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第七章 動物の園
第122話 ネコ
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俺たちは、20匹のネコを連れて一旦帰路についた。
次に来る時は、ソフィアを連れてくるわけにはいかない。
中東と地中海沿岸は物騒だからだ。
ナイル王国を出る時に、下準備として鶏舎を作ってある。
帰ったら必要な魔道具を作り、鳥を連れて行くことになる。
「そうだわ、タウ。」
「なに?」
「パメラとも、子種提供の約束をしたから、私が妊娠したらよろしくね。」
「よろしくね……じゃないよ。なんでそんな事を勝手に決めるんだ。」
「あら、浮気防止のためよ。仕方ないじゃない。」
「いや、その考えはおかしいと思うぞ。」
「だって、そういう約束をしておかないと、パメラだって本気でタウを好きになりそうなんだもの。」
「……」
そんなにモテるはずがないと言いたかったが、藪蛇になりそうだったのでやめておいた。
今回、ナイル王国からはデーツ・ブドウ・オレンジを受け取った。
ほかにも数種類のドライフルーツが入っている。
次に訪問する前に、このドライフルーツをスイーツに加工して驚かせてやろうと思っている。
「ほう、新たに二か国と友好関係を結んだのか。」
「はい。月に一度、交易のために出かけることになりますが……。」
「ああ、総務局長なら陛下と相談して代行を立てたから気にするな。来月の1日付けで、お前を俺の特別補佐官に任命するから、必要なことをやっていいぞ。」
「すみません。」
「気にするな。これで俺も隠居に一歩近づいた訳だからな。」
「そうですね。全世界と友好関係を築く必要がありますから、あと20年以内には実現しますよ。」
「……2年以内の間違いだよな。」
俺はネコ舎を新しく建てて、そこでネコを収容することにした。
キャットウォークをたくさん作り、爪とぎや砂場(トイレ)も据え付けた。
ネコ用の爪切りとか、オモチャも用意してスタッフに任せたのである。
「ねえ、タウ。この子たちは私のものよね。」
「まあ、大くくりで考えればそうですね。」
「という事は、時々城に連れ帰ってもいいのよね!」
「時々くらいはいいでしょう。」
「えーっ、ソフィアにだってココがいるんだから、毎日でもいいじゃない。」
「仕方ない……次にナイルに行ったらまた連れてきますから……いいでしょう。」
「やった!」
「でも、ソフィアにも言いましたけど、ドレスとかすぐにボロボロになっちゃいますから、服には注意してくださいね。」
「もう、ドレスなんて着ないから大丈夫よ。」
いや、王妃がそれでいいのか……。
「ねえタウ、お姉さまとソフィアが可愛いネコっていう動物を連れているって評判になっているわね。」
「そ、そんな噂があるんですか……。」
「ナイルっていう国には、たくさんのネコがいるんですってね。」
「はあ、まあ……。」
「いえ、私が欲しいわけじゃないの。子供たちの情操教育にピッタリだと思わないこと?」
「はあ……。」
「敷地が広いから、10匹くらい放し飼いできたらお母さん嬉しいんだけどな……。」
「……10匹ですね。わかりました。」
「ホント、聞き分けの良い息子で良かったわ。」
……、多分、学び舎の塀くらい跳びのって、町中を俳諧することになるんだろうな……。
俺はドライフルーツを練りこんだフルーツケーキを焼いた。
さらに、ドライフルーツにクルミを加えてパイを焼き上げた。
「うん、いいんじゃない。紅茶にピッタリよ。」
「ただなぁ、ちょっとインパクトに欠けるかなって思うんだよね。」
「仕方ないんじゃない、やっぱり本来のフルーツが持っている瑞々しさがないんだから。」
「そうなんだよ。味を生かすなら本来のフルーツの方が際立つからね。」
俺の苦悩は続くのであった。
【あとがき】
猫カフェとか行ってみたいんですけどね。まあ、自宅に2匹いるから十分ではあるんですけど。
