34 / 142
第二章 医師タウ
サーチ
しおりを挟む
「どうすれ ば いいの?」
「簡単よ。
今かかっている病気や調子の悪いところはまいか調べるの。
御典医は さーち とか言って、体を触りまくるの。
気持ち悪いったらなかったわ」
「わか た。
ベッド ねてね」
サーチね。意味が分かれば、触らなくてもできそうな気がする。
俺はベッドに横たわる王女の上に手をかざして唱えてみた。
『さーち』
ああ、王女の体温のような温かさが伝わってくる。
手を全身に沿って動かしていくと、何か所か冷たく感じる部位がある。
これが具合の悪い場所なんだと直感的に分かった。
「えっ、体に触らないの?」
「だい じょうぶ」
「触らなくてもできるのね。
なんだか損した気分だわ」
「のど と ひだりての なかゆび それ と みぎの あしくび いたい?」
「すごい。全部当たってる。
喉は夕べから少し咳が出るの。
指は突き指しちゃって少し痛いわ。
足首は、先週ひねっちゃったみたい」
『ち ゆ』 『ち ゆ』 『ち ゆ』
「あっ、痛みが消えた!」
「ちょっと むね のおとを きくから、ボタン はずして いい?」
「大丈夫よ。あっ、自分で外すわ」
胸に聴診器をあてるが、異音は聞こえなかった。
喉が腫れていただけなんだろう。
「うん、 だいじょ おぶ。
わるい ところない ね」
「タウってやっぱりすごいわね。
御典医は痛みのひどいところが分かるだけよ。
自覚症状があるんだから結局役に立たないの。
これなら、自覚症状のないところまで分かっちゃいそうね」
「た ぶん、わかる ね」
「後で、お母様とお父様もくると思うから、よくみてあげてね」
「う ん」
王様は右手の人差し指が腱鞘炎をおこしていて、王妃様は左ひざに炎症があった。
王様は内臓も少し弱っているみたいだったので、浄化と治癒を施したうえで、漢方を処方する。
「あら、私の胸の音は聴かないの?」
「だい じょうぶ。 けんこう だから」
「王様、御典医を解任して正解だったようですわね」
「ああ。
まさか、タウがここまで医師として優秀だとはな」
「もう、年齢なんか気にしないで爵位をあげちゃいましょうよ」
「だがなぁ」
「一人で自活できている時点で、もう大人と同じですわ」
「王様、でしたら後見人をつけては如何ですか。
なんでしたら私が」
「総務局長の後見か。
実績はリバーシ大会と医師としての能力で十分。
黒板と竹ペンの実績もあったしな。
推薦人はどうする」
「土木局長と私、それに王妃様でよろしいかと存じます」
「ワイルズ家復活か、しかも母親と同じ医師としてなのだな」
「はい」
「簡単よ。
今かかっている病気や調子の悪いところはまいか調べるの。
御典医は さーち とか言って、体を触りまくるの。
気持ち悪いったらなかったわ」
「わか た。
ベッド ねてね」
サーチね。意味が分かれば、触らなくてもできそうな気がする。
俺はベッドに横たわる王女の上に手をかざして唱えてみた。
『さーち』
ああ、王女の体温のような温かさが伝わってくる。
手を全身に沿って動かしていくと、何か所か冷たく感じる部位がある。
これが具合の悪い場所なんだと直感的に分かった。
「えっ、体に触らないの?」
「だい じょうぶ」
「触らなくてもできるのね。
なんだか損した気分だわ」
「のど と ひだりての なかゆび それ と みぎの あしくび いたい?」
「すごい。全部当たってる。
喉は夕べから少し咳が出るの。
指は突き指しちゃって少し痛いわ。
足首は、先週ひねっちゃったみたい」
『ち ゆ』 『ち ゆ』 『ち ゆ』
「あっ、痛みが消えた!」
「ちょっと むね のおとを きくから、ボタン はずして いい?」
「大丈夫よ。あっ、自分で外すわ」
胸に聴診器をあてるが、異音は聞こえなかった。
喉が腫れていただけなんだろう。
「うん、 だいじょ おぶ。
わるい ところない ね」
「タウってやっぱりすごいわね。
御典医は痛みのひどいところが分かるだけよ。
自覚症状があるんだから結局役に立たないの。
これなら、自覚症状のないところまで分かっちゃいそうね」
「た ぶん、わかる ね」
「後で、お母様とお父様もくると思うから、よくみてあげてね」
「う ん」
王様は右手の人差し指が腱鞘炎をおこしていて、王妃様は左ひざに炎症があった。
王様は内臓も少し弱っているみたいだったので、浄化と治癒を施したうえで、漢方を処方する。
「あら、私の胸の音は聴かないの?」
「だい じょうぶ。 けんこう だから」
「王様、御典医を解任して正解だったようですわね」
「ああ。
まさか、タウがここまで医師として優秀だとはな」
「もう、年齢なんか気にしないで爵位をあげちゃいましょうよ」
「だがなぁ」
「一人で自活できている時点で、もう大人と同じですわ」
「王様、でしたら後見人をつけては如何ですか。
なんでしたら私が」
「総務局長の後見か。
実績はリバーシ大会と医師としての能力で十分。
黒板と竹ペンの実績もあったしな。
推薦人はどうする」
