稀代の魔物使い

モモん

文字の大きさ
上 下
64 / 172
第Ⅱ章 二人旅

携帯型聖角灯

しおりを挟む

「へっ、王様!」

「そのままでよい。全国民がお主には感謝している。何か褒美を取らせようと考えていたところだ……が、それはなんだ?」

「へへへっ、携帯型の聖角灯だよ」

「なに!台座とかは?」

「全部混ぜてもらったんだ。
これだけで光るように色々と工夫してくれたんだよ」

「その3cmの玉が光るのか」

「はい」

「シーリア、10個も要らないよな。
年をとるとな、ランプやロウソクのちらつきが辛くてな……」

「しょうがないなぁ、一つだけだよ」

「おお、感謝する!少し待て、金を持ってくる。いくらだ」

「要らないよ。それはあげる」

「いや、しかし……、では、職人に対する手間賃を払おう、ちょっと待っていろ」

「シ、シーリアちゃん、いつも王様とあんな感じで話すのかい?」

「人前ではちゃんと話すよ。でも、普段はこんな感じかな」



少しして経理のお姉さんがやってきました。

「失礼します。陛下から言付かってまいりました。金貨100枚です。
こちらの受け取りにサインをお願いします」

「王様ったら、お金は要らないっていったのに」

「ここ数日、陛下も体調が回復されましたようで、一同安心しています。
多分、あれの回復効果ですよね。
そこへ、今回の小型聖角灯でしょ。
決済もスムーズに通るようになって、仕事がどんどん流れていきます。
おそらく、その品で加速するでしょう。
国にとっても十分に採算は取れていますわ」

「そうなのかなぁ」



その夜、屋敷に戻りヘレンさんに3個渡しました。好きな場所に使ってもらいます。
お姉ちゃんとナタリーさんとフランさんに渡しても3個残ります。
一つは私で、予備が一つ……
そうだ、ケイトさんにも使ってもらおう。

次の朝、ケイトさんに携帯型聖角灯を渡します。

「だっ、ダメですって……そんな貴重品を私なんかに」

「ケイトさん、あなたは私の右腕になってくれるんでしょ。
でしたら、左手でそれを持って先を照らしてくださいな」

最近のお姉ちゃんは風格というのでしょうか、王様も手玉にとれるような感じがしてます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

隠密スキルでコレクター道まっしぐら

たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。 その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。 しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。 奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。 これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...