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第二章 勇者

そのメイド-長靴を思い出す

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「おっ、来てもらって申し訳ないね。
実は隣町から情報が入っていてね、うちでもスタンピード対策にスリングショットと軍靴をそろえたんだが、丸子屋が言うには簡易鎧はマルコさんしか作れないっていうもんだから、お願いできないかと思ってね」

「確かに、簡易鎧は特殊な素材を使っていますし、個人にあわせて作りますので…
で、何着程でしょうか?」

「兵団に50着と、組合でも10名ほど希望者がいるんだが」

「60ですね。
手持ちの素材では足りないので、でも、このあたりって鉱山とかありませんよね。
どうしましょうか」

「そうなんだよな。ちょっと先に駒山ってのがあるんだが、鉱石がとれたッて話はきかねえんだ。
そのあたりも含めて、一着金貨10枚出すから、引き受けてくれねえだろうか」

「わかりました。
その代わり、この町で有望な魔法使いや僧侶系の方を紹介していただきたいんですが」

「それも連絡が入ってる。
何人か候補がいるから引き合わせよう」

受付のお姉さんから組合員証を受け取って街に出ます。
まずは丸子屋さんに顔を出します。

丸子屋というのは、近江屋さんが企画した新商店で、ほかの町で競合しないマルコオリジナルの商品だけを集めたお店です。
総菜にスイーツ、ゴム製品やルームウェアなどを売るお店なんですよ。

「こんにちわ」 

「らっしゃい」

「マルコと言いますけど」

「ま、マルコさんですかい、するとそっちは大五郎君」

「はい」

「おーいみんな、マルコさんのお帰りだぞ」

「えっ、おかえりなさい」 「「おかえりなさい」」

これも、近江屋さんの提案で、初めてのお店でも、おかえりなさいと言ってくれるんです。

「商品の方はどうですか」

「絶好調ですよ。
おかげさんで、どの商品も飛ぶように売れてます」

「来る途中で考えたんですけど、雨合羽とゴム長靴があったら便利だなって」

「雨合羽とゴム長靴ですかい?」

「ええ、ゴム長靴はひざ下まであるゴムだけで作った靴で、雨に濡れても中には水が入ってこないもので、雨合羽は外套の外側に薄くゴムを貼り付けたものです。
これも、雨の日に使うと水をはじいてくれます」

細かい仕様を伝えて試作してもらうことにします。

「しばらく滞在しますけど、おすすめの宿屋さんありますか?」

「へい、それなら、二軒隣の鳴海旅館がおすすめですよ。
市場から仕入れた海の幸が評判でさぁ」

こうして私と大五郎は、当分の間、平塚に腰を落ち着けることになりました。

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