稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅵ章 南の大地

販売戦略

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「くーっ、なんだこの瑞々しさは!」

「おいしいでしょ」

「シーリア・シュトーリアに命ずる。
こういったものは、まず国王に献上するように」

「拒否します。
美味しいかどうか吟味したうえで持参します」

「くっ、国王の命令に従わないのは、お前ぐらいのもんだぞ」

「正当な要求には応じるつもりです」

「今のは正当な要求だ」

「もし、体に害のあるものだったらどうします」

「いや、これは国外で食されていたものであろう」

「あっ、種は育ててみるので、捨てないでください」

「うっ……
育てるつもりなのか」

「メロンにしてもパイナップルにしても全部試しています。
一番いいのは、国内で耕作できて安価で国民が食べられるようにすること。
だから、最初はうちで食べます」

「ぐっ……」

「ご理解いただけましたか」

「それで、メロンやパイナップルはどうなんだ」

「メロンは発芽しました。パイナップルはヘタから育てているので、まだわかりません」

「メロンがわが国でもつくれるかもしれぬというのか」

「あんなに甘く育つかはわかりませんし、実がなるかもわかりませんが、可能性はあります」

「わかった。
メロンのことは変化があったら報告するように」

「了解です」



「もう、王様にかまってる暇はないわ。
パイナップルとメロンをどう普及させるか」

「やっぱり食べてもらうのが一番ですよね」

「試食販売か……
うん、外務局のみんなに手伝ってもらおうか」

こうして、エリートの集まりである外務局に説明します。

「魚は食堂で食べてもらってるから販売路線に乗せやすかったのですが、フルーツを毎食出すわけにもいきません。
なので、冷やしたフルーツを試食販売してみようと思うのですが如何でしょうか」

「それと並行して八百屋や飲食店にも売り込みが必要ですね。
ここは、農林局と商業ギルドにも一肌脱いでもらいましょう」

「あの……
私まだ食べたことないので、どういう売り込みをしたらいいか……」

「あっ、ごめんなさい。
大至急うちから持ってこさせるわ」

「じゃ、それまでに農林局と商業ギルドを呼んでおきます」


「おいしいです!」 「天国の甘味ですね」 「こんなフルーツが……二日後から入ってくるのか」

「加工したのがこっちです。
メロンのハム巻きとイノシン肉とパイナップルの炒め物」

「まさか、フルーツを肉と炒めるとは」 「メロンの方も、塩味のハムが甘みを引き立ててますね」

「最初は採算度外視で結構です。お店の人に食べてもらってください」

「いや、これは売れますよ」

「問題は価格ですね」

「そこは、副局長が中心となって交渉してもらいます。
一割は輸送費と流通税として国の金庫に入りますから、みなさんのお給料の元だと思ってください」

「そう考えると、売らざるを得ませんな」
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