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第一章

ロックバード

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「追加のお金は、お手数ですがギルドに届けてください。
オーク2頭はおまけでいいですから、数だけ5頭に訂正してくださいね。
……はい、ありがとうございます。
あっそうだ。ノコギリソウってロックバードの巣の近くに生えていますよね」

「……ああ」

「じゃあ、行ってきまーす」

村から駆け出して、森に入り山の山頂を目指す。
ロックバードは翼長3mの巨大な鳥で卵は30cmもある。
なので先にノコギリソウを探すとすぐに見つかった。
根元の土毎3株掘り出してリュックに詰める。
ロックバードは抱卵中で、近づくと威嚇してきたためスリープで眠らせ、腹の下から卵を取り出す。

卵を布にくるんで首からぶら下げ飛び上がり町に戻った。



「すみません。ロックバードの卵の依頼をだされた鳥類研究所はこちらでいいですか?」

「そ、そうだが、一昨日出した依頼なのにもう採ってきたのか!
それにまだ温かいじゃないか」

「ええ、抱いていればヒナが孵りますよ」

「しょ、所長!」

「なんだ、騒がしい……た、卵か!」

「ええ、さっきまで親が抱いていたので、もう少しで孵ると思います。
時々動きますし」

「いや、この時期に依頼を出せば無精卵が残っているかと思ったんだが、卵の殻でも可と書いてあっただろ?」

「あっ、忘れてました!」

「だが、有精卵ならロックバードに刷り込みがあるか確認することもできるな。
よし、私は部屋で抱卵に入る。
あっ、ノコギリソウが……」

「それも、依頼にありましたよね。
土毎持ってきましたから、鉢にでも植えてください」

「君は、ロックバードが孵ってすぐにノコギリソウを食べるって知っていたのか」

「ええ、エルフに聞いたことがありましたので、一連の依頼だろうなと思いました。
これに、確認のサインをいただけますか」

「おい、タカハタ君、卵に有精卵と書き加えて、ノコギリソウは土毎としておいてくれ。
依頼料は2倍にして、あとで届けておいてくれ」

「はい!」

「君、名前は?」

「シンジ・オオガミです」

「シンジ君か、今度依頼を出すときは、指名させてもらっていいかな」

「もちろんです!よろしくお願いします」



「ただいま~」

「あら、どうしたの?
一旦受けた依頼はキャンセルできないわよ」

「あっ、全部終わらせてきました」

「えっ、だって西の山脈……
ちょっと待って、なんでオーガになってるのよ」

「今朝になって出現したらしいです」

「オークだって5体以上はBランクの依頼よ。
えっ、ロックバードの有精卵って、ロックバードの親鳥を討伐しろって事よね。
オーガもロックバードもAランクの依頼よ」
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