稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

ベーコンづくり

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午後は、ベーコン造りの加工所を見学させてもらいました。

「ここで、ベーコンに塩をすり込んで、一日寝かせる。
最初の塩は、肉の水分を抜くためで、塩漬けは次の行程だ。
一日寝かせたら、一度水で洗い流して、今度は念入りに塩を揉み込んでいく。
この状態で涼しい部屋に釣るして10日間寝かせてやる」

「10日も寝かせるんですか」

「ああ、10日くらい寝かせるのが一番おいしくなるようだ。
そうしたら、この薫製小屋で一日かけて熱を通す。
その時に、香り付けで木のチップを燻すんだ。先にチップを燻しておいて、そこに牛肉を吊してやるといい。
温度は80度というんだが、火の管理は職人任せだ。
一日かけて、余分な油も抜けたら、そのまま一日かけて常温にする。今出しているのが、完成品だ」

「どれくらい日持ちするんですか」

「気温にもよるが、冬場なら20日。夏場で10日程度と考えていいぞ。氷室なら一ヶ月以上は大丈夫だ」

「干し肉にするときは、脂身をとって薄切りにするけど、ベーコンは脂身も残して、塊で作れるんですね」

「その分、こうした大掛かりな設備が必要だけどな」

「肉は、イノシンとかでも大丈夫ですよね」

「ああ、水牛でもイノシンでも鹿でも大丈夫だ」

「ミーちゃん、作れそう?」

ミー

「大丈夫みたいです。
帰ったら、自宅に燻製小屋を作ってみますね」



その夜はベーコンステーキをごちそうになりました。
ちょっとしょっぱかった、油の焦げた匂いが気になりましたが、ミーちゃんたちも黙々と食べています。

いろいろと工夫すれば、おいしくなる予感があります。

翌日、帰る私たちを王子様も見送ってくれました。

「本当に世話になった。
雪が解けたら、水牛を連れていく。移動に2か月くらいかかるから、6月ころだな。
そっちも、聖角灯の準備をしておいてくれよ。一角獣の角も絶対に見つけるから」

「はい。お待ちしていますわ」


こうして私たちは帰路につきました。
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