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第二章 勇者

そのメイド-議長補佐になる

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さて、後任の領主だが議会制をとろうということになり、他薦で先生と定吉さんも入ってしまいました。
5人の議員の中で議長・副議長・会計・書記・総務と役割分担をすることになりましたが、なんと先生が議長に選ばれました。

「先生、おめでとうございます」

「めでたくなんかねえよ。なんで俺が…」

「実務は絶対に嫌だというから。仕方ないじゃないですか」

「あれは罠だ。ブギョーやつ、自分が議長になりたくないからって、俺に押し付けやがった…」

「だったら、実務をみんなに押し付けちゃえばいいんですよ」

「そうだな、マルコ、お前議長補佐な」

「なんでそうなるんですか」

「議長権限だ」

「職権乱用です」

「正当な権限の行使だ。
ついでに、慰労・感謝祭の実行委員長に任命する」

「セクハラです」

「なんだそりゃ」



それからが大変でした。
町の中央広場に櫓を組み、お酒や料理の手配。挨拶の順番と乾杯の音頭…

「では、議長っつうことで、何か困ったことがあったらマルコか副議長のブギョ-に言ってくれ。
じゃ、みんなご苦労さん、来年も頑張ってくれ。乾杯!」

「「「カンパーイ!」」」

なんでそこで私の名前が出てくるのかな…

まあ、町をあげての宴会ということで、抽選会だとかちょっとしたゲームとかで盛り上がりました。

ちなみに、抽選会の特賞は議長のブロンズ胸像です。
これは受けました。

当選した主婦は、漬物石にするそうです。



こうして、日常が戻ってきました。
私は、毎日の献立を考えて、繕い物をして、自分の鍛錬を続けます。
近江屋さんにはリバーシを作ってもらい、和菓子の亀吉さんにはアイスクリームを提案します。

ある日のこと、オオガミさんと大君が訪ねてきました。
武見先生とは旧知で、雷撃を使う勇者が現れたと聞いて来られたそうです。

「うちの大五郎も、勇者の助けとなるべく育ててきた。
パーティーのメンバーとして考えておいてくれ」

「大君と一緒なら心強いです。
こちらからもお願いいたします」

大神さんは数日滞在されるようで、その間大五郎と大君。それに先生の息子さん武見一樹君の三人で手合わせをしています。

やっぱり、二歳年上の一樹君が一歩とびぬけていて、大君と大五郎は同じくらいみたいです。

それからも、大君は時々訪ねてきて大五郎たちと数日過ごして帰っていきます。
いつしか時が過ぎて、大五郎も9歳になっていました。
体も大きくなり、声も太くなりました。
長めの髪は、後ろで束ねています。

「マルコよ、わしも大五郎に教えるものは教えた。
そろそろ、パーティーメンバーを探す旅に出なさい。
魔王の勢力は日増しに大きくなっておる。
決戦もそれほど先延ばしにはできないようじゃからな」
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