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第二章
ケビンの選択
しおりを挟むシュン!
「お待ちしておりました。
これからケビン様には、最後の試練を受けていただきます」
「はい」
「そこの花の棺に、5人のバーバラが入ってます。
その中から、あなたの想い人を選んでキスをする。それだけです。
ほかのバーバラに触れてしまったら、その時点で終わりです。
キスをした相手が違っていても終わりです。
もう、術は発動しています。後戻りはできません」
「わかりました。はじめてもよろしいですか」
「どうぞ」
ケビンは棺の前まで歩き、躊躇なく右から2番目を選んだ。
そしてキスをする……
パン! パン! パン! パン!
「「「おめでとう~♪」」」
「ケビン様……」
「えっ、んぐっ、ングッ、待て、バーバラ、どういう事だ……」
「どうって、私は人間になりましたよ」
「こ、声は……」
「声と泡は、マーメイドを守るために歴代のマーメイドが作り上げてきたウソだ」
「ウ、ウソだと……!」
「それくらいのリスクがないと、マーメイドを嫁にしようという人が現れた時に、断りきれないだろう」
「俺が、どれだけの覚悟でここに来たと思ってんだ!」
「お前には何のリスクもない。
必要なのはバーバラの覚悟だけだからな。
最後の最後まで本気で苦しんだからこそ真実味がでるだろう」
「まあ、そうだが……」
「ここで一週間暮らせばいい。
じゃあ、俺は嫁たちを連れてくるからな」
「ルシアは、真実を……」
「カエデもルシアも知らない。
ちゃんと偽りの報告をするんだぞ」
「ああ……」
シュン!
6日後にケビンの結婚式を行う事となった。
ドランの領主邸は小ぶりな城のような作りになっており、住まいを確保する必要はない。
そこの大広間を結婚式場に作り替えてやる事にした。
俺からの結婚祝いだ。
ガンダの町にいた海賊は、同士討ちにより壊滅していた。
残された元の住民は海賊の資産や船を奪い合い、小競り合いを続けている。
「こんな町を支援する必要はないな」
「ああ、塩はマーメイドの里で作らせればいい。
こんなところ、いるだけ無駄だ」
シュン!
「ドランのケビン領主です。タイラさんに取次ぎをお願いしたい」
「はっ、お待ちください」
応接室に通され少し待つとタイラ領主がやってきた。
「おお、ケビンさんにシュウさん。
先日はありがとうございました」
「物資はお役にたちましたか?」
「ええ、助かっています。
海賊も自滅したようですが、あれもシュウさんが?」
「ええ、マーメイドを救出する際に邪魔してきましたので、同相打ちするよう仕掛けておきました」
「そうでしたか。それで、マーメイドたちは……」
「無事にシマガメの元に送り届けました。
皆、喜んでいましたよ」
「それは良かった。
ここへも、マーメイドの主たちが怒鳴り込んできましてね」
「そのあたりの事情はソフィアから聞いています。
まあ、いなくなった原因など知るはずがないと突っぱねておきましたがね」
「それでいいです。
どうしても収まりがつかなければ、僕の名前を出してもいいですから」
「まさかですよ。マーメイドに頼りきりのだらしない生活をする奴らです。
兵士に挑んでくるような根性など皆無ですよ」
「それは安心しました。
それで、将来を見据えた農業と漁業の提案をさせて頂こうと思い、伺ったのですが」
「ホントですか!
いやあ、助かります。
すぐに担当を呼びますので!」
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