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第Ⅱ章 二人旅
セイレーンが飛んだ
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「驚いたな、全部一撃ではないか」
追いついてきた討伐隊の隊長さんです。
隊員さんたちは、倒したキメラ10頭を荷車に積んでいます。
「それにしても、ファルコンがキメラを一撃で倒すなど、領主は信じてくれるのだろうか?
そのネコ科は何もない空中を駆け上がっていったし、空を飛ぶヘビのような魔物。おぬし達はいったい何者なんだ?」
「領主様へは、ここに来る前にお目にかかりましたわ。
領主様からキメラの討伐を仰せつかりました。
申し遅れましたが、特級魔物使いのシーリーンとシーリアと申します」
「おお、そうでしたか。
特級殿であればその魔物も特別な……」
「フォレストキャットのミーミーとブルーファルコンのピー助。
龍種のチョロリとサイレントウルフのセイレーンですわ」
「主に似て可愛らしい名前と外見ですが、チカラは紛れもなく本物ですね。
サイレントウルフは王様の従魔を一度拝見しておりますが、それ以外は初めてです。
おかげで助かりました」
次へ向かおうとするミーちゃんたちを何とか宥めて、一旦村へ帰ります。
キメラの死骸を見ると村人たちは一瞬戸惑い、やがて大歓声で迎え入れられます。
その夜は大宴会となりました。
私たちは王都からの連絡が入ったら、すぐに出発しなければならないので食事だけいただいて眠りにつきました。
別の群れの情報は確認してあります。
翌朝、陽が昇る前に村を出ます。討伐隊がついてくると移動が遅くなりますから。
移動中、セイレーンがミーミーに何か訴えています。
会話が成立しているのか知りませんけど……
キメラと対峙して、昨日と同じようにセイレーンに待機を指示すると、フルフルと首を横に振ります・
ミーちゃんを見ると、行かせてあげてと首を縦に振っています。
「分かったわ。じゃあ、セイレーンも行きなさい。邪魔しないようにね」
お姉ちゃんがセイレーンを行かせると……
「お、お姉ちゃん、セイレーンが飛んだ!」
「私もビックリよ。いつの間に……」
ミーと、ミーちゃんだけは知っていたような反応です。
そう、セイレーンはミーちゃんと同じように空中を駆け上っていきました。
ただ、オオカミの爪は猫と違ってあまり攻撃に向いていません。
セイレーンはキメラの首元に噛みつき、そのまま一緒になって地面へ落ちます。
「セイレーン!」
キメラを下にして落下したセイレーンは、次の獲物を探しますが残る9頭はピー助とチョロリの餌食となり、落ちていくところです。
クーンと、寂しそうにセイレーンが戻ってくる途中で、何かを感じたようです。
キョロキョロと、周囲を見まわし、私たちとは反対側に駆け出します。
実は、一瞬早くミーちゃんが駆け出しており、スピードに乗ったミーちゃんがセイレーンを追い越していく図になりました。
私たちが駆け寄ったとき、ミーちゃんは白い物体を舐め回しているところでした、
「なにこれ?」
「キメラの子供じゃないの?」
「でも、白いし、尻尾はヘビじゃないよ」
ミーちゃんは手当てを催促してきます。
「待って、水ぶくれ。火傷だと思う。セイレーン、太陽を遮って影を作って。
一番大丈夫そうな足の裏から」
お姉ちゃんは前足の裏に手をあてます。
「太陽は遮ったから大丈夫よ。親から育児放棄されたのね。
大丈夫よ、私が守ってあげるから。生きるの。頑張って……」
ピクピクしていた痙攣が収まったのは30分過ぎてからでした。
ミーちゃんはずっと肌をなめています。
「多分、白子よ。人間でもごく稀に生まれるんだけど、太陽の光で火傷しちゃうの。
まだ、生まれたばかりなのに、巣から放り出されたみたいね。
色が違うし、尻尾も奇形みたいだからかな」
更に30分手当てを続けると、やっと穏やかな寝息を立て始めました。
追いついてきた討伐隊の隊長さんです。
隊員さんたちは、倒したキメラ10頭を荷車に積んでいます。
「それにしても、ファルコンがキメラを一撃で倒すなど、領主は信じてくれるのだろうか?
