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第二章 新しい町

ブラ……

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「なんだ、みんなどこへ行った」

「みんなアミノクリーンの現地確認よ。
おかげで窓口はてんてこ舞い」

「そ、そうか……」

「私も総務局長に呼ばれてるの。午後は出かけるわよ」

「えっ、アキラさんまでいなくなるんですか!
無理ですよ……」

「大丈夫よ、所長がフォローしてくれるから」

「お、おう。
それで、当のアミはどうした」

「縫製組合の会長に連れていかれたわ。
新作の下着ですって」

「夕海亭の行列はなんだ?」

「アミの考えたソースが大人気みたい。
商業ギルドの職員が、特定の店を贔屓してるって、組合の幹部がご立腹よ」

「そこはギルド関係ねえだろ」

「本音は、ギルドから圧力をかけて、レシピを共有させろってこと」

「まだ、あいつが来て5日だぞ!」

「3日目に化けてきて、髪を切った整髪店も大盛況よ。
あの独特のカットで、ショートカットの女の子が増えてるわ。
それだけじゃないわ。
そこのお菓子を食べてみて、昨日お菓子のお店に行って試作してきたみたい」

「どれ」

ハグッ

「これは!」

「美味しいでしょ。
薄い生地の中に甘いクリームを詰めたんだって。
明日には大人気間違いなしよ」

「それが全部あいつの頭の中にあったのかよ」

「そう、クリーンを含めて、世に出ていなかっただけ。
整髪組合も飲食組合もアミを相談役に迎えたいって言ってきてるわ」

「ギルドで守ってやらねえとな」



「わざわざ申し訳ございません。
試作品が完成しましたので、ご確認いただけると助かります」

「背中の部分ですが、このカタチだと金属が直接肌にあたります。
寝ている時に、変な寝返りをうって肌を傷つける可能性があります。
小さめの金具を作って、フックで引っ掛けるようにできませんか」

「引っ掛けるんですか」

「ええ、上下に二つのフックをつけて、受けの方は3列くらいにしてやればサイズの調整が可能になります」

「なるほど、ですがそれだと装着に手間取りそうですが……」

「前ではめてから背中に回して、肩ひもを腕に通せばいいんです

「それは、売るときに指導できますね」

「それと、この部分にレースをつけて高級感を出せば貴族にも高値で売れると思います」

「レースですか。確かに貴族用も作っておきたいですね」

「胸は、大きい人や小さい人がいますから、できれば5サイズくらいを既製品として販売し、あとはオーダーメイドで作ってください。
それと、必ずフィッティンゲしてもらい、納得して買っていただくこと。
つけていただければ、絶対に満足します。
胸の形もきれいになりますし、これで強調された胸に男性はくぎ付けになるでしょう」

「すごい!これは画期的です。
今まで、大きい胸の人は劣等感でいっぱいだったんです。
それが、武器になるんですから」

「それと、胸のラインが変わりますから、ぴったり目の服は胸がきつくなります。
服の買い替えもでるでしょうし、シルエットも少し変えていった方がいいと思います。
ブラのラインギリギリにして、この谷間を強調できるようにしてあげると喜ばれると思いますよ」

「アミさん、当面はうちの店で独占販売しますが、たぶん需要に追いつきません。
ロイヤリティーをとって、ほかの縫製組合にも作らせたいのですがいかがでしょう。
アミさんの取り分は、販売価格の1割で」

「どうぞ、ご自由になさってください。そのへんはお任せいたしますから」

「ありがとうございます。
ほかにお気づきのことや、新しいアイデアがございましたら、いつでもお店の方にいらしてください」

「はい。
早速なんですが、胸もとが強調されるようになると、ネックレスが目を引くようになります。
金や銀の細かい鎖や、嫌みでない小さい宝石を組み合わせると上品なおしゃれになりますよ」

「これから、すぐに金細工師を抱え込みます!」
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