稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅵ章 南の大地

ソイソースと塩

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「以上です。
あとはよろしくお願いします」

「待てと言っておるのだ」

シーリアはその言葉を聞かずに、ミーミーに飛び乗ってその場を後にする。
遺品さえ渡してしまえばいいのだ。
それ以上この国に関わるつもりはなかった。

シーリアはそのままアナカワに飛んだ。

「おお、これは女神さまではございませんか!」

「帰ります」

「待て、すまん悪気はないのだ。
だが、なぜ女神と呼ばれるのを嫌うのだ」

「私は女神や聖女ではありません。
ただの魔物使いです。
一人の人間として接していただきたいだけです」

「聖女……
なるほど、そう呼ばれるだけの実績があるということなのですな。
わかりました。
二度と口にしませんからお許しを」

「約束ですからね」

「それで、今日は?」

「国王さまから正式に交易の許可をいただきました。
それで、我が国のソースとベーコンを持ってきましたので、お試しいただこうと思います。
厨房をお借りしてもいいですか」

「もちろんです。
あるものは何でもお使いください。
ですが、ご自分で調理されるのですか?」

「ええ。楽しいですよ」

「確か、王族で伯爵の位もお持ちでしたよね」

「その前に、ただの魔物使いですから」


シーリアは、ベーコンステーキとアレンジ版イノシンとパイナップルの炒め物を披露する。
ついでに、ブロッコリーをマヨソースで食べてもらう。

「さあ、どうぞお召し上がりください」

「ふむ、ベーコンというのですな。
ハムよりも肉らしい食感ですな……うん、おいしい。
こっちはアレンジ版ということですな……!
なんと、深い味になっておりますな。これがソイソースの力」

「ご主人様、それだけではありません。イノシン肉に小麦の粉をまぶすことで、肉に味が絡んでおります」

「ふむ、この2日の間にこんなアレンジをされるとは……」

「ソイソースがあれば、料理の幅が広がりますよ。
今日は中樽を持ってきましたので、いろいろとお試しくださいね。
このソースを中心に、フルーツとの交換を進めさせてください。
今日はこのままアルトハインにまいります。
アルトハインからは、海魚を中心に交易したいと思います」

「おお、魚を食べられるのですか。
わが国では川魚だけですが、それは楽しみだ。
海ならば塩も豊富ですよね。
ラトランドとの交易が止まってしまい、わずかな岩塩でしのいでいるんですよ。
塩を調達していただけると助かります」

「わかりました。
アルトハインで交渉してまいります」
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