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第一章

奪還作戦

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その日、各隊の隊長20名が招集された。

「いよいよ帰国か」

「ああ、やっと家族に会える」

すべてを知る魔法師団のコウ隊長だけはじっと黙っている。

そこへモウジュが登場する。

「わざわざ集まってもらいすまない。
緊急事態が発生した。
我らは当分帰国できない。
家族をおいてきている者には心から詫びる」

「どういう事でしょうか。
長い者はもう2年以上帰国しておりませんが」

「わしから説明する前に、本人にあってくれ。
陛下」

「「陛下だと」」 「「「なぜ陛下が……」」」

ジャン皇帝が入室する。
母さんが後に続いている。

「ミシティー国第三王女、ジェシカ・クールカン様じゃ」

「「「第三王女だと!」」」  「我々の探していた……」

ジャン皇帝が口を開く。

「わしは、この3年の間、城の地下牢に監禁されていた。
それを救い出してくれたのが、そこにいるシンジ・オーガミ君だ」

「さ、3年とは……」 「いや、出兵の時陛下にお目にかかったが……」

「混乱するのも無理はない。
現在の皇帝は偽物なのだ。
おめおめと捕らわれた我を許してほしい」

「モウジュ殿こちらが本物という証拠はあるのですか」

「親族であるわしの証言では不足か?」

「偽物の陛下に気づかなかった我々にも非があると思うが」

コウ魔法師団長の発言にみな沈黙する。

「コウよ、そういうな。気づけなかったのはわしも同じじゃ」

「今更、それを言い合っても仕方ないこと。
何より、ここにいるジェシカに迷惑をかけたこと、心から詫びる」

「ミ、ミシティーを攻めろと指示したのは……」 「偽物……」

母さんはコクリと頷いただけだ。

「では、本国に対して戦を……」

「いや、それだけは避けねばならん。
そのためには、その方らの協力が不可欠じゃ」

「いったいどうすれば良いのですか」

「焦るな。明日、ジェシカ王女に、ミシティーの国民に対して説明をしてもらう。
まずは、こちらの基礎固めを行う。
そして、もし、帰国命令がきても無視してもらう。
なに、それほど時間はかけぬ。
偽皇帝を、わしと魔法師団とそしてシンジ・オーガミで倒す」

「魔法師団だけに任せて良いのですか」

「一部のモノには、協力を頼むと思う。
本国の兵士たちに真実を伝え、こちらの味方に引き込むのじゃ。
このうち、半数は隠密裏に帰国してもらうだろう。
皆は、今日のうちに、全兵士に伝達してくれ。
明日のジェシカ王女の演説前にじゃ」

「ですが、万一偽物の討伐に失敗した場合は……」

「案ずるな。その場合はわしを偽物として捕らえ、本国に引き渡せば良い」

「私が一緒に連行されれば、ミシティーの反乱ということで収まるでしょう。
皆様にご迷惑はかけません」

「そ、そんなことをしたらお二人は……」

「数万の命と、二人の命。重いのはどちらでしょう。
何より、息子であるシンジ・オーガミが命を賭して挑むのです。
母親が命を賭けるのに問題などありませんよ」

「息子……」 「お、王子とは……」

こうして、偽皇帝討伐作戦は開始された。
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