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第Ⅱ章 二人旅
王女からの伝言
しおりを挟む「ヨハンよ、町の治安はお前の役目だ。
仕事が減ってしまうな……」
「ハンス様、だからってお兄様を罷免しないでくださいね」
「うん、ならば兵士長を兼務させてやろう。
似通った部門だからな。治安部隊は、町兵の一部門にすればよかろう」
「うっ、兼務でございますか……」
「そうだ。シーリーンとシーリアは宮廷魔物使いとも友好がある。
王都兵団とは独立した部署であるが、連携しているから都合がいいだろう。
ちょうど、王都兵団が捕虜の引き取りに来ている。
明日の朝には出発するそうだから、挨拶しておけよ」
「それは、暗にシーリーンとシーリアをないがしろにするなと……」
「当然ではないか。二人は王とも親交のある魔物使いだぞ。
その二人を身内に持つ兵士長だ。王都も無下にはできんさ」
「お話し中のところ失礼いたします。
王都兵団、副団長のジムザでございます」
「おお、ジムザ殿。あなたも、この光が気になって?」
「当然でございます。
これほどの光が存在するとは驚きです。
ガルド様の一角獣の角が光るのは、私も拝見しておりますが、比べ物になりません。
もし、これを王都に持ち帰ることができたら……」
「あげませんよ」
「でしょうね。
ですが、もし王城の天辺にこれが輝いていたらと思うと、ワクワクしてきますよ。
やはり、王女様の言いつけに従わざるを得ませんね」
そういうとジムザさんはお姉ちゃんの前で片膝をつきました。
「シーリーン様、第一王女ジャルク様より伝言を賜ってまいりました」
「えっ、ジャルク様の!」
「王女様のお言葉どおり申し上げます」
「はっ、はい」
「父は、あの日以来、見るからに元気をなくしています。
人前では気丈に振舞っていますが、夜はおそらく一人で泣いています」
プッと、周りから笑いが漏れます。
「いや、皆さん、笑い事ではないのですよ。
続けます。
シーリーン様、あなたは美しい方で、不愛想な父のことなどお嫌いでしょうが、できましたらもう少し頻繁にお顔を見せてあげてほしいのです。
先日、あなたが城に立ち寄られた後の父上ときたら、目に見えて元気を取り戻しました。
私の母になって欲しいなどとは申しませんが、色々と相談にのってほしいなと思います。
できれば、シーリアちゃんとミーちゃんも一緒に、遊びに来てください。お待ちしています。
以上でございます」
「こ、こんな人前でそれを公開されてしまったら、益々私の結婚が遠くへ……」
「お姉ちゃん、心の声が漏れてる……」
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