上 下
51 / 224
第二章

嫁と親族

しおりを挟む
「うーん、さすがに資金が厳しくなってきたな……」

「あら、金で良ければ、シマガメ様のところにありますよ」

「えっ、まだ生きてるじゃないか」

「歴代のシマガメ様の残した金とミスリルです。
金が2000kgくらいで、ミスリルは3000kgくらいだと思います。
ご自由に使ってくださいな」

「1トンって、金相場が5000円/gとして……、500憶!
国家予算規模じゃねえか!
いや、日本の国家予算は300兆円規模か……
県の予算にも全然届かねえよ……」

だが、これでジュラルミンとアクリルの購入費用はできた。

「飛行は3地点の巡回、魔力波の発信機を設置すれば、そこに向かうだけですから問題ないですね。
安全性を考えるなら時速100km。最大でも200km以下で押さえたいところですね」

「町とエルフの里まで40km。エルフの里からドワーフの里まで20km。
ドワーフの里から町までが60kmか。
滞在時間を5分として時速200kmなら1時間で1周可能だな。
ゴルとドラン間は、300kmだから、片道1時間半。2台用意してやれば、2時間に1便運航できるな。
よし、それで行こう」

「搭乗口ですが、スライドタイプのほうが良いんじゃないかと思います。
センサー機能で確認してクローズするときに、ギアを回してやるだけだから簡単」

「フォルムを、もう少し抵抗の少ないものにしたほうがいいだろう」

「クッションを柔らかくしないとお尻が悲鳴をあげそうだぞ」

「全部任せる」



「すごいものだな。加速する感じが全くないぞ」

「空を飛べる日が来るなんて思いませんでしたわ」

「ドランへ行く便は、山越えですからもっと高い場所を飛びます。
人間なんて識別できないくらいですよ」

「本当に24時間運航するのか?」

「そのほうが手間がかからないんですよ」

「ドランの町中にもほしいな。
ただ、ドランの集落は規模の小さなものばかりだからな……」

「ケビン君、それならば町を起点にした三つくらいの周回コースを作ればよいのでは。
多少の不公平感はやむを得ないものと割り切るしかないよ」

「そうですね」

「そういえば、ドランには迷宮があったな」

「ええ、ただ往復の道中が危険なので、冒険者は少ないんですよね」

「なら、迷宮の直行便を作ってやろう。
面白そうだから俺も連れて行ってくれ」

「やめておけ。
嫁たちを泣かせたくはない」

「そんなに危険なのか」

「ああ、近くの森に夢魔や淫魔が出現する」

「俺に、そんな精力は残ってねえよ……」

「それでも、精神力の弱い奴は虜になるらしい」



「ゴルの浜まで、あと二日くらいですね」

「ああ、色々と準備は進めてある」

「そうしたら、俺も日常に帰るのか」

「それにあわせて、定期便の就航だな」

「ああ、同時に連邦制を長官やギルドの長たちに説明しないといけないな」

「抵抗はありそうなのか?」

「まあ、冒険者ギルドの長くらいだろうな」

「マックだったか?」

「あれの後任でモスバガという男だ。
温和な男なんだが、コンゴウ氏に何故かライバル心を抱いているようなんだ」

「オヤジさんにかよ。何かあったのかな」

「そこまでは知らん」

「お前の式には来るのかな」

「来るとは思うが、確認はしていないぞ」

「いたら教えてくれ。直接話してみる。
それからな、余計なことかもしれんが……」

「なんだ」

「少し栄養をつけたほうがいいぞ。
一週間やりまくってましたって、顔に現れてるからさ」

「だってよお、バーバラの親族が9人だぞ……」

「気持ちは分かる。俺も同じ……
瞬間移動をセットしておいてやるから、口実を作って逃げ出せ。
それから、日本のドリンク剤と生卵とハチミツで作ったスペシャルドリンクだ」

「効くのか……」

「ああ、俺も毎日飲んでる」

「ああ、お前も嫁4人に親族だもんな……」

「結婚が、これほどハードだとは思わなかったぞ……」

「じゃ、スキルセットしといたからな。
常時発動の各種障壁と反射。体力と魔力の自動回復も追加しといたからな」

「ああ、すまん」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。 待ってましたッ! 喜んで! なんなら物理的な距離でも良いですよ? 乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。  あれ? どうしてこうなった?  頑張って断罪劇から逃げたつもりだったけど、先に待ち構えていた隣りの家のお兄さんにあっさり捕まってでろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。 ××× 取扱説明事項〜▲▲▲ 作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想、動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+ 皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。 9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ⁠(⁠*゚⁠ー゚⁠*⁠)⁠ノ