そのネコ科は何もない空中を駆け上がっていったし、空を飛ぶヘビのような魔物。おぬし達はいったい何者なんだ?」
「領主様へは、ここに来る前にお目にかかりましたわ。
領主様からキメラの討伐を仰せつかりました。
申し遅れましたが、特級魔物使いのシーリーンとシーリアと申します」
「おお、そうでしたか。
特級殿であればその魔物も特別な……」
「フォレストキャットのミーミーとブルーファルコンのピー助。
龍種のチョロリとサイレントウルフのセイレーンですわ」
「主に似て可愛らしい名前と外見ですが、チカラは紛れもなく本物ですね。
サイレントウルフは王様の従魔を一度拝見しておりますが、それ以外は初めてです。
おかげで助かりました」
次へ向かおうとするミーちゃんたちを何とか宥めて、一旦村へ帰ります。
キメラの死骸を見ると村人たちは一瞬戸惑い、やがて大歓声で迎え入れられます。
その夜は大宴会となりました。
私たちは王都からの連絡が入ったら、すぐに出発しなければならないので食事だけいただいて眠りにつきました。
別の群れの情報は確認してあります。
翌朝、陽が昇る前に村を出ます。討伐隊がついてくると移動が遅くなりますから。
移動中、セイレーンがミーミーに何か訴えています。
会話が成立しているのか知りませんけど……
キメラと対峙して、昨日と同じようにセイレーンに待機を指示すると、フルフルと首を横に振ります・
ミーちゃんを見ると、行かせてあげてと首を縦に振っています。
「分かったわ。じゃあ、セイレーンも行きなさい。邪魔しないようにね」
お姉ちゃんがセイレーンを行かせると……
「お、お姉ちゃん、セイレーンが飛んだ!」
「私もビックリよ。いつの間に……」
ミーと、ミーちゃんだけは知っていたような反応です。
そう、セイレーンはミーちゃんと同じように空中を駆け上っていきました。
ただ、オオカミの爪は猫と違ってあまり攻撃に向いていません。
セイレーンはキメラの首元に噛みつき、そのまま一緒になって地面へ落ちます。
「セイレーン!」
キメラを下にして落下したセイレーンは、次の獲物を探しますが残る9頭はピー助とチョロリの餌食となり、落ちていくところです。
クーンと、寂しそうにセイレーンが戻ってくる途中で、何かを感じたようです。
キョロキョロと、周囲を見まわし、私たちとは反対側に駆け出します。
実は、一瞬早くミーちゃんが駆け出しており、スピードに乗ったミーちゃんがセイレーンを追い越していく図になりました。
私たちが駆け寄ったとき、ミーちゃんは白い物体を舐め回しているところでした、
「なにこれ?」
「キメラの子供じゃないの?」
「でも、白いし、尻尾はヘビじゃないよ」
ミーちゃんは手当てを催促してきます。
「待って、水ぶくれ。火傷だと思う。セイレーン、太陽を遮って影を作って。
一番大丈夫そうな足の裏から」
お姉ちゃんは前足の裏に手をあてます。
「太陽は遮ったから大丈夫よ。親から育児放棄されたのね。
大丈夫よ、私が守ってあげるから。生きるの。頑張って……」
ピクピクしていた痙攣が収まったのは30分過ぎてからでした。
ミーちゃんはずっと肌をなめています。
「多分、白子よ。人間でもごく稀に生まれるんだけど、太陽の光で火傷しちゃうの。
まだ、生まれたばかりなのに、巣から放り出されたみたいね。
色が違うし、尻尾も奇形みたいだからかな」
更に30分手当てを続けると、やっと穏やかな寝息を立て始めました。
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