16 / 224
第一章
お義父さん……
しおりを挟む
「実は、シュウは他にも面白いものを持ち込みましてね。」
そういうとギルマスはスリングショットを取り出して、鉄球を空に向けて打ち出した。
ああ、見たことのある場面だ……
「ガーゴイルですよ。今まで手が出せませんでしたが、こいつのおかげで気が付くとこうして狩っています」
「ほう、簡単な造りだが、確かに有効ですな」
もう、いつでも補充できるため、強化しておいた俺の分を差し出す。
「よろしかったら、団長さんも使ってみてください。需要があれば、いつでも取り寄せますから」
「おう、本当か!うむ、喜んで使わせてもらうよ」
領主の部屋に戻り、改めて申し出る。
「若輩者ですが。よろしくお願いします。
それから、領主様にお使いいただければ幸いです」
手土産のワイングラス入の箱を婦人に手渡す。収納まで持っているのかとササやきが聞こえる。
「まあ、何でしょう?」
箱を開けて絶句するアマンダ婦人。
「シュウさんの国で作るコップなんですよ。
透明ですから、綺麗なお酒を注ぐと宝石みたいにキラキラするんです」
「お時間があるようでしたら、俺の国の料理も持ってきていますので、どこかテーブルのある場所をお借りしたいのですが」
「うん、今日は特に用事は入っていないから構わないよ。じゃあ、食堂に移動しようか」
急な予定変更で、メイドさん達が慌てている。
「あっ、一通り用意してきましたから、取り皿とフォークだけお願いします」
メイドさんたちも、ほっとしてくれたみたいだ。
食堂に移動し、まずはワインを3本収納から取り出し、ロゼだけ栓をあける。
それを持って、カエデさんが領主夫妻のワイングラスに注ぐ。
ほう、とか綺麗とか聞こえるが、俺は自分の作業に没頭する。
人数分のワイングラス(安物)と、アルミのパーティー皿に盛り付けた料理の数々。
追加のお酒と、氷。ペットボトルのソフトドリンク。
「では、準備が整いましたので、ギルマス、乾杯のご発声をお願いします」
「えっ、……お前は、ホント突然だよな……
まあ、仕方ない、では、ゴルの町の安全と発展を願い、乾杯」 「「「カンパイ!」」」
全員が少しだけ口をつけてグラスを覗き込む。
「しっかし、透明な器でみると、ホントにキラキラしてるよな」
「ああ、見た目で酒の味も変わりそうだな」
「まさか、想像もできないような贈り物をいただけるなんて、感謝のしようもありません」
「お酒によって色も変わります。もし、ワインで物足りない方がおられましたら、こちらをどうぞ」
安物のロックグラスを30コ用意した。
国産ブランデーXOの封を切り、卓越したデザインのボトルを傾けるとコッコッコッと特有の音と香りがする。
少量ずつ、全員に配り説明する。
「少し強いお酒ですが、普通は手で温めて薫りを楽しみながら呑むお酒です。
料理も、私の国のものです。さめないうちにお召し上がりください。
こちらのソースと香辛料も、ご自由にお試しくださいね」
「まったく、シュウ君には驚かされてばかりですね。
優秀な執事ばりの進行もできるし、カエデさんとの息もぴったりだ」
「そうそう、それにこのお洋服……これもシュウさんから?」
「ええ、シュウさんの国のお洋服だそうです」
「あら、うっすらと……お化粧?」
「そんな見ないでください……恥ずかしいです」
「あらあら、あのカエデちゃんが……こんなお嬢様になるなんて……
うふふ、それで、どこまで進んであるのかしら?」
カエデさんが助けを求めるように俺を見る。
「はい、まだお義父さんの許可はいただいておりませんが、結婚したいと思っています」
ブフォーっと、盛大に吹き出す音が聞こえた。
「今朝、カエデさんに何かあったら、責任をとれと言われましたので……」
「いいじゃないですか、これほどの逸材を逃すのは町にとっても損失と言えますよ。
もし、ギルマスがダメだと言ったら、領主権限で認めますよ私は」
「あらためまして、お義父さんカエデさんとの結婚を認めていただけませんか」
「ああ、今朝の時点で諦めていた……よ、娘を頼むぞ」
