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第三章

ユーフラシア連邦

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カエデのお腹が目立ってきた。
ちなみに、チートリアルの子は俺の子ではなかったらしい。
だが、できる限りのことはしてやる。

チーターたちには、新路線の飛行艇を任せてある。
どうやら時速500kmで安定させるために全翼機にするようだ。
ジュールの島巡回用には従来のものを使う。

ジュールの議会では、やはりゴルとドランを見下した意見もあったようだが、先日の俺を見た者が同意し可決された。
ゴルドランの方では、ついでにタンペイも吸収しようという意見が多かったため、結局大陸全部を網羅したユーフラシア連邦共和国が誕生した。
国といっても、あくまでも議会制であり、俺が初代議長で、副議長がセキさんとタナーさん。ケビンとタイラ氏は書記長という肩書で落ち着いた。
本部はドランに設置され、月1回の定例議会が開催される。

ジュールには養豚と稲作を導入することにした。
タンペイには食肉用の牛とトウモロコシである。
牛と豚はどちらも、正規にアメリカで購入する。

こうして、ユーフラシア連邦は急速に発展していく。
働き口はいたるところにある。
次は衛生と健康。それから教育である。
衛生については、クリーンと水の魔法具を普及させることで対応できる。
各町に公衆浴場を設置し、入浴を習慣づけることも成功した。

集合住宅を全部の町に建設し、住まいも確保しつつ、病院と学校・職業訓練所を併設していく。
同時に住民台帳を作り、税金も公平に徴収していく。



やがて、カエデは俺の子供を産んだ。
当面、カエデと子供は日本で育てていくが、落ち着くまではカエデの実家で…
おい、道場で育てるのかよ……。不安しかねえぞ。

「名前はどうしようか」

「黒髪で黒い瞳だから、私の名前と同じ植物の名前がいいな」

「植物か……、ヒマワリ、桔梗、サクラはいるし……、2月3日の誕生花はカスミソウか」

「カスミって、いいんじゃない。末永かすみ」

「漢字は香純かな。
カスミソウの花言葉は夢見心地だってさ」

カスミには、ステータスエディットのスキルが備わっていた。
いずれは、自分で操作できるのだが、俺はカスミに防御系の常時発動スキルをセットしておいた。



「国の運営も、ひとまず落ち着いてきましたので、私は以前のように相談役に退き、後任にセキさんを推薦したいと思います」

「なぜですか、何かご不満でも」

「いえ、結構強引に進めてきましたけど、やっぱり一歩離れた視点で見た方がいいと思うんですよ。
歪んだところがあれば、それを提言して、セキ議長の下で是正していただく。
そういう時期にきたんだと思っています」

「確かに、議長に頼りすぎていたと思う。
議長は地球側との調整で不可欠の存在ではあるが、このところ、こちらでの活動に偏っていた。
どうだろう、議長の提案を受けて、セキ新議長でやってみたらいいかと思うのだが」

こうして、ユーフラシア連邦の新体制が発足した。



「なあ、ケビン。
そろそろ、お前も向こうとの交渉をやってみないか」

「おいおい、言葉もわからないのに、どうしろっていうんだよ」

「言語変換はセットしてやる。
当面、俺と一緒に交渉の場に同席するだけでいい」

「そうすると、書記長はタイラに任せるのか」

「ある程度は分散してやればいいだろう」

「まあ、魅力的な話ではあるな」

「だろ。
それとさ、俺の印税やマーメイド達の稼いだ金が大分あるんだ。
ビールとか大量に買い付けて、国をあげて祭りでもやってみないか」

「そうだな、年に一度くらい、そういう日があってもいいかな」

「よし、肉祭り決定な」

「ああ」

とは言っても、それほど大げさなことでもない。
20万人規模のお祭りである。
ちょっと大きな市程度である。横浜市や川崎市には全然及ばない。

ビール、ワイン、ソフトドリンク。
豚肉、牛肉、鶏肉。
各種オードブルにスナック類。
ともかく買いまくった。

予算?
一人5000円として10億円程度だ。
発電機を用意して、音響設備も整える。

ともかく、この世界には娯楽が少ない。
宗教観もない代わりに、音楽もないのだ。

試験放送的に、ポップスや民族音楽を流してやると、それなりに興味を持つ者が現れる。
木の棒で金属をたたいたり、竹を叩いたり。
音楽が生まれると踊りが始まる。
こうして、新しい文化が生まれつつあった。
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