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第Ⅰ章 修行
毒虫の洞窟
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「せ、先生、あのクマ、フラフラしてませんか?」
「ああ、そのようじゃな……」
先生は額に手をあてています。
「もういい、誰でもいいからさっさととどめをさせ」
「えっ?」
「あいつら、クマで遊んでいやがる。
言いつけを守って攻撃はしていないようだが、足止めのつもりなんだろうな。
クマを挑発して木を殴らせたり、走り回らせてボロボロにしちまいやがった」
「……なんか、すみません」
「あっ、いかん。チョロリのやつ近距離から勢いをつけないで突っ込みやがった。
あれじゃあクマの厚い体はぶち抜けねえぞ。助けないと!」
クマのお腹から、チョロリの体半分が生えています。
ミーミーがとどめを刺して、仰向けに倒したから良かったです。
うつ伏せだったら潰されちゃいますから。
「チョロリー!」
「まて、死んでいるのを確認してからだ」
先生はクマの頭を蹴飛ばして、胴体から切断されているのを確認します。
そして、ナイフを使ってお腹を割いていきます。
チョロリの頭はクマの背骨にあたって突き抜けられずにいました。
ピクピクしていましたが、手当てをかけるとすぐに目を覚まします。
「チョロリ、もう心配させないでちょうだい!」
血まみれの全身を水で洗って拭いてやります。
「おう、お前ら、ようく見ておくんだ。これが大型獣の体の中だ。
こいつが心臓だが、周りに骨がある。
下の内臓部分は突き破りやすいが、これだけの大型獣になると穴が開いても簡単には死なねえぞ」
ミー、ピー、ピュル……、どうやれば死ぬって聞いているようです。
「ミーミーのように爪や牙のあるやつは、やっぱり首筋だな。
血管や神経が集まっているから、ほとんどの魔物は首が急所になる。
あと、頭も骨が固いからダメな。
それから、今のチョロリみたいに勢い不足で突っ込むのは一番危険だ」
ピュルゥ
「どうしても、突っ込むしかねえときは、回転しろ。
こう抉るような感じだな。これで威力があがる」
ピー、ピュルー
クマは、皮を剥いでから、チョロリが焼き尽くしました。半分はみんなで食べてましたけど。
村人にクマの頭と毛皮を見せると、このクマで間違いないようです。
「よーし、明日には洞窟だ。今日はここに泊めさせてもらうぞ。
しばらく風呂には入れねえからゆっくり浸かっておけ」
「「はい」」
翌朝、ユニコを村に預け、洞窟に向かいます。
「ピー助、二・三日戻らないけど、心配しないでね」
洞窟の入り口でピー助に待機するよう言いました。
食事とか訓練は自由です。
先生の従魔であるミミナシフクロウのリッパーもお留守番です。
洞窟の中の照明は、獣の脂を燃料としたランプです。
点灯すると独特の嫌な匂いがします。
先頭がミーミーとセイレーンで、私とお姉ちゃんが後に続きます。
最後尾は先生とヴォルフです。
洞窟の中は階段とか整備されているはずもなく、ところどころに梯子や木で作った橋はありますが不便なことばかりです。
「先生、何も出てきません」
「ああ、そうだな……」
時折広い空間に出たり、大きな水たまりがあったりしますが、黙々と歩きます。
「よおし、休憩にしよう」
そこは、ちょっとした広場になっていました。
「ランプの脂を補給しておけ」
「「はい」」
「毒虫とかのエリアは、もっと先なんですか?」
「……、いやなぁ、前から思ってたんだが、ミーミーの威圧感で魔物が姿を隠してたり、奥へ逃げてるんじゃないかと思ってるんだが。
まあ、ここの魔物は毒があるって以外、基本雑魚だからなぁ」
一応は虫もいました。天井の高いところに。でも降りてきませんでした。
時々、チョロリが飛び上がってブレス一閃で燃え上がります。
「ああ、そのようじゃな……」
先生は額に手をあてています。
「もういい、誰でもいいからさっさととどめをさせ」
「えっ?」
「あいつら、クマで遊んでいやがる。
言いつけを守って攻撃はしていないようだが、足止めのつもりなんだろうな。
クマを挑発して木を殴らせたり、走り回らせてボロボロにしちまいやがった」
「……なんか、すみません」
「あっ、いかん。チョロリのやつ近距離から勢いをつけないで突っ込みやがった。
あれじゃあクマの厚い体はぶち抜けねえぞ。助けないと!」
クマのお腹から、チョロリの体半分が生えています。
ミーミーがとどめを刺して、仰向けに倒したから良かったです。
うつ伏せだったら潰されちゃいますから。
「チョロリー!」
「まて、死んでいるのを確認してからだ」
先生はクマの頭を蹴飛ばして、胴体から切断されているのを確認します。
そして、ナイフを使ってお腹を割いていきます。
チョロリの頭はクマの背骨にあたって突き抜けられずにいました。
ピクピクしていましたが、手当てをかけるとすぐに目を覚まします。
「チョロリ、もう心配させないでちょうだい!」
血まみれの全身を水で洗って拭いてやります。
「おう、お前ら、ようく見ておくんだ。これが大型獣の体の中だ。
こいつが心臓だが、周りに骨がある。
下の内臓部分は突き破りやすいが、これだけの大型獣になると穴が開いても簡単には死なねえぞ」
ミー、ピー、ピュル……、どうやれば死ぬって聞いているようです。
「ミーミーのように爪や牙のあるやつは、やっぱり首筋だな。
血管や神経が集まっているから、ほとんどの魔物は首が急所になる。
あと、頭も骨が固いからダメな。
それから、今のチョロリみたいに勢い不足で突っ込むのは一番危険だ」
ピュルゥ
「どうしても、突っ込むしかねえときは、回転しろ。
こう抉るような感じだな。これで威力があがる」
ピー、ピュルー
クマは、皮を剥いでから、チョロリが焼き尽くしました。半分はみんなで食べてましたけど。
村人にクマの頭と毛皮を見せると、このクマで間違いないようです。
「よーし、明日には洞窟だ。今日はここに泊めさせてもらうぞ。
しばらく風呂には入れねえからゆっくり浸かっておけ」
「「はい」」
翌朝、ユニコを村に預け、洞窟に向かいます。
「ピー助、二・三日戻らないけど、心配しないでね」
洞窟の入り口でピー助に待機するよう言いました。
食事とか訓練は自由です。
先生の従魔であるミミナシフクロウのリッパーもお留守番です。
洞窟の中の照明は、獣の脂を燃料としたランプです。
点灯すると独特の嫌な匂いがします。
先頭がミーミーとセイレーンで、私とお姉ちゃんが後に続きます。
最後尾は先生とヴォルフです。
洞窟の中は階段とか整備されているはずもなく、ところどころに梯子や木で作った橋はありますが不便なことばかりです。
「先生、何も出てきません」
「ああ、そうだな……」
時折広い空間に出たり、大きな水たまりがあったりしますが、黙々と歩きます。
「よおし、休憩にしよう」
そこは、ちょっとした広場になっていました。
「ランプの脂を補給しておけ」
「「はい」」
「毒虫とかのエリアは、もっと先なんですか?」
「……、いやなぁ、前から思ってたんだが、ミーミーの威圧感で魔物が姿を隠してたり、奥へ逃げてるんじゃないかと思ってるんだが。
まあ、ここの魔物は毒があるって以外、基本雑魚だからなぁ」
一応は虫もいました。天井の高いところに。でも降りてきませんでした。
時々、チョロリが飛び上がってブレス一閃で燃え上がります。
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