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第二章 勇者

そのメイド-回復役を勧誘する

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深雪さんは、身長は私と同じくらいで、一見細身なんですが、筋肉はしっかりついています。
茶髪で黒い瞳。
今日は青のルームウェアで来ています。

「料金は結構です」

「な、なんで……」

「多分、あなたは勇者パーティーに合流するでしょうから」

「ま、まだ決まったわけじゃないですよ」

「ダメならダメでいいんです。
でも、あなたはそういう”人のために戦う”人なんでしょ。
ですから、料金は要りません」

「あっ……、ありがとうございます。
明日にはお返事させていただきますから」

「はい、では明日」

ルイージ様のお母さまである女神にいわれたこと。
『仲間に出会えばわかる』そんな感じです。


翌日、私は大五郎を連れて組合へ。そして深雪さんがやってきました。

「これが息子の大五郎です」

「深雪です。
大五郎君って勇者なんですね。
すぐ分かりました」

「それで、どうするか決まりましたか」

「ご一緒させていただきたいのですが、母が体調を崩しておりまして……
母は行ってきなさいって言うんですけど、やっぱり一人で残していくのは心配で……」

「それなら、丸子屋さんに相談してみましょうよ。
何か、うまい方法を考えてくれるかもしれないから」

「丸子屋さんって、あの……えっ、マルコさんて……」

「別に私のお店じゃないんですよ。
でも、困ったことがあったらいつでも相談してくれって、オーナーからいわれてますので」

「じゃあ、このルームウェアとか唐揚げとか……」

「ええ、私のアイデアを形にしてもらってますから」

「昨日売り出したタコ焼きもですか」

「この鎧の素材を集めている時に、タコがいっぱい獲れましたから」

「昨日、母さんに買っていったら、こんな美味しいもの食べたことがないって」

「あらあら、丸子屋さんにいけば、もっと美味しいものがあるでしょうに」

「私が朝早くから漁に出てしまうので、プリントとかクレープはいつも売り切れなんです。
総菜は買って帰るんですけど……」

「病気のお母さんに揚げ物はねえ」

「ええ、だからじゃが丸のバターのせが一番のお気に入りで……
あっ、昨日売り出したアジフライは美味しいって」

「じゃあ、今日は何か作って持って行ってもらいましょうね」

「母さん、喜びそう……」

その日の鎧作業を終えて、深雪さんと落ち合って丸子屋に帰ります。

番頭さんに事情を説明して、何かうまい方法はと相談したんです。

「やだなあ、定吉さんから聞いてませんか?」

「えっ、何をですか?」

「丸子屋は、もちろんマルコさんの商品販売を前提として作られたんですけど、本当のところは勇者様の支援が目的なんですよ」
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