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第一章
プレオープン
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ニワトリについては、当面は数を増やすためにオスメス一緒に飼うが、ニワトリはメスだけにしておいても日に一個の無精卵を産む。
7個くらい産んだら抱卵を始めるらしい。 このへんはザムザくんに伝えておかないといけない。
オス同士は序列争いをするというから、負けそうな子は遠慮なくいただこう。
配合飼料も一緒に購入したが、ヒヨコが生まれ出したらヒヨコ用の配合飼料が必要となる。
多分、一人じゃ無理だから、先生にお願いして応援を出してもらおう。
こんな事をしていると2・3日はあっという間に過ぎる。
食堂の講習会に、プレオープンの仕込み。
そしてプレオープン当日を迎えた。
「皆様、本日は食堂のリニューアルオープンを明後日に控えたギルド食堂マリーネにお越しいただき、ありがとうございます。
忌憚のないご意見を頂戴できれば幸いです。 では、ご試食くださいませ」
俺は来客者を前にして挨拶していた。
なんでこうなったのか……お義父さんとお義母さんの陰謀によるものだ。
料理長的立場の俺は、裏方に徹するつもりでいた。そう十分前までは……
ギルド職員と領兵団。道場のメンバーに対するプレオープンだったはずが、領主がお見えになりギルマスはその対応にあたっている。
更に、隣町のギルマスが来所され、実は副ギルド長だったマリーさんが対応していたりする。
挨拶が終わったら、そっちに料理をお持ちしなければならない。
カエデはマリーさんの方だ。
「チーフ、あとは任せたぞ!」
「はい、承知しました」
応接室のドアをノックし、声をかける。
「シュウです、お食事をお持ちしました」
「おお、シュウ君、すまないね突然押しかけて」
「いえ、このようなところへお越しいただき、ありがとうございます。
こちらが、本日提供させていただいております、イノ丼・親子丼・唐揚げ丼になります」
領主用に、小盛りした茶碗を二人の前に並べる。
「あれ?」 ギルマスが変な声をあげた。
「イノ丼はイノシシのドンブリですね。 他のものはどのような食材をお使いなんですか?」
「親子丼も唐揚げ丼も、私の国のトリ肉を使っています。
クセのない淡白なトリですので、親子丼は煮込んであり、唐揚げは衣に味がついています。
親子というのは、同じトリの玉子でとじてありますので、まあ本来はトリの子供はヒナなんですがね」
「玉子って、結構貴重品ですよね。そんなに多くの玉子を確保できるんですか?
それに、お高くなってしまうのではなくって?」
「全部、街中の食堂の価格と同じくらいです。3品とも銅貨2枚でお出ししますから」
「まあ、そんなにお安く出せるんですか」
「ええ、ところで冷めないうちにお召し上がりいただいた方が……」
「うん、お言葉に甘えていただこう」
「あれ?」 またギルマスが変な声をあげた。
「お召し上がりいただきながら、少し話を続けさせていただきたいのですが」
「うん、私も続きを聞きたい」
「実は、先日ご了解いただたいた郊外の土地に、そのトリの飼育施設を作っています」
「うんうん、……ちょっと待ってくれ。
このイノ丼ってやつ美味すぎる」
「あら、親子丼も素晴らしいですわよ。
タマゴがふわふわで、お肉にもしっかり味がしみこんでいますわ」
「唐揚げも、この前のよりカリッとしてるし、肉の旨みがジワっと染み出してくる。
領民の食生活が改善されるのは大歓迎だよ」
「ええ、そこなんです。 トリの繁殖が順調にいけば、遅くとも1年後には玉子と鳥肉を市場に提供できます。
原価計算はできていませんが、最終的には玉子10個を銅貨1枚で提供できればと考えています。
玉子は栄養価も高く、様々な料理に使えますから、一般家庭の食生活が変わると思います」
「そんな金額で出せるのか!