サクラは呼べばすぐに飛んでくるんですが、クロは気まぐれで来たり来なかったりします。
次に来る時は、ソフィアを連れてくるわけにはいかない。
中東と地中海沿岸は物騒だからだ。
ナイル王国を出る時に、下準備として鶏舎を作ってある。
帰ったら必要な魔道具を作り、鳥を連れて行くことになる。
「そうだわ、タウ。」
「なに?」
「パメラとも、子種提供の約束をしたから、私が妊娠したらよろしくね。」
「よろしくね……じゃないよ。なんでそんな事を勝手に決めるんだ。」
「あら、浮気防止のためよ。仕方ないじゃない。」
「いや、その考えはおかしいと思うぞ。」
「だって、そういう約束をしておかないと、パメラだって本気でタウを好きになりそうなんだもの。」
「……」
そんなにモテるはずがないと言いたかったが、藪蛇になりそうだったのでやめておいた。
今回、ナイル王国からはデーツ・ブドウ・オレンジを受け取った。
ほかにも数種類のドライフルーツが入っている。
次に訪問する前に、このドライフルーツをスイーツに加工して驚かせてやろうと思っている。
「ほう、新たに二か国と友好関係を結んだのか。」
「はい。月に一度、交易のために出かけることになりますが……。」
「ああ、総務局長なら陛下と相談して代行を立てたから気にするな。来月の1日付けで、お前を俺の特別補佐官に任命するから、必要なことをやっていいぞ。」
「すみません。」
「気にするな。これで俺も隠居に一歩近づいた訳だからな。」
「そうですね。全世界と友好関係を築く必要がありますから、あと20年以内には実現しますよ。」
「……2年以内の間違いだよな。」
俺はネコ舎を新しく建てて、そこでネコを収容することにした。
キャットウォークをたくさん作り、爪とぎや砂場(トイレ)も据え付けた。
ネコ用の爪切りとか、オモチャも用意してスタッフに任せたのである。
「ねえ、タウ。この子たちは私のものよね。」
「まあ、大くくりで考えればそうですね。」
「という事は、時々城に連れ帰ってもいいのよね!」
「時々くらいはいいでしょう。」
「えーっ、ソフィアにだってココがいるんだから、毎日でもいいじゃない。」
「仕方ない……次にナイルに行ったらまた連れてきますから……いいでしょう。」
「やった!」
「でも、ソフィアにも言いましたけど、ドレスとかすぐにボロボロになっちゃいますから、服には注意してくださいね。」
「もう、ドレスなんて着ないから大丈夫よ。」
いや、王妃がそれでいいのか……。
「ねえタウ、お姉さまとソフィアが可愛いネコっていう動物を連れているって評判になっているわね。」
「そ、そんな噂があるんですか……。」
「ナイルっていう国には、たくさんのネコがいるんですってね。」
「はあ、まあ……。」
「いえ、私が欲しいわけじゃないの。子供たちの情操教育にピッタリだと思わないこと?」
「はあ……。」
「敷地が広いから、10匹くらい放し飼いできたらお母さん嬉しいんだけどな……。」
「……10匹ですね。わかりました。」
「ホント、聞き分けの良い息子で良かったわ。」
……、多分、学び舎の塀くらい跳びのって、町中を俳諧することになるんだろうな……。
俺はドライフルーツを練りこんだフルーツケーキを焼いた。
さらに、ドライフルーツにクルミを加えてパイを焼き上げた。
「うん、いいんじゃない。紅茶にピッタリよ。」
「ただなぁ、ちょっとインパクトに欠けるかなって思うんだよね。」
「仕方ないんじゃない、やっぱり本来のフルーツが持っている瑞々しさがないんだから。」
「そうなんだよ。味を生かすなら本来のフルーツの方が際立つからね。」
俺の苦悩は続くのであった。
【あとがき】
猫カフェとか行ってみたいんですけどね。まあ、自宅に2匹いるから十分ではあるんですけど。
サクラは呼べばすぐに飛んでくるんですが、クロは気まぐれで来たり来なかったりします。
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