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第Ⅰ章 修行
腹パン
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翌朝早く、王様がやってきました。
「こんなに早く如何なされましたか?」
「また、何も言わずに出発されると困るのでな」
「いや、王に挨拶もせずに出立したなど……、記憶にございませんな」
「忘れたふりかよ。まあいい。
シーリーンよ、これを渡しておく」
王様は、お姉ちゃんにずっしりとした袋を渡します。
「これ、は?」
「輿入れの支度金だ」
「……こっ……輿入れ」
「冗談だ、お前たち二人は二年間の修行の後、宮廷魔物使いとなる。
修行自体、国のためだ。二人分の給金と思ってくれ」
「いやいや、王のその言い回しの時は、半分冗談でしたね。
半分は本気だと」
「俺も妃を亡くして久しい。ジョセフの娘であればどこからも文句を言われぬであろう。
だが、シーリーンは美しくそして若い。二年の間に恋心の一つや二つ芽生えても不思議はない。
縛りたくはないが、気に留めておいて欲しいというのが本音だ。
お前の企みに乗ってやったのだ、これで満足であろう」
「いえ、企みなど。わしは、ジョセフと王の、そういう会話を聞いていた覚えがあっただけですわい」
お、お姉ちゃん真っ赤だけど…大丈夫?
「この話はここまでだ」
王様は、セイレーンの横にしゃがみこんで撫でまわします。
「おお、セイレーンよ俺を覚えておったようだな。兄弟たちと違ってお前は優秀らしいな。
シーリーンを頼んだぞ」
次にミーミーの横に移動してしゃがみこみます。
「ミーミーよ、今の王国で最強のパートナーだと聞いたぞ。
いつかこの国に危機が訪れた時には、お前のチカラが必要だ。
協力してほしい」
言葉の重みを理解したのか、ミーと一声鳴きました。
「ブルーファルコンと龍はいないのか?」
「あちらに」と空を指さして名前を呼びました。
「ピー助。その美しい姿は、民の希望となるだろう。期待しているぞ」
ピーと応えます。
「チョロリだな、よもや龍族と親交が持てるとは思わなんだ。
可能であれば、この国の守り神となってほしい。
リア、二年後成長したお前との再開を楽しみにしているぞ。頑張ってくれ」
ピュリッっと鳴いて力こぶを作るような仕草を見せます。
二か月前には、家族と呼べるのはこの三匹だけでした。
それが、お姉ちゃんができて、先生もできたし、王様からも直接声をかけていただけるなんて夢みたいです。
王様はお姉ちゃんの耳元にも、何か囁きました。
「どこに向かうんですか?」
お姉ちゃんはセイレーンに、先生はニコンに乗って、私はミーミーの上です。
「最初は南の洞窟じゃ。
毒虫が多いでな、対処法を学んでもらい、できれば耐性をつけてもらいたい」
「ど、毒ですか」
「大丈夫じゃ、毒消しは大量に仕入れてある。
マヒ用に痺れ用に食中毒用、塗るタイプと服用するタイプもあるし、座薬もあるぞ」
「ざ、座薬は遠慮したいです」
「ざやくって?」
「お、お尻の穴から入れるお薬よ」
「お姉ちゃん、やったことあるの?」
「き、聞かないで!」
「しかしのう、さっきからピー助達は何やっとるんじゃろうか」
「時々急降下してるね。そのあと、パーンとか音もするけど」
「近いときは、ズズーンって、何か倒れるような音が聞こえるときもあるわよ」
「チョロリも真似してるし……」
「二匹同時の時もあるし……」
答えは平原に出た時に分かりました。
どちらが先に魔物を見つけるか競争していたようです。
急降下していって、その時はイノシシ型のモンスターのお腹をヤリのように突き破っていたのです。頭から突っ込んで、突き破った時の音がパーンと響いていたのでした。
「こんなに早く如何なされましたか?」
「また、何も言わずに出発されると困るのでな」
「いや、王に挨拶もせずに出立したなど……、記憶にございませんな」
「忘れたふりかよ。まあいい。
シーリーンよ、これを渡しておく」
王様は、お姉ちゃんにずっしりとした袋を渡します。
「これ、は?」
「輿入れの支度金だ」
「……こっ……輿入れ」
「冗談だ、お前たち二人は二年間の修行の後、宮廷魔物使いとなる。
修行自体、国のためだ。二人分の給金と思ってくれ」
「いやいや、王のその言い回しの時は、半分冗談でしたね。
半分は本気だと」
「俺も妃を亡くして久しい。ジョセフの娘であればどこからも文句を言われぬであろう。
だが、シーリーンは美しくそして若い。二年の間に恋心の一つや二つ芽生えても不思議はない。
縛りたくはないが、気に留めておいて欲しいというのが本音だ。
お前の企みに乗ってやったのだ、これで満足であろう」
「いえ、企みなど。わしは、ジョセフと王の、そういう会話を聞いていた覚えがあっただけですわい」
お、お姉ちゃん真っ赤だけど…大丈夫?
「この話はここまでだ」
王様は、セイレーンの横にしゃがみこんで撫でまわします。
「おお、セイレーンよ俺を覚えておったようだな。兄弟たちと違ってお前は優秀らしいな。
シーリーンを頼んだぞ」
次にミーミーの横に移動してしゃがみこみます。
「ミーミーよ、今の王国で最強のパートナーだと聞いたぞ。
いつかこの国に危機が訪れた時には、お前のチカラが必要だ。
協力してほしい」
言葉の重みを理解したのか、ミーと一声鳴きました。
「ブルーファルコンと龍はいないのか?」
「あちらに」と空を指さして名前を呼びました。
「ピー助。その美しい姿は、民の希望となるだろう。期待しているぞ」
ピーと応えます。
「チョロリだな、よもや龍族と親交が持てるとは思わなんだ。
可能であれば、この国の守り神となってほしい。
リア、二年後成長したお前との再開を楽しみにしているぞ。頑張ってくれ」
ピュリッっと鳴いて力こぶを作るような仕草を見せます。
二か月前には、家族と呼べるのはこの三匹だけでした。
それが、お姉ちゃんができて、先生もできたし、王様からも直接声をかけていただけるなんて夢みたいです。
王様はお姉ちゃんの耳元にも、何か囁きました。
「どこに向かうんですか?」
お姉ちゃんはセイレーンに、先生はニコンに乗って、私はミーミーの上です。
「最初は南の洞窟じゃ。
毒虫が多いでな、対処法を学んでもらい、できれば耐性をつけてもらいたい」
「ど、毒ですか」
「大丈夫じゃ、毒消しは大量に仕入れてある。
マヒ用に痺れ用に食中毒用、塗るタイプと服用するタイプもあるし、座薬もあるぞ」
「ざ、座薬は遠慮したいです」
「ざやくって?」
「お、お尻の穴から入れるお薬よ」
「お姉ちゃん、やったことあるの?」
「き、聞かないで!」
「しかしのう、さっきからピー助達は何やっとるんじゃろうか」
「時々急降下してるね。そのあと、パーンとか音もするけど」
「近いときは、ズズーンって、何か倒れるような音が聞こえるときもあるわよ」
「チョロリも真似してるし……」
「二匹同時の時もあるし……」
答えは平原に出た時に分かりました。
どちらが先に魔物を見つけるか競争していたようです。
急降下していって、その時はイノシシ型のモンスターのお腹をヤリのように突き破っていたのです。頭から突っ込んで、突き破った時の音がパーンと響いていたのでした。
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