そういうとギルマスはスリングショットを取り出して、鉄球を空に向けて打ち出した。
ああ、見たことのある場面だ……
「ガーゴイルですよ。今まで手が出せませんでしたが、こいつのおかげで気が付くとこうして狩っています」
「ほう、簡単な造りだが、確かに有効ですな」
もう、いつでも補充できるため、強化しておいた俺の分を差し出す。
「よろしかったら、団長さんも使ってみてください。需要があれば、いつでも取り寄せますから」
「おう、本当か!うむ、喜んで使わせてもらうよ」
領主の部屋に戻り、改めて申し出る。
「若輩者ですが。よろしくお願いします。
それから、領主様にお使いいただければ幸いです」
手土産のワイングラス入の箱を婦人に手渡す。収納まで持っているのかとササやきが聞こえる。
「まあ、何でしょう?」
箱を開けて絶句するアマンダ婦人。
「シュウさんの国で作るコップなんですよ。
透明ですから、綺麗なお酒を注ぐと宝石みたいにキラキラするんです」
「お時間があるようでしたら、俺の国の料理も持ってきていますので、どこかテーブルのある場所をお借りしたいのですが」
「うん、今日は特に用事は入っていないから構わないよ。じゃあ、食堂に移動しようか」
急な予定変更で、メイドさん達が慌てている。
「あっ、一通り用意してきましたから、取り皿とフォークだけお願いします」
メイドさんたちも、ほっとしてくれたみたいだ。
食堂に移動し、まずはワインを3本収納から取り出し、ロゼだけ栓をあける。
それを持って、カエデさんが領主夫妻のワイングラスに注ぐ。
ほう、とか綺麗とか聞こえるが、俺は自分の作業に没頭する。
人数分のワイングラス(安物)と、アルミのパーティー皿に盛り付けた料理の数々。
追加のお酒と、氷。ペットボトルのソフトドリンク。
「では、準備が整いましたので、ギルマス、乾杯のご発声をお願いします」
「えっ、……お前は、ホント突然だよな……
まあ、仕方ない、では、ゴルの町の安全と発展を願い、乾杯」 「「「カンパイ!」」」
全員が少しだけ口をつけてグラスを覗き込む。
「しっかし、透明な器でみると、ホントにキラキラしてるよな」
「ああ、見た目で酒の味も変わりそうだな」
「まさか、想像もできないような贈り物をいただけるなんて、感謝のしようもありません」
「お酒によって色も変わります。もし、ワインで物足りない方がおられましたら、こちらをどうぞ」
安物のロックグラスを30コ用意した。
国産ブランデーXOの封を切り、卓越したデザインのボトルを傾けるとコッコッコッと特有の音と香りがする。
少量ずつ、全員に配り説明する。
「少し強いお酒ですが、普通は手で温めて薫りを楽しみながら呑むお酒です。
料理も、私の国のものです。さめないうちにお召し上がりください。
こちらのソースと香辛料も、ご自由にお試しくださいね」
「まったく、シュウ君には驚かされてばかりですね。
優秀な執事ばりの進行もできるし、カエデさんとの息もぴったりだ」
「そうそう、それにこのお洋服……これもシュウさんから?」
「ええ、シュウさんの国のお洋服だそうです」
「あら、うっすらと……お化粧?」
「そんな見ないでください……恥ずかしいです」
「あらあら、あのカエデちゃんが……こんなお嬢様になるなんて……
うふふ、それで、どこまで進んであるのかしら?」
カエデさんが助けを求めるように俺を見る。
「はい、まだお義父さんの許可はいただいておりませんが、結婚したいと思っています」
ブフォーっと、盛大に吹き出す音が聞こえた。
「今朝、カエデさんに何かあったら、責任をとれと言われましたので……」
「いいじゃないですか、これほどの逸材を逃すのは町にとっても損失と言えますよ。
もし、ギルマスがダメだと言ったら、領主権限で認めますよ私は」
「あらためまして、お義父さんカエデさんとの結婚を認めていただけませんか」
「ああ、今朝の時点で諦めていた……よ、娘を頼むぞ」
0
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる