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序章 転生
ゴムをみつけた
しおりを挟む引っ越し当日から大騒ぎになった。
馬車をもって、至急登城するよう知らせがきた。
準備してあるから、一人で大丈夫だと母さんを屋敷に残して出かける。
馬車は、メイドさんが操作してくれた。
城につくと、王様以下勢ぞろいしていた。
「初日からすまんな。
馬車の乗り心地改善というのは、それだけ大きな意味を持つんだ」
カリカリ
「うん、上物は間に合わせなので、構造だけ紙に書いてある。
おお、さすがわタウだ。予見していたとはな」
「お父様、ともあれ乗ってみませんと」
「おふあさま、おそくなたけど……」
「えっ、私に。まさか……」
カパッ
「キャー!お母さま、これを」
「えっ、どうしました……!まあ素敵」
「一回り小さなペンと、墨入れ。それに羽をあしらった髪飾りと、これはブローチね」
「あう」
「こんなに繊細な羽の飾りなんて、向こう側が透けて見えるじゃない……。
これは、ソフィアには早すぎるわ。やはり、淑女たるわたくしが……」
「ダメ!ありがとうタウ!」
王女様に抱き着かれてしまった……
甘い香りと、柔らかな感触が心地良い……、いや俺はロリではない。
「タウ……、次は私の番ですからね」
「あ、あう」
「これ、妃!」
「ですが、これを見てください。
本物の羽よりも柔らかそうな質感。
これは美術品レベルですわ」
「ああ、タウ、苦労をかけるな」
「あ、あう……」
「では、馬車に乗らせてもらおう」
馬車は、30mほどの池を回って戻ってくる。
「……」
「陛下、如何ですか!」
「乗ってみれば分かる」
「お父さま、タウに勲章をあげてください……」
「ああ、考えておこう」
「また、陛下は大袈裟ですからなあ。
どれ、兵団を預かる私が」
「ああ、技術部門総括として私も」
会議室である。
「まず、このアルミとかマグネシウムとかいうのは素材なのか!」
カリカリ
「鉄より軽い金属だと……、信じられん……」
「だが、実際に人力でも動かせるほどの軽さだった」
「これだけ、細かい配合が必要なのかね」
「あ・あう」
「このコイルに焼き入れした鉄が使われているのはなぜかね」
カリカリ
「ふむ、柔らかさを持たせるには鉄じゃないとダメなのか」
「では、この車軸の部分に使われていえる玉を組み合わせたベアリングとは?」
カリカリ
「金属同士がこすれあうと、摩耗によって音が出たり動作不良を起こすからと」
「陛下、理にかなっておりますが、ここまでの金属加工ができるものは国内にいないでしょう。
断言できます。この馬車はタウ以外に製作不可能です」
「ああ、俺もそう思う。
タウよ、増産は可能なのか」
カリカリ
「うん、材料集めからか。
頼む、王族用に1台と、兵士用に大型のものを3台ほど作ってくれぬか。
王族だけ特別扱いはしたくないのだが、なにせ町を訪問するのにも数日かかる。
今の馬車だと、着いてから半日は休まないとならぬほどに疲れるのだ」
カリカリ
「ああ、兵士用は、こちらで仕様を考えておくよ。
先に王族用を頼む。
素材集めは、兵士に全面協力させる」
「あ・う」
カリカリ
「なに、板バネとは?
おお、鉄の板をクッションとして使うのか……
うん、性能は劣るが、その図だと職人でも作れそうなレベルだな。
よし、そっちは具体的な図面を作ってもらえれば工務局で引き受けよう。
これなら、町へも導入できそうだな」
「タウよ。
お前の頭には何が詰まっていて、この先の未来をどう見ているのか……、俺には予想もできんが、国のために力を貸してくれ。
頼むぞ」
「あ、あう」
アルミが沢山見つかったら、ジュラルミンの盾でも量産してやろう。
ダメなら、少し重たいけどチタンもいいよな。
二日後、兵士に連れられて国の管理するという鉱山にやってきた。
国の管理する鉱山は宝の山だった。
アルミにチタン、金・銀・銅を大量に入手して俺達は町に戻った。
中でも、一番の収穫はゴムだ。鉱山の近くで樹液を出している木があり、試しにゴムを念じて引き出してみたら大量に入手できたのだ。
俺の知っているゴムの木ではなかったが、なんの問題もない。
あとは硫黄と炭素を加えればタイヤにできる。
「こんなドロドロのものを何に使うんですか」
「た、いあ」
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