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第一章

ドワーフとの酒対決

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「まずは、大分県から むぎ焼酎二階○、一升瓶を10本。アルコール度数25度です」

「うん、飲みやすいが物足りんな。ベースは麦か。わしらの作る酒に近いがな」

「次に、サン〇リーの角○、700mlを10本。アルコール度数40度です」

「おっ、いい感じだ。だが、甘すぎるな」

「次は、イギリスのシングルモルト、グレン○ィディック、700mlを10本。こちらもアルコール度数40度」

「前のと似とるが、口当たりが若干きついか。」

「続いて、僕の好きなメーカー○マーク、バーボンです。原料はトウモロコシ。今回はカスクストレングス、55度 700mlを5本持ってきました」

「うっ、少し強いがまだまだじゃのう……ひっく」 

そろそろ、ストレートでは厳しくなってきたようだ。
だが、まだ終わらない。

「ペル○ アブサン。
リキュールに分類されますが、僕の世界では伝説と言われるスピリッツです。
一度製造中止になりましたが、最近になって復活しました。
前身はニガヨモギの茎が一本入っていたと聞いていますが、これには入っていません。
緑のお酒で、アルコール度数68度の700mlを5本。
元々は薬として重用されていました。
これは強いお酒ですので、ストレートよりも何かで割った方がいいですよ」

そう言われて従うドワーフがいる訳もなく、まだ大丈夫じゃとか言ってる。
大丈夫って、お酒の味を楽しもうよ。我慢大会じゃないんだからさ。

「じゃあ、次出しますね。
沖縄で直接買ってきた ど○ん80度、一升瓶を10本持ってきました。
舐めるように少量づつ飲むと、だんだん甘味を感じてきます。
間違っても一気に煽る事はしないでください」

ぎゃっ、ひい、焼けるぅ……阿鼻叫喚かよ。

「どうですか族長、ドワーフでも火を吹くお酒でしょう……って、族長?」

族長は座ったまま白目を剥いている。

「あーあっ、ロン〇コやズブロ〇カ、ドーバー〇ピリッツ、大本命のスピ〇タスを出してないのにな……」


事の発端は、先日の首長会議である。
酒を何かで割って飲むのは邪道だというドワーフの族長。
待てよと思い出す。
自然発酵では、アルコール度数20度くらいまでしか上がらないらしい。
蒸留や熟成の技術が確立されるのは中世ヨーロッパ以降である。
もし、ご都合主義でウイスキー的なものを登場させるなら、それなりの規模の蒸留設備が必要となる。
ましてや、酒好きのドワーフが熟成を待てるとも思えない。

つまり、ドワーフが飲んでいるのはドブロクだろうと想像できる。
どぶろくの原料は澱粉を含むものならなんでも構わない。
材料を蒸して柔らかくし、麹と酵母で発酵させるだけである。
口当たりもいいし、体内で発酵が続くらしいので、度数の割に酔うらしい。
家毎にオリジナルを作成できるし、3・4日で作れる。
まさに、気の短いドワーフ向けである。

ドワーフが軟弱な酒と酷評しているのは、蜂蜜酒やりんご酒・ぶどう酒などであろう。
どぶろくにしても果実酒にしても、ストレートが美味しい。

そこで、酒によっては割って飲むべきだ派の俺対ドワーフの酒対決が決定した。

完勝である。選抜された10名の酒豪は、最終的に80度の焼酎で撃沈したのだ。
あんなものをストレートで煽れば、口・食道・胃までが悲鳴をあげる。


「「「まいりました!」」」

翌朝、族長を含む10名が負けを認めた。

「まあ、今後僕の力になってくれればいいですよ。
ところで、今回のような酒精……アルコール度数の高いお酒を作ってみたいと思いませんか?」

「「「できるのか!」」」
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