7人のメイド物語

モモん

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第六章 海の先

第102話 ヤポネ

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 マヤトの町は、碁盤の目のように規則正しく道が作られており、整然とした街並みが美しい。
 俺たちはいきなり空から乗りつけるような事はせずに、少し離れた場所で着陸し地上を走行して門についた。

「フォン王国からまいりました。国王にお目通りをお願いいたします。」
「聞いております。この道をまっすぐ進んでいただき、突き当りが城になります。ご案内の者が待機しておりますので、このままお進みください。」
「ご案内感謝いたします。」
 俺はそのまま飛空艇を進め、城に到着した。屋根瓦が懐かしい。案内らしき人が駆け寄ってくる。
「フォン王国のソフィア王女様ご一行ですか。」
「はい。お出迎えありがとうございます。」
「えー、馬車?はあちらへ……」
「ご配慮は無用です。」
 俺は外務局メンバーの鞄だけ収納から取り出し、飛空艇を収納にしまった。
「こ、この技は……。」
「わたくしの固有能力になります。では、案内をお願いいたします。」
 俺たちは案内の後に続いて城内に入った。
「申し訳ございません。ここからはお履き物を脱いでいただきます。」
 全員が案内の言葉にしたがった。我が家には何部屋か土足厳禁のエリアがあるので、俺たちに抵抗はない。
「フローリングの床が弾力を持っていて心地よいですわ。」
「そうですね。我が家のフローリングは、石の上に板を張っただけなので。やっぱり、本来の木造建築は気持ちいいですね。」

 板張りの長い廊下を歩くと、左側は庭になっていた。
「まあ!」
「見事な枯山水ですね。」
「よくご存知ですね。砂につけられた模様は、水の流れを表しているんですよ。」
 枯山水は水を使わず、木と石と砂で作られる庭園だ。ここでは、砂でなく小さな小石を使っていた。
「このお庭を眺めるだけで、何時間でも過ごせそうです。」
「ありがとうございます。こちらが大広間にございます。」

 案内の人が襖を開けると、そこは30畳ほどだろうか畳敷きの大きな部屋だった。
「ああ、畳の香りが……。」
「これは、草を編んであるのですか。とても良い香りです。」
「畳のヘリは踏まないでね。礼儀だから。」
「大丈夫ですよ。お気遣いなく。」

 大広間には10人の男性と中央に巫女服姿の女性がいた。あの方が女王の日巫女(ヒミコ)だろう。
 俺たちは女王の前に進み礼をした。先頭は俺とソフィア、中央に外務局のスタッフ2名。最後尾にメイド2名が続く。
 今日のアイラは箒を持っていない……当然だが、何か物足りなく感じる。

「お出迎えいただき、ありがとうございます。フォン王国、国王アーサー・フォンダンの娘ソフィア・フォンダンです。こちらは、私の夫タウ・フォンダン、外務局相談役になります。」
「タウ・フォンダンです。よろしくお願いいたします。」
「遠路お越しいただきまして恐縮でございます。ヤポネ国王のヒミコにございます。こちらにおりますのは、宰相のアベガー以下家老達になります。」
「アベガーでございます。これほどお美しい王女様をお迎えでき、至極光栄にございます。しかも、様々な器具の開発者として名高いタウ様と歓談の機会を与えていただき感謝しております。」
 儀式的なあいさつではあるのだが、ヒミコ女王の視線が時折俺たちの後方にいっている事に違和感を覚えた。

 この後は、女王とソフィアで歓談し、俺は技術者との意見交換。外務局員は外交箇所との懇談で、シノブとアイラはソフィアに同行する。
 俺はシノブとアイラに輸出していないオレンジのムースやショートケーキ・ミルフィーユなどを持たせた。もちろんプチケーキサイズだ。


【あとがき】
 和の国編です……。ストックがなくなりましたので、ここからは文字数を減らして更新頑張ります。
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