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第二章

クイーン誕生

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「なあ、ケビン。マーメイドクイーンって知られているのかな」

「当然だろ。
マーメイドクイーンは豊穣なる海をもたらしてくれる。
唯一、海に面していない我が領だが、大陸全土が潤うんだ。
クイーンの出現は全人類の希望だ」

「そうか……」

「クイーンがどうかしたのか?
まさか、誕生したというのか!」

「うっ……、順を追って話すから聞いてくれ」

「明日からのガンダ行きに関係してるのか?」

「ああ、明日からの準備を終えて、昨日下見に行ったんだ」

「マーメイドに会うのを待ちきれなかったか」

「否定はしないが、西に向かって飛んだが海に出たので、南下したらタンペイの町に出た。
そこのタイラという領主と面会したのだが、2か月くらい前にガンダは海賊に襲撃されて滅びたそうだ」

「待てよ、俺は10日ほど前に、ガンダの領主代理というのに会ってるんだぞ」

「おそらく、海賊の罠だ。
お前を拉致して、物資を要求するつもりだったのだろう。
ここからが本題だ。
マーメイドは50年前に、ガンダの町の者に捕らえられ、半数が漁に出て半数が町で客をとらされていた」

「ま、まさか……」

「お前が抱いたのは、そういう状況のマーメイドだろう」

「た、確かに、泊まった部屋でマーメイドをあてがわれた……、だが、自分から志願してきたんだと……」

「そのマーメイドの名前は聞いたか?」

「バーバラという赤毛の娘だ」

「一安心だな。バーバラは最後に助けたマーメイドたちだ。
俺は抱いていない」

「兄弟にならずに済んだか……、いや、俺たちは義理の兄弟だろ!」

「ガンダを逃げ出した、半数の町民はタンペイで保護されており、その中に50人のマーメイドもいた。
だが、少数民族の種を維持するという名目でタンペイの町でも男に抱かれていた」

「タイラは食えない男だからな」

「本来のマーメイドは、シマガメという巨大な亀の元で暮らしていて、彼女たちの希望はそこへ戻ることだった。
一応、領主のタイラに断りを入れてから、彼女たちを送り届けた」

「よくタイラが承知したな」

「その前に、支援として麦20トン、小麦粉20トン。ジャガイモとサツマイモを同じだけ提供したからな。
嫌とは言えないだろう。
支援は、こことゴルの共同名義にしてある」

「まあ、相談役だし、町の持ち出しではないが、よくそれだけ備蓄してあったな」

「俺の世界で買い付けたものだ。金貨5000枚分は結構な負担だったが、こっちの世界ではカネなんて使わないからな」

「支援が必要なら言ってくれ」

「ああ、ありがとう。だが大丈夫だ、金ならそのうちに回ってくる」

「うちの相談役は頼もしい限りだ」

「それでだ、海賊の元に囚われていたマーメイドも助け出し、海賊は同士討ちするよう仕向けてきた」

「例の精神支配マインドハーネスだな」

「そうだ、明日にでも様子を見てくるが、海賊は叩き潰す」

「ああ、そうしてくれ」

「ガンダを再興するなら、また支援が必要になるかも知れないがな」

「魚を供給してもらえるなら、支援はするぞ」

「その話は後だ。
最初に助けたマーメイドから、救出した礼だといわれ抱いた」

「何人のマーメイドを抱いたのか聞かないが問題ないだろう」

「ああ、俺にも正確な数は分からない。
その最初に助けたマーメイドはソフィアという金髪の美しい娘だった。
今後もマーメイド全体の面倒をみるつもりだが、別れ際に額にキスをしたんだ」

「ああ、想像できるな」

「そしたら、ソフィアがクイーンになった」

ガタッ

「おい!」
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