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

さだめの星が紡ぐ糸

おにぎり1000米
BL
それは最初で最後の恋だった――不慮の事故でアルファの夫を亡くしたオメガの照井七星(てるいななせ)は、2年後、夫を看取った病院でアルファの三城伊吹(みしろいぶき)とすれちがう。ふたりは惹かれあったすえにおたがいを〈運命のつがい〉と自覚したが、三城には名門の妻がいた。しかし七星と伊吹のあいだにかけられた運命の糸は切り離されることがなく、ふたりを結びつけていく。 オメガバース 妻に裏切られているアルファ×夫を亡くしたオメガ ハッピーエンド *完結済み。小ネタの番外編をこのあと時々投下します。 *基本的なオメガバース設定として使っているのは「この世界の人々には男女以外にアルファ、オメガ、ベータの性特徴がある」「オメガは性周期によって、男性でも妊娠出産できる機能を持つ。また性周期に合わせた発情期がある」「特定のアルファ-オメガ間にある唯一無二の絆を〈運命のつがい〉と表現する」程度です。細かいところは独自解釈のアレンジです。 *パラレル現代もの設定ですが、オメガバース世界なので若干SFでかつファンタジーでもあるとご了承ください。『まばゆいほどに深い闇』と同じ世界の話ですが、キャラはかぶりません。

1人だった少年は貴族と出会い本当の自分を知っていく

杜薛雷
ファンタジー
 前世、日本という国で暮らしていた記憶を持つ子供リディルは、知識を使って母親と二人、小さな村で暮らしていた。 しかし前世の知識はこの世界では珍しいもの。どこからか聞きつけた奴隷商人がリディルの元にやって来た。  リディルを奴隷にしようとやって来た商人からリディルを守った母親は殺され、リディルは魔物に襲われて逃げた。 逃げた森の中をさ迷い歩き、森を抜けたときリディルは自分の生き方を、人生を大きく変えることになる一人の貴族令嬢と出会う... ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  この作品が初めての投稿なので不安しかないです。初めは順調に投稿出来ても後々詰まってしまうと思うのでそこは気長に待ってくれると嬉しいです。 誤字脱字はあると思いますが、読みにくかったらすいません。  感想もらえると励みになります。気軽にくれると有り難いです。 『独りぼっちの少年は上級貴族に拾われる』から改名しました

この行く先に

爺誤
BL
少しだけ不思議な力を持つリウスはサフィーマラの王家に生まれて、王位を継がないから神官になる予定で修行をしていた。しかし平和な国の隙をついて海を隔てた隣国カリッツォが急襲され陥落。かろうじて逃げ出したリウスは王子とばれないまま捕らえられてカリッツォへ連れて行かれて性奴隷にされる。数年間最初の主人のもとで奴隷として過ごしたが、その後カリッツォの王太子イーフォの奴隷となり祖国への思いを強めていく。イーフォの随行としてサフィーマラに陥落後初めて帰ったリウスはその惨状に衝撃を受けた。イーフォの元を逃げ出して民のもとへ戻るが……。 暗い展開・モブレ等に嫌悪感のある方はご遠慮ください。R18シーンに予告はありません。 ムーンライトノベルズにて完結済

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

イージーモードにしてもらったはずがちっともイージーっぽくないのでどないしたろ?

紫楼
ファンタジー
「あ、死んだ・・・」  死は解放だ。  ラッキーって思ったら、次の瞬間神様という奴らが揃って謝ってきた。  私の人生が最低だったのは女神の足元で不貞腐れているヤツのせいだったとか。  もう何でも良いから昇天させてくれ。出来れば二度と生まれ変わらないように。  そう言ったら「償いを」とか大騒ぎ。  めんどくさいから適当に出来ないんだろ?って事を要求したら全部受け入れた上に元凶に対する罰もしっかり受け入れられた。  前世がしんどくて不幸だった分、楽して幸せに生きれるようにしてもらったんだけど、なんか違う。  あれだ。日本人と外国人の常識や法律が違うってやつと一緒だ。  思っていたのと全然違うけど、前世とは全く違う環境だから楽しむしかないよね?  設定ゆるゆる、独自世界設定なので細かいことは気にしてはいけません。  主人公はめちゃくちゃ口が悪いです。  エセ関西弁、近畿圏で色々混ざってる感じです。  先行き不明。主人公の気の向くまま、キャラクターが勝手に動くのを止めないのでなんでも許せる人だけお楽しみください。  R指定は保険です。魔物も出るし暴力はあると思います。  主人公の過去はトラウマに引っ掛かるとかあるかもしれないのでご注意を。  不定期更新。  カクヨムさまにも掲載してます。

【完結】そっといかせて欲しいのに

遊佐ミチル
BL
「セックスが仕事だったから」 余命宣告を受けた夜、霧島零(21)はひったくりに合い、エイト(21)と名乗る男に助けられる。 彼は東京大寒波の日なのになぜか、半袖姿。そして、今日、刑務所を出所してきたばかりだと嘘とも本気とも付かない口調で零に言う。 どうしても人恋しい状況だった零はエイトを家に招き入れる。 過去を軽く語り始めたエイトは、仕事でセックスをしていたと零に告げる。 そして、つけっぱなしのテレビでは白昼堂々と民家を襲い金品を奪う日本各地で頻発している広域強盗犯のニュースが延々と流れていて……。

処理中です...