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第一章

依頼はどうなるんだ

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 少しして、一回り大きな龍がやってきた。
こっちは、日本の文献などで見かける龍そのものだ。
これに対し、メスの龍はトリケラトプスに羽根を生やしたようなずんぐりとした体系だ。
二匹は何か会話のようなものを交わしていたが、俺に話しかけてきた。

『連れが世話になったそうだな。我からも礼をいう。
それで、ドラゴンの墓場へ行くのと、魔石を体内に取り込む。そのあとで人里近くまで乗せていけばいいんだな』

「ああ、手間をかけてすまない」

『なに、容易いことだ。こんなことで連れが世話になった礼になるとは思えぬが欲のないモノだな』

「そうか、俺たちにとっては十分すぎるよ」

『これまでの人間ならば、王になりたいとか最高の力などを望んだものだよ』

「いや、そんなものを受け取ったら人生がつまらなくらるじゃないか」

『お前の言うとおりだ。そういったものを望んだ輩はみな己の陰に怯えて身を滅ぼしおった。
連れも面白い人間に出会ったものだ』

 俺たちはドラゴンの墓場というところに連れていかれた。
文字通りドラゴンらしき巨大生物のホネだけが散乱しており、魔石もそこかしこに散らばっていた。
俺たちは50個程の魔石を拾い集めた。

「身体に取り込む魔石っていうのは、どうやって選んだらいいんだ」

『大きくて透明度の高いものがよかろう。
ほれ、お主の足元に埋まっているようなやつだ』

 足元を少し掘ると、龍のいうとおり大きくて透明な魔石が出てきた。

『無色の魔石とは珍しいのが出たな。
それでいいか?』

「色が影響するのか?」

『魔法の系統が決まるはずだ。
無色ということは、全属性なのか無属性なのかこればかりはやってみんとな』

「決めた、これで頼む」

『では、そこで横になり、腹の上に魔石をあてがえ』

「痛いのか?」

『そこまでは知らん』

「わかった、頼む」

 龍は腹の上に乗せた魔石に爪を立ててグイっと押し込んでくる。
体内に異物を押し込まれる痛みと不思議な感覚に目の前が真っ暗になった。

「……じさん、おじさん、大丈夫?」

「エリスの声で意識がはっきりとしてきた」

『終わったぞ。いつまで寝てるんだ』

 腹を確認したが、痕跡は残っていない。

「ありがとう。じゃ、人里近くまで頼む」

『魔石はもういいのか?』

「十分だよ」

『クククッ、本当に欲のないことだ』

 龍に送られて俺たちは町から少し離れた場所で降ろしてもらった。

『欲なきモノよ。機会があったらまた会おうぞ』

「ああ、古き龍よ。世話になった」

 俺たちは街に帰り、ギルドへ行くと龍の話題でもちきりだった。

「た、田吾作さんは龍をご覧になりましたか?」

「ああ。そのことで報告がある。
依頼のドラゴン討伐は、古き龍とかいうのだった。
本人? がそういったから間違いないと思う。
で、交渉して巣に帰ってもらった。
これって、依頼達成になるのか?」

「なに!」 「古き龍だと……」

「少しお待ちください。
ギルマスに確認してまいります」
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