稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

ギガンテスの涙

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「ミーちゃん、あのこ大丈夫かな」

ミーちゃんは干し肉の租借をやめてそちらに意識を集中しています。
少しして干し肉を飲み込み立ち上がります。
心配なら見に行けばいい、とでもいうように。

私たちの移動にあわせて草食動物は位置を変えます。逃げ出す訳でもなく、進行方向をあけるだけの移動です。
頭の大きな動物だけは動きません。私たちが横を通ってもチラッと見ただけです。
体長3m。頭と背中が大きく、岩のようです。

ほどなくして、私たちはギガンテスの元にたどり着きます。
うつ伏せのギガンテスの背中は大きく裂け、ピクピクと痙攣しており意識はないようです。
ミーちゃんはその頭に前足を乗せて、早く治療してやれと言わんばかりです。
私は恐る恐るギガンテスに近づき、手当てを発動します。

「大丈夫。あなたは強いのだから……これくらいのケガで死んだりしないわ」

「ねえリア、手の中でヒナ鳥が死んでるわ」

「それをとるために登ったのかな?」

「上っている最中だったけど、巣はもっと上の方じゃないかしら」

「じゃあ、そのヒナは?」

「巣から落ちたとか……」

「まさか、巣に戻そうとして?」

「ミーちゃんが警戒してないってことは、そういうことなのかな。
ねぇ、あなたは優しい子なの?そうなら、死んじゃ駄目よ」

30分ほど続けると、痙攣はやんで出血も止まりました。
更に30分続けると呼吸も落ち着いてきて、声を出しました。

オオゥ、オオゥ

「大丈夫、ケガは治ってきているわ。ピーちゃん足をどけてあげて」

私も一旦離れます。

ギガンテスは身を起こし、手の中のヒナ鳥に気づきました。

オーゥ、オーゥと悲しそうに呼びかけますが、死んでしまったものには手当ても効果ありません。

「その子は残念だったけど、仕方ないの。あきらめて」

ギガンテスの真ん丸の目から涙が出ています。

「あなたも、まだ動ける状態じゃないわ。手当てを続けるわよ」

ミーちゃんが大丈夫だと言ってくるので、ギガンテスの背中側に回って手当てを続けます。

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