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第Ⅱ章 二人旅
ブレス
しおりを挟むそれから2か月が過ぎました。
ジローさんのオボロは一週間で降下姿勢の飛行と腹パンを覚え、更に3人の、いえ3匹のファルコンを訓練したので、時々ですが8匹の編隊飛行を見ることができます。
「いやあ、ファルコンってさ、どっちかっていうと偵察とか小型の魔物相手だったじゃない。
ところが、腹パンでクマ程度まで倒せるようになっちゃったからさ、もう急襲部隊なんだよね。
しかも、移動が早いし獲物を見つけるのも一番だからさ、主力部隊が到着する頃には魔物が一掃されちゃってるの。
だからさ、宮廷魔物使いの隊でも戦法が変わってきてさ、オボロなんかもう完全にエースよ。
ファルコンの使い手を補給しろとか、手駒にファルコンを増やしたいって奴も増えてさ、これもシーリアちゃんとピー助のおかげだよ」
「私の方も、ギルドから訓練してくれないかって要請が来たんですけどね、やっぱり10日は必要じゃないですか。それに、絶対に覚えられるって保証もないですからお断りしてるんですよ。
ギルマスも、あれは余程素性のしっかりした人でないと教えるべきじゃないって言ってますからいいんですけど」
「ああ、あれが広まったら、要人の暗殺とかに使われかねないからね」
「ええ、戦争のときには使ってほしくないです……」
「そこは、隊長もガルドさんも承知してる。絶対に対人では使わないよ」
「お願いします」
この宮廷魔物使いさんの訓練を兼ねて、定時連絡便を週に一度代わっていただける事になり、フランさんも週に1日は休める日ができました。
レオン・ルマ・サンガ・コロンも、大きくなってきました。
一か月くらいで羽をパタパタしだして、今では屋根くらいまで飛び上がれるようになっています。
狩りの訓練も、ピー助が上空からの攻撃を教え、ミーちゃんが地上での攻撃を教えています。
チョロリはブレスです。
「あの……、キメラがブレスを使ったなんて、聞いたことないんですけど」
キメラの生息域であるシャイリアのギルド職員だったフランさんが言ってきました。
「えっ、でもレオンは普通に火を吹いてるけど」
「だって、ブレスってドラゴン系の中でも龍種と飛竜種しか使いませんよ」
「うーん……、キメラ亜種だからいいんじゃない。
レオンも無理してる感じじゃないし」
水のブレスも、最初の一回は水属性であるオレンジの杖を使いましたが、二回目以降は自分で切り替えしています。
チョロりの方は、ブレスを細く吐く要領を掴み、火の細いブレスで岩に穴を開けたり木を切ったりしています。
河原には穴の開いた石や岩が目立つようになり、最初は正体不明の魔物かと騒然としました。
その現場をたまたま見ておられた城詰の職人さんから、石に穴を開けられるくらいなら、鉄もできるんじゃないかと言われ挑戦しました。
結果として、穴は簡単に開くのですが、細かい制御は難しいようです。
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