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第一章

魔法

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転生物で読んだ気がするが、たしか10か月くらいで視力は0.1だったな。
正常に立体視できるのは6歳くらい。
まいったな。
音は聞き取れる。
繰り返される言葉から、俺の名前はジャスミンらしい……まさか、女じゃないよな。
股間に手をやるが、届かない。
まだ、短いんだ。
だが、オシッコをした時の感覚ではついているハズだ。
女性の感じがどんななのか、経験はないが。


おしめは、泣けば取り換えてもらえる。
多分貧しくはないのだろう。
母親と思われる声と、もう一人大人の女性の声が聞き取れる。
多分ライアというのが彼女の名前だろう。
幸いなことに、子供の声はしないから、一人っ子なのだと思う。



下の前歯のあたりがむず痒くなってきた頃、母親が咳き込むようになってきた。
日に数回の母乳は続いていたが、回数が減っていき離乳食へと取り替わっていく。
母親の咳はひどくなる一方で、それでも日に一回は母乳が続いていた。
何かできることはないのか!
そうだ、魔法が使えるんじゃないか……
ずっと続いていた体の中の違和感。
熱い感じのものが時々生まれて、体の中を駆け巡って消えていく。
あれって魔力なんじゃないのか。



熱いものを意識したときに、それを消さずにコントロールしていく。
体の中を巡らせて練っていく。
チャクラだったか、へその下から胸、胸から頭頂までゆっくりと回すんだったか……



最初はうまくいかなかったが、だんだんコツがつかめてきた。
治癒系の呪文はキュアだったかヒールだったか、どうせ言葉にはできないんだ。
イメージでいいだろう。



日に一回の母乳の時間にあわせ、俺は魔力らしいものを練り上げる。
そうして、母親の胸に手をあてて、一気に流し込む『キュア!』

俺は意識を失った。


「……が、魔力欠乏……ですな。なれない……急に……でしょう。……寝ていれば大丈夫」

覚えた単語がところどころ理解できる。

「ジャスミン、ありがとう」

母親が顔をくっつけてくる。

「すごいです。ジャスミン様」

どうやらうまくいったようだ。
俺は安堵して眠った。

母親の授乳回数は増えなかった。
おれは、母親の白い胸が大好きだったんだ。
柔らかいし、優しい匂いがする。
時々なめてみるとアンとかいう母親の声が聞こえる。

俺の意に反して授乳回数は減っていった……
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