロジェクトの責任であり、私の落ち度だ」
ああ、そうだった。
いつの間にか、自分一人でやっているつもりになっていたが、ホールを閉じるまではプロジェクトで動いていたのだ…
そして、俺はカエデにすべてを打ち明けた。
「そっか、ここに連れてくればよかったのに」
「えっ?」
「ここは、世界で一番安全な場所だよ。
なにかあれば、お爺ちゃんやお父さんお母さんが飛んできてくれる。
タイガやシズクもいるし、チーターたちもいるんだから、シュウが少しでも不安に思ったらここに連れてくればいいの」
「いいのか」
「いいに決まってるでしょ。
全部ひとりで抱え込まないで。
ここにいるのはシュウの家族なのよ」
ああ、そうだった……
自分には家族がいたんだ……
それでも、完全に吹っ切れたわけではないが、気持ちがスッと軽くなった。
ミュウとクロにはかわいそうなことをした。
俺は、花を持ってミュウの墓に向かった。
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