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第三章
ゾンビ
しおりを挟むアメリカ、アトランタ上空で奇妙なものが撮影された。
「間違いありません。ガーゴイルです」
「すると、これは君の世界から……」
「いえ、ガーゴイルは魔族の偵察隊です。
魔族については、僕もそれほど知っているわけではありませんが、向こうの世界で遭遇した時は、5mほどの真っ暗な穴を通ってやってきていました」
「すると、どこかにその穴が開いているというのか」
「少なくとも、飛行ルートの延長線上は調べた方がいいと思いますよ」
穴はすぐに見つかった。
廃ビルの屋上にあったのだ。
警察は直ちに周辺を閉鎖し、軍は現地の対応にあたった。
「屋上の一部を破壊し、底の側から確認しましたが、下からは普通に空が見えます。
棒を突っ込んでも。このとおり何も起こりません。
ところが、下から石を投げると落下する途中で消失します」
「やはり、空間に穴が開いていると考えるべきだろうな」
「次に、上から遠隔操作でカメラを入れてみました」
「暗いな」
「根本的に光源がないせいです。
昼夜の区別があるのかどうかは、時間経過を待たないと不明です。
カメラを水平状態にします」
「上下逆なのか」
「というよりも、同じ状態。つまり、向こうも上に向かって穴が開いていると判断できます。
上下を逆にします」
「薄っすらと地面が見えるな」
「穴を通過した、こちらの光の影響と思われます」
「岩場のようだな」
「はい。
それで、こちらからドローンを投入してみましたが、突入した瞬間に通信が切れました。
慌てて操縦ユニットを穴に突っ込んで、カメラ越しに捜査して回収はできましたが……」
「動くものは?」
「現在、カメラ4台を設置して監視しておりますが、今のところ変化はありません。
一応、武装した兵士を10名配置し、監視を継続していますが、何か出現した場合はどうしますか」
「一応呼びかけを行って反応を待て。
ただし、危険と感じたら射殺するように」
「了解」
「プレジデント、いかがいたしましょうか」
「部隊投入の準備は?」
「一個小隊が下のフロアで待機中です。
指示があればいつでも」
-うわっ-
「どうした」
-と、突然ネズミのような生物が!階下に逃走中です-
「逃がすな、絶対に捕まえろ」
-一名、噛まれた模様、医療スタッフのところに行かせます-
-こちら11階フロア。ネズミなんぞ……捕まえろ!-
-逃げられました。下のフロアで対応願います-
-こ、こちら屋上、噛まれた兵士が……ウワッ!-
「どうした!屋上チーム」
……
「くそ、何があった」
-こちら、チーム11、屋上の兵士が……まるでゾンビです。撃て、撃て-
「チーム11、どうなった!応答しろ!」
-チーム09、ネズミ捕獲できず。階上からの攻撃に備えます-
-こちらチーム01.上から兵士が落ちてき……、動き出しました!うわぁ-
「シュウを呼べ!緊急事態だ!」
「ゾンビなら、銀をありったけ用意してください。
それから、周辺を封鎖して、ゾンビが現れたら確実に頭と膝を打ち砕いてください」
「頭だけでは止められないというのか」
「ダメです。ともかく動けなくして、これ以上の広がりを防いでください。
あと、警棒ありますか、ありったけください」
「ど、どうするんだ」
「手持ちの銀がありますから、先っぽをコーティングします。
これで触れれば灰になりますから」
「くそう、ゾンビが出てくるとは……」
「いや、出てきたのはネズミらしい。ネズミに噛まれた者がゾンビ化したようだ」
「そのネズミは?」
「まだ、捕まっていない」
「場所は?」
「アトランタだ」
「ヘリを出してください。僕が行きます。
銀と警棒を急いでヘリに積んでください」
「わかった」
「現地の宝石店に連絡して、銀製品を何でもいいから提供させてください。
それをゾンビに投げつければ撃退できるはずです」
「わかった、よろしく頼む」
「あっ、現地のライブ映像ありますか」
「ああ、一階が写ってる」
「銀と警棒はここへ。瞬間移動で行きます」
警棒50本と銀2kgを抱えてアトランタに飛ぶ。
警棒を50本まとめてコーティングし、現地の兵士に渡す。
「ゾンビの肌にこの警棒の先を叩きつけてください。
かすっただけでも大丈夫ですから」
「わ、分かった」
「『サーチ:ゾンビ!』
くっ、多いな。先に外のゾンビを退治します。
ビルから出てくるゾンビはさっき言った方法で倒してください。
じゃ、お願いします」
俺は高速移動でゾンビを倒して回る。
最後はビルに残ったゾンビだ。
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