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第一章

冒険者に復帰?

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「ねえ、おじさん」

「なんだ」

「私。また冒険者やろうかな」

「必要ない」

「なんで、せっかくやる気になってるのに」

「ここで生活する分には金はかからないし、金は十分にためてある」

「そういうんじゃないの。
こんな体だからこそ、何か支えが欲しいの」

「……その気持ちは、わからんでもないが……」

「お願いします。足手まといになるってわかってる。
でも、やりたいの」

「……わかった。だが、やるからには自在に飛べるようになってからだ」

「ありがとう!」

 俺はエリスに腕に装着する風魔法の魔法具を与えた。
今のベルトで浮いているのだから、あとは方向性を与えてやればいい。
エリスは毎日外で飛ぶ練習をするようになった。

「ダメだ、方向転換が遅い」

「はい!」

 一か月もすると、エリスは俺と同等には飛べるようになった。

「もう大丈夫だな」

「うん」

「じゃあ、仕事を受けに行くか」

 俺たちは依頼を受けに、冒険者ギルドを訪れた。

「シルビアじゃないか」

「あっ、エリスとおじさん」

「受注か?」

「ええ、この子もそろそろかなって思って、試しにCクラスの仕事をしてみようかなって。
それよりも、エリス、大丈夫なの?」

「うん、両脚は義足だよ。
でも、頑張って飛べるようになったから」

「何か、手伝えることはないのか」

「大丈夫。無理しないようにゆっくりとやってくから」

「そうか、頑張れよ」

「そっちもね」

 俺たちはAクラスのギガンテスを受注した。
ギガンテスは3mほどの巨人で、遠隔の攻撃手段をもたないためちょうどいい。


「じゃあ、一人でやってみるんだ」

「うん、大丈夫」

 エリスはギガンテスの10mほど上空から魔導銃を放った。

ダダダダダッ

 ギガンテスは前のめりに倒れる。

「まだだ、確実に息の根を止めろ」

「わかってる」

 こうして、エリスは復帰戦を終えた。

「怖くなかったか」

「うん、大丈夫」

 俺たちはギルドに戻り、依頼終了の手続きを済ませて帰宅した。
その夜、エリスが俺の布団にもぐりこんできた。

「どうした?」

 応えはキスだった。

「いいのか」

「うん。
でも……初めてなの……」

 俺はエリスを抱いた。
ことが終わり、エリスは俺の腕枕で朝まで眠った。
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