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第一章
お姉の値引き交渉
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町に戻って依頼達成の処理を終え、俺はエースたちと別れる。
「おっさん、また機会があったら声をかけるからな」
「おう、いつでも呼んでくれって、オネエは……」
「武器屋にいくんでしょ。
一緒について行ってあ・げ・る」
「子供じゃねえから大丈夫だよ」
「ぼったくりの店もあるからな。
それにオネエの見る目は確かだぜ。
一緒に行ってきなって」
「そうそう、行きましょ」
俺は腕をつかまれ、武器屋へと引きずられていった。
意外と力は強い……
「こんにちわ」
「あん、オネエじゃないの。
今日は何?」
「この人がね、武器を見たいんだって」
「お客さん、得物は?」
「片手剣かな」
「おい」俺は小声でオネエに話しかける。
「いいのよ。最初から目的を言っちゃうと値引きしてくれないから」
ああ、そういうことか。
「片手剣だとこのあたりですね」
「軽いのはどれ?」
「これなんかどうかしら」
「うっ、それでも重いな」
「これより軽いのだと……
少し短くなりますけど、こちらは如何でしょうか」
「あらやだ、これじゃ短すぎるわよ」
「でもね、軽さを求めるならやっぱり短くなっちゃうのよね」
「これでいくらなの」
「金貨10枚」
「えーっ、短いのに片手剣と変わらないじゃない」
「手間はそんなに変わらないのよ」
「うそよぉ、これなら片手剣ほど手間はかからないでしょ」
「ご予算は?」
「金貨5枚ね」
「金貨5枚だと、短剣じゃないと……」
「短剣は持っているもの」
「少し長めの短剣もありますよ」
「どんなの?」
「短剣はこちらです」
「短剣なら金貨5枚なのね」
「物によりますけど、金貨5枚から7枚ですね」
俺は変わった短剣を見つけた。
湾曲しており、内側に刃がついている。
「これ、変わってるね」
「ええ、内側に刃がついていて……」
「作ってみたけど売れないってことね」
「うっ……」
「こんな変わったの、誰も買わないわよ」
「そ、そんなこと……」
「こんなのせいぜい金貨1枚ね」
「せめて金貨3枚……」
「無理無理、じゃあこれは」
さっきの短い片手剣と同じくらいの重さだ。
「金貨7枚です」
「5枚じゃないのぉ!」
「さっきの片手剣と同じくらいなんですよ」
「こういう中途半端な長さのものって売れないでしょ」
「そんなことはないですよ。
腕力のない女性や探索系の方が……」
「探索系はもっと短いのを使うわ」
「……」
「ふーん、そうなの……。
そうねぇ、気に入ったのはあった?」
「いや、どれも一長一短だな」
「ねえ、売れないこの2本だったら幾らにするの?」
「き、金貨8枚……」
「金貨7枚だったら考えてもいいわよねぇ」
「そうだな、金貨7枚なら」
「金貨7枚でいいです」
こうして俺は気に入った2本を購入した。
オネエの交渉術はなかなかのものだった。
「おっさん、また機会があったら声をかけるからな」
「おう、いつでも呼んでくれって、オネエは……」
「武器屋にいくんでしょ。
一緒について行ってあ・げ・る」
「子供じゃねえから大丈夫だよ」
「ぼったくりの店もあるからな。
それにオネエの見る目は確かだぜ。
一緒に行ってきなって」
「そうそう、行きましょ」
俺は腕をつかまれ、武器屋へと引きずられていった。
意外と力は強い……
「こんにちわ」
「あん、オネエじゃないの。
今日は何?」
「この人がね、武器を見たいんだって」
「お客さん、得物は?」
「片手剣かな」
「おい」俺は小声でオネエに話しかける。
「いいのよ。最初から目的を言っちゃうと値引きしてくれないから」
ああ、そういうことか。
「片手剣だとこのあたりですね」
「軽いのはどれ?」
「これなんかどうかしら」
「うっ、それでも重いな」
「これより軽いのだと……
少し短くなりますけど、こちらは如何でしょうか」
「あらやだ、これじゃ短すぎるわよ」
「でもね、軽さを求めるならやっぱり短くなっちゃうのよね」
「これでいくらなの」
「金貨10枚」
「えーっ、短いのに片手剣と変わらないじゃない」
「手間はそんなに変わらないのよ」
「うそよぉ、これなら片手剣ほど手間はかからないでしょ」
「ご予算は?」
「金貨5枚ね」
「金貨5枚だと、短剣じゃないと……」
「短剣は持っているもの」
「少し長めの短剣もありますよ」
「どんなの?」
「短剣はこちらです」
「短剣なら金貨5枚なのね」
「物によりますけど、金貨5枚から7枚ですね」
俺は変わった短剣を見つけた。
湾曲しており、内側に刃がついている。
「これ、変わってるね」
「ええ、内側に刃がついていて……」
「作ってみたけど売れないってことね」
「うっ……」
「こんな変わったの、誰も買わないわよ」
「そ、そんなこと……」
「こんなのせいぜい金貨1枚ね」
「せめて金貨3枚……」
「無理無理、じゃあこれは」
さっきの短い片手剣と同じくらいの重さだ。
「金貨7枚です」
「5枚じゃないのぉ!」
「さっきの片手剣と同じくらいなんですよ」
「こういう中途半端な長さのものって売れないでしょ」
「そんなことはないですよ。
腕力のない女性や探索系の方が……」
「探索系はもっと短いのを使うわ」
「……」
「ふーん、そうなの……。
そうねぇ、気に入ったのはあった?」
「いや、どれも一長一短だな」
「ねえ、売れないこの2本だったら幾らにするの?」
「き、金貨8枚……」
「金貨7枚だったら考えてもいいわよねぇ」
「そうだな、金貨7枚なら」
「金貨7枚でいいです」
こうして俺は気に入った2本を購入した。
オネエの交渉術はなかなかのものだった。
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