メイドな俺とビビりな勇者と…

モモん

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プロローグ

そのメイド-師範の手ほどきを受ける

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「マルコ、よく聞いてください」

「はい」

「私は、女神ジルダです」

「えっ」

「お役目により、ルイージを産み、今日まで守ってまいりました。
私は明日、天に帰ります」

「ど、どうして…」

「ごめんなさい。
天帝の決められたことなのです。
でも、この世界にあなたをサポートする存在は他にもいます。
あなたは、彼らを見つけ出してルイージが魔王を倒す手助けをさせてください。
出会えばお互いわかるはずです」

「そんな…」

「私が消えることで、邪なるものたちにルイージの存在が察知されるでしょう。
この屋敷の中にいる味方は、夫とリュウ師範です。
そして、この屋敷自体が聖の結界、つまり東西南北の教会の中心にありますので、それが崩れない限りは守りの中にあります。
どうか、この子をお願いします」

「は、はい…」


翌日、奥様は消えました。
まるで、最初からいなかったかのように誰一人不思議に思わないんです。
多分、意識に働きかける何かが行われたのでしょう。

そして、私は侯爵様からこう告げられます。

「今日から、ルイージと共に奥の離れに移ってくれ。
屋敷には替え玉を用意し、リュウ師範に警護させる。
それから、万一襲撃があった場合、ルイージを連れて逃げるんだ。
このマジックバッグを渡しておく。
中には、当面の食料とルイージの装備品。
それとここを出た後の行く先が記してある。
必ず肌身離さず持ち歩くように」

「結界で守られていると伺いましたが」

「先に、どこかの教会が破られれば結界は消える。
時を置かず攻められれば、危ういのだ。
奥の離れには、外に通じる抜け道も用意してある。
そのへんは、リュウ師範から確認しておくように」


私は、リュウ師範から抜け道を聞き、いざという時に備えることにした。
それから、リュウ師範の手ほどきを受ける。

「よいか、女子のみでは腕力でどうしても劣ってしまう。
身体強化と高速移動を併用しているようだが、まだまだじゃ。
試しに、わしに打ち込んでみなさい」

トンファーの一撃は、リュウ師範の指で受け止められてしまった。

「速度を活かすなら、こういう戦い方もある」

リュウ師範の姿が二人、三人と増えていく…

「移動と停止を繰り返せば、このように相手の目をくらますこともできるじゃろう」

リュウ師範は後ろから私の後頭部を小突いた。

「じゃが、相手との速度差がないと利かぬから、足を鍛えなさい」

師範の示した訓練は、数十本の杭の上を素早く移動することだった。
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