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第一章 夜逃げ
そのエイド-風の刻印を得る
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「本堂に閉じ込めて一人で寝かせただけなんだが…」
「それで?」
「最初の一週間は泣き叫んでおった。
二週間目からは、何も言わず一人で寝ておったんじゃが…」
「それだけでこんな目になるんですか?」
「日中も稽古の合間に、その、わしの怒気をぶつけてやったんじゃが…
じゃが、言うことは聞くぞ。なんでも無言で実践するようになった。
基本的な体術は身についたはずじゃ」
「はあ、期待した私が間違っていました。
ありがとうございました。これでお暇いたします」
「まあ、待て、胸を出せ」
ぎょっとして襟を合わせます。
「そうではない。風の刻印を与えてやろう」
胸に三つ目の刻印が刻まれました。
ガタゴトガタゴト
「はあ、どうしよう…」
「どうかしたのか?」
振り返ると、いつぞやの大五郎君とお父さんでした。
「じつは、魔物に襲われたことがトラウマになっていて、怯え方がひどいもので、天狗さんに治してもらおうと思ったんですが…」
「ふむ、完全に心を閉ざしておるな。
呼び戻すだけならできると思うが…」
「できるんですか!」
「閉じこもっていられないほどの殺気を浴びせれば我に返ると思うのだが…」
「うまくいきますでしょうか」
「どれ」
お侍さんから殺気が放出されます。
正直、ちょっとちびりました…
「ヒッ…うわーん」
「ああ、大五郎、大丈夫。私がついていますから…」
「戻ったようだな」
「ありがとうございます」
「なに、前回迷惑をかけた詫びだと思ってくれ」
「それで?」
「最初の一週間は泣き叫んでおった。
二週間目からは、何も言わず一人で寝ておったんじゃが…」
「それだけでこんな目になるんですか?」
「日中も稽古の合間に、その、わしの怒気をぶつけてやったんじゃが…
じゃが、言うことは聞くぞ。なんでも無言で実践するようになった。
基本的な体術は身についたはずじゃ」
「はあ、期待した私が間違っていました。
ありがとうございました。これでお暇いたします」
「まあ、待て、胸を出せ」
ぎょっとして襟を合わせます。
「そうではない。風の刻印を与えてやろう」
胸に三つ目の刻印が刻まれました。
ガタゴトガタゴト
「はあ、どうしよう…」
「どうかしたのか?」
振り返ると、いつぞやの大五郎君とお父さんでした。
「じつは、魔物に襲われたことがトラウマになっていて、怯え方がひどいもので、天狗さんに治してもらおうと思ったんですが…」
「ふむ、完全に心を閉ざしておるな。
呼び戻すだけならできると思うが…」
「できるんですか!」
「閉じこもっていられないほどの殺気を浴びせれば我に返ると思うのだが…」
「うまくいきますでしょうか」
「どれ」
お侍さんから殺気が放出されます。
正直、ちょっとちびりました…
「ヒッ…うわーん」
「ああ、大五郎、大丈夫。私がついていますから…」
「戻ったようだな」
「ありがとうございます」
「なに、前回迷惑をかけた詫びだと思ってくれ」
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