それなら、一般家庭でも毎日食べられるじゃないか」
「そんな夢みたいなことが実現できるんですか?」
「今、40羽のメス鳥がいます。 早ければ、一ヶ月後の魔物暴走の時期あたりには5倍程度のヒナが孵ります。
そのヒナが、玉子を産むようになるには120日くらいです。その時点で、メス鳥は140羽くらいまで増えます。
次のサイクル、つまり今から300日後には300羽以上のメス鳥が確保できます。
半数は増やすために残しますが、オスの肉や一部の玉子はその頃から出荷を見込めますし、日々増えていきますから出荷個数もそれなりに期待できると思います」
「夢のような話だが、もし実現可能だというのなら、いくらでも協力しようじゃないか」
「ええ、婦人会の方でも、協力いたしますわよ」
7個くらい産んだら抱卵を始めるらしい。 このへんはザムザくんに伝えておかないといけない。
オス同士は序列争いをするというから、負けそうな子は遠慮なくいただこう。
配合飼料も一緒に購入したが、ヒヨコが生まれ出したらヒヨコ用の配合飼料が必要となる。
多分、一人じゃ無理だから、先生にお願いして応援を出してもらおう。
こんな事をしていると2・3日はあっという間に過ぎる。
食堂の講習会に、プレオープンの仕込み。
そしてプレオープン当日を迎えた。
「皆様、本日は食堂のリニューアルオープンを明後日に控えたギルド食堂マリーネにお越しいただき、ありがとうございます。
忌憚のないご意見を頂戴できれば幸いです。 では、ご試食くださいませ」
俺は来客者を前にして挨拶していた。
なんでこうなったのか……お義父さんとお義母さんの陰謀によるものだ。
料理長的立場の俺は、裏方に徹するつもりでいた。そう十分前までは……
ギルド職員と領兵団。道場のメンバーに対するプレオープンだったはずが、領主がお見えになりギルマスはその対応にあたっている。
更に、隣町のギルマスが来所され、実は副ギルド長だったマリーさんが対応していたりする。
挨拶が終わったら、そっちに料理をお持ちしなければならない。
カエデはマリーさんの方だ。
「チーフ、あとは任せたぞ!」
「はい、承知しました」
応接室のドアをノックし、声をかける。
「シュウです、お食事をお持ちしました」
「おお、シュウ君、すまないね突然押しかけて」
「いえ、このようなところへお越しいただき、ありがとうございます。
こちらが、本日提供させていただいております、イノ丼・親子丼・唐揚げ丼になります」
領主用に、小盛りした茶碗を二人の前に並べる。
「あれ?」 ギルマスが変な声をあげた。
「イノ丼はイノシシのドンブリですね。 他のものはどのような食材をお使いなんですか?」
「親子丼も唐揚げ丼も、私の国のトリ肉を使っています。
クセのない淡白なトリですので、親子丼は煮込んであり、唐揚げは衣に味がついています。
親子というのは、同じトリの玉子でとじてありますので、まあ本来はトリの子供はヒナなんですがね」
「玉子って、結構貴重品ですよね。そんなに多くの玉子を確保できるんですか?
それに、お高くなってしまうのではなくって?」
「全部、街中の食堂の価格と同じくらいです。3品とも銅貨2枚でお出ししますから」
「まあ、そんなにお安く出せるんですか」
「ええ、ところで冷めないうちにお召し上がりいただいた方が……」
「うん、お言葉に甘えていただこう」
「あれ?」 またギルマスが変な声をあげた。
「お召し上がりいただきながら、少し話を続けさせていただきたいのですが」
「うん、私も続きを聞きたい」
「実は、先日ご了解いただたいた郊外の土地に、そのトリの飼育施設を作っています」
「うんうん、……ちょっと待ってくれ。
このイノ丼ってやつ美味すぎる」
「あら、親子丼も素晴らしいですわよ。
タマゴがふわふわで、お肉にもしっかり味がしみこんでいますわ」
「唐揚げも、この前のよりカリッとしてるし、肉の旨みがジワっと染み出してくる。
領民の食生活が改善されるのは大歓迎だよ」
「ええ、そこなんです。 トリの繁殖が順調にいけば、遅くとも1年後には玉子と鳥肉を市場に提供できます。
原価計算はできていませんが、最終的には玉子10個を銅貨1枚で提供できればと考えています。
玉子は栄養価も高く、様々な料理に使えますから、一般家庭の食生活が変わると思います」
「そんな金額で出せるのか!
それなら、一般家庭でも毎日食べられるじゃないか」
「そんな夢みたいなことが実現できるんですか?」
「今、40羽のメス鳥がいます。 早ければ、一ヶ月後の魔物暴走の時期あたりには5倍程度のヒナが孵ります。
そのヒナが、玉子を産むようになるには120日くらいです。その時点で、メス鳥は140羽くらいまで増えます。
次のサイクル、つまり今から300日後には300羽以上のメス鳥が確保できます。
半数は増やすために残しますが、オスの肉や一部の玉子はその頃から出荷を見込めますし、日々増えていきますから出荷個数もそれなりに期待できると思います」
「夢のような話だが、もし実現可能だというのなら、いくらでも協力しようじゃないか」
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