「土木局長と私、それに王妃様でよろしいかと存じます」
「ワイルズ家復活か、しかも母親と同じ医師としてなのだな」
「はい」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
【完結】暁の荒野
Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。
いつしか周囲は朱から白銀染まった。
西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。
スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。
謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。
Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
=====
別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
最強執事の恩返し~大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。恩返しのため復興させます~
榊与一
ファンタジー
異世界転生した日本人、大和猛(やまとたける)。
彼は異世界エデンで、コーガス侯爵家によって拾われタケル・コーガスとして育てられる。
それまでの孤独な人生で何も持つ事の出来なかった彼にとって、コーガス家は生まれて初めて手に入れた家であり家族だった。
その家を守るために転生時のチート能力で魔王を退け。
そしてその裏にいる大魔王を倒すため、タケルは魔界に乗り込んだ。
――それから100年。
遂にタケルは大魔王を討伐する事に成功する。
そして彼はエデンへと帰還した。
「さあ、帰ろう」
だが余りに時間が立ちすぎていた為に、タケルの事を覚えている者はいない。
それでも彼は満足していた。
何故なら、コーガス家を守れたからだ。
そう思っていたのだが……
「コーガス家が没落!?そんな馬鹿な!?」
これは世界を救った勇者が、かつて自分を拾い温かく育ててくれた没落した侯爵家をチートな能力で再興させる物語である。
【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く
川原源明
ファンタジー
伊東誠明(いとうまさあき)35歳
都内の大学病院で救命救急センターで医師として働いていた。仕事は順風満帆だが、プライベートを満たすために始めた婚活も運命の女性を見つけることが出来ないまま5年の月日が流れた。
そんな時、久しぶりに命の恩人であり、医師としての師匠でもある秋津先生を見かけ「良い人を紹介してください」と伝えたが、良い答えは貰えなかった。
自分が居る救命救急センターの看護主任をしている萩原さんに相談してみてはと言われ、職場に戻った誠明はすぐに萩原さんに相談すると、仕事後によく当たるという占いに行くことになった。
終業後、萩原さんと共に占いの館を目指していると、萩原さんから不思議な事を聞いた。「何か深い悩みを抱えてない限りたどり着けないとい」という、不安な気持ちになりつつも、占いの館にたどり着いた。
占い師の老婆から、運命の相手は日本に居ないと告げられ、国際結婚!?とワクワクするような答えが返ってきた。色々旅支度をしたうえで、3日後再度占いの館に来るように指示された。
誠明は、どんな辺境の地に行っても困らないように、キャンプ道具などの道具から、食材、手術道具、薬等買える物をすべてそろえてた。
3日後占いの館を訪れると。占い師の老婆から思わぬことを言われた。国際結婚ではなく、異世界結婚だと判明し、行かなければ生涯独身が約束されると聞いて、迷わず行くという選択肢を取った。
異世界転移から始まる運命の嫁ちゃん探し、誠明は無事理想の嫁ちゃんを迎えることが出来るのか!?
異世界で、医師として活動しながら婚活する物語!
全90話+幕間予定 90話まで作成済み。
護国の鳥
凪子
ファンタジー
異世界×士官学校×サスペンス!!
サイクロイド士官学校はエスペラント帝国北西にある、国内最高峰の名門校である。
周囲を海に囲われた孤島を学び舎とするのは、十五歳の選りすぐりの少年達だった。
首席の問題児と呼ばれる美貌の少年ルート、天真爛漫で無邪気な子供フィン、軽薄で余裕綽々のレッド、大貴族の令息ユリシス。
同じ班に編成された彼らは、教官のルベリエや医務官のラグランジュ達と共に、士官候補生としての苛酷な訓練生活を送っていた。
外の世界から厳重に隔離され、治外法権下に置かれているサイクロイドでは、生徒の死すら明るみに出ることはない。
ある日同級生の突然死を目の当たりにし、ユリシスは不審を抱く。
校内に潜む闇と秘められた事実に近づいた四人は、否応なしに事件に巻き込まれていく……!
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる