稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅲ章 アルトハイン

ちょっと待ったぁ!

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「では、本日のデザート、プルンです」

「器の中にある黄色いのは、玉子かな?」

「メイドからの要望で、冷めてもおいしい卵料理を試行錯誤していて出来上がったのがこのプルンです。
使っているのは玉子と水牛の乳と砂糖だけなんですよ」

「卵料理か。どれ…………っ!
こ、これが玉子で……」

「美味い!」

「シーリア、頼む!このままここに残って、俺のためにプルンを作ってくれ」

「えっ」

「アニキ!」

「と、本気でプロポーズしたくなる美味さだな」

「冗談かよ」

「いや、半分本気だぞ」

「うーん、私はダメですけど、この二人も同じように料理ができますよ」

「そうでしたな……
では、アリシアさん、どうだろうか。私のもとに嫁いでいただけませんか」

「「「えっ?」」」

「アニキ!」

「冗談ではありません。
最初に見たときに、その所作の美しさに惹かれました。
そして、これらの料理で心を決めました」

「りょ、領主様……」

「ちょっと待ったぁ!」

「どうしたゼン」

「いや、いいのかよ……
つーか、二人には城に残ってもらいたかったんだが……」

「お前と違って、俺は自由に嫁を選ぶことができる。
親父には事後報告でいいだろう」

「くっ……本気なんだな」

「もちろんだ」

「アリシアはどうなの?」

「あっ、お父様に相談してみませんと……」

「アイリッシュ伯爵からは、うちでお預かりするときに、このような場合は私が判断するよう申しつかっています。
アルトハイン王の血筋であり、領主夫人で、人物的にもまたとないご縁だと思いますよ。
あとはアリシアさんの気持ち次第です」

「……、喜んでお受けいたします……」

「つーことは、俺の姉上になるわけだ。
よろしく、姉さん」

「は、はい」



アリシアさんは、ダイトウに残ってもらい、必要なものを書き留めておいてもらうことにしました。
ベーコンの燻製室や鍋・皿などです。
帰りに、またダイトウへ立ち寄って、一旦帰国し、伯爵の確認をいただいてから正式に輿入れとなります。

「くそ、一人減っちまったか……」

「あら、パトリアさんをお嫁さんにしてくれるんですか?」

「俺の結婚は政略に使われる。
勝手に嫁を決めるなんて無理な話だ」

「王子様も不自由なんですね……」

「一応確認しておくが、パトリアの親からも、縁談について任されているのか?」

「ええ。適当な候補がおられますの?」

「ああ。俺の側近で伯爵家の長男がいるんだが」

「いいですね。
人柄は?」

こうして、本人を前にして縁談がすすんでいくのであった。

「ちょっと待ってください。
私は、シーリア様の元を離れるなんて希望してませんンからね